本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国のたたかう労働者から学ぶ/「日韓労働者連帯全国集会」開かれる
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0718hokoku
Status: published
View


韓国のたたかう労働者から学ぶ〜「日韓労働者連帯全国集会」開かれる

尾澤邦子

 7月18日、東京の南部労政会館で、「弾圧を撃ち返し争議の勝利へ!日韓労働者連帯全ご国集会」が開催されました。韓国サンケン労組副支会長で民主労総副委員長のキムウニ ョンさんや、双竜自動車支部のキムドクチュン支部長、インチョンのキムチャンゴン民主 労総元インチョン本部長らとスカイプでつないで、直接お話しが聞けるというので参加し ました。

 コロナで韓国に行けず、現場を訪問することができずにいますが、オンラインで直接労 働運動の現場報告を聞くことができ、よかったです。双竜自動車での損害賠償請求との闘 い、韓国GMでの不当解雇、非正規職労組の闘いなど、もっとたくさんの人に聞いていた だきたい内容でした