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9条改憲阻止の会 メール通信 20220813
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●国葬反対討論学習会 8月17日午後1時から新虎事務所で
 各地でさまざまな人々が国葬反対の行動に取り組み、その勢いが日増しに
強くなってきています。
 9条改憲阻止の会も国葬反対運動に取り組んでいきましょう。
8月3日の国会前反対行動に引き続き、17日(水)13時から14時30分まで国葬
反対学習討論会を開きます。「国葬は日本の戦後民主主義とはなじまない儀式」
(宮間純一中央大教授:週刊金曜日2022/8/12号掲載)などを参考に国葬につい
て学習討論を行います。これまで私たちが続けてきた安倍9条改憲批判にもと
づいて安倍政治が評価に価しないものであることについてもさらに検討を深め
たいと思います。17日は小さな討論学習会として開催しますが、ここから集
会開催などの展望を拓きたいと密かに考えています。猛暑の中ですが、ぜひ参
加ください。
                          (メール通信担当)
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●8.22韓米合同軍事演習反対! アメリカ大使館抗議行動
日時:8月22日 18時〜 場所:旧JTビル前(港区虎ノ門2丁目2-1)
呼びかけ:資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委員会
連絡先:090-6481-6713 (松平)
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【寄稿】
● 『第三次世界大戦はもう始まっている』(エマニエル・ドット)
    もう一つのウクライナ戦争論     三上 治

 連日のようにロシア軍のウクライナ侵攻についての報道が新聞・テレビを占
領していましたが、安倍元首相の死や旧「統一教会」の報道にとって変わられ
ました。しかし、ウクライナでいのちが日々失われ、平穏な生活が奪われたま
まです。ウクライナ戦争についての三上さんのご寄稿を2回に分けて掲載しま
す。言うまでもなく、個人の見解であり、9条改憲阻止の会の見解ではありま
せん。三上さんのこの論考が実り多い議論の素になればありがたいです。
                          (メール通信担当)

(1)
 ロシアのウクライナ侵略はまさに20世紀型の典型的な侵略戦争だというのが
一つの見解なら、これはアメリカやNATOによって開始された戦争だというのが
もう一つの見解である。戦争はどのような経緯であれ、二つの相対する国家の
対立であるから、相対立する見解が出てくるのは当然である。ロシアの仕掛け
た戦争(侵略、侵略戦争)だというのがウクライナ側に立つ人たちの見解でる
とすれば、これはアメリカの仕掛けた戦争だというのがロシア側の言い分であ
る。このエマニエル・ドットの見解はロシア側の見解に近いと言っていい。彼
は第三者的な見解であり、一人の歴史家の見解だといたいのであろうが。

 彼はロシアのウクライナ侵略がはじまった後に、日本の「核武装」を提案し
て注目された。安倍元首相の「核共有議論」の提唱と対応していた、といえる。
彼は『文藝春秋』2022年5月号に「日本核武装のすすめ」を書いたが、それは
本書に掲載されているだけでなく、本書の重要な構成要素になっている(第1章)。
僕はこれがロシア側に立つ見解であるというよりは、一人の歴史家の視点だと
して読んだのだが、それでも、これはロシア側の見解に立つものではないのか
という疑惑を消せなかった。彼はアメリカ学者ジョン・ミアンシャイィマーの
最終結論と言われる「いま起きている戦争の責任は、プーチンやロシアではな
く、アメリカとNATOにある」というのに同意しているからである。ロシアは今
回の侵略という行為を戦争とは語らず、「特別軍事作戦」と称しているし、こ
の戦争が西側のロシアに対する脅迫(安全保障上の脅威)にあると称してきた。
また、ロシアの見解に同調する人でない人も、アメリカやNATOに原因があると
いう人は少なからずいる、僕はこういう見解には異論があって、多くの反論も
書いてきたが、このエマニエル・ドットの基調(基本的見方)はそこにあるの
で、そこは違和感を持った。

 著者は「ウクライナのNATO加盟、つまりNATOがロシア国境まで拡大すること
は、ロシアにとっては正存に関わる『死活問題』であり、そのことをロシアは
我々に対して繰り返し強調してきた」というミヤンシャイマーの見解を明快な
指摘で賛成だという。NATOの東方拡大、そのロシア国境までの拡大がロシアの
危機、ここでの言葉をつかえば「生存に関わる死活問題」だというが、この主
張に僕は疑念を持つ。これはロシア側の言い分だし、ロシアが西側からいじめ
られている、という物語にもなっていることだ。NATOはロシアの安全保障にと
っての脅威であるのか。このことはNATOがロシアにとって侵略の恐れのある軍
事的脅威、つまりはロシアへの軍事的侵攻の野望を持った存在かということで
ある。僕はここでは当たり前のごとくに論じられて,前提のごとく言われるこ
とに疑問を持つ。ロシアが西欧諸国にとって脅威であったように、ロシアにと
って西欧諸国が脅威であったとは思われない。対立する諸国が相手国を軍事的
脅威国とするのは当たり前のようにみえても、これには歴史が介在しているの
であり、それを見ていないと言えない。

 たしかにNATOは軍事同盟だし、かつてはロシア連邦【旧ソ連】を中心国とす
るワルシャワ条約機構と対抗関係にあった。このワルシャワ条約機構は自己解
体し、旧ソ連邦も解体した。この過程でNATOは軍事介入したわけではない。
このことはNATOが攻撃的な軍事同盟というよりは防衛的な同盟であった、とい
うことである。それなら、ワルシャワ条約機構が解体した後に、NATOは解体す
ればよかったではないか、といわれる。あるいはこの本でもいわれているよう
に「NATOの東方への1寸の拡大もしない」という約束を破ったではないかなど
と言われる。これはNATOやアメリカにロシアの軍事的解体の野望があることを
前提にしていわれる、そこにこのような政治(パワーポリティクス)が働いて
いるというのだが、NATOが解体もせずに、その後に東方への拡大をしたのはロ
シアの軍事的脅威があったためである。

 軍事的な脅威は対立する相互の国家間に存在するとは言うものの脅威はロシ
ア国家にあったのである。NATOが解散もしないで、東方拡大をしていったのは
ロシア国家の軍事的脅威が存続したためである。かつてのワルシャワ条約機構
に属した国家がNATOに加盟し、ウクライナもそれを目指したのはロシア国家の
脅威があるためではないか。これはフインランドやノルウエーがNATO加盟を申
請したことで証明されることだ。ロシアが引き続き、他の国家に対して軍事的
脅威というべき存在になったのはソ連邦の解体後のプーチンの支配する国家に
なってから強まったことである。ロシアはNATOの拡大が軍事的な脅威ではない
こと、つまり、その拡大が軍事的に侵攻される危機にはないことは十二分に知
っていたと思う。「正存に関わる『死活問題』」ということではないし、そん
な根拠はないことは熟知していたのだと思う。これは西欧側の考えと
いうよりは、史的にみて当然のこととして推察できることなのだと思う。僕は
著者らが「ロシアの正存に関わる『死活問題』としていた」ことを疑いもなく、
前提のようにしているのに疑念をもった。ここは今回のロシアのウクライナ侵
攻を見る場合の要をなすところである。この見方が狂えば、評価がちがってく
る。この本はアメリカの誤算。あるいはロシアの誤算など、いろいろの知見が
あっておもろく、触発されるところもあるが、基本的な認識のことが影響して
いるように思う。

 今回のロシアのウクライナ侵攻を「NATOの東方拡大」に帰する見解は、それ
がロシアの内部の事柄(政治)に要因があることを見抜けず、プーチンの国家
統治の構造(政治構造)を認識できていないためだと思う。著者にしても、
ミヤンシャイマーにしても、戦争の要因を国家対立という外部事情に求めて、
内部要因からみることができてはいない。プーチンの権力の動きが分かりづら
いこと、彼らは理解していないことにあるが、でもこれはウクライナ戦争の一
つの見方である。

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Tel.:03-6206-1101 Fax.:03-6206-1102
E-mail:info@9jyo.net Web:http://9jyo.net/
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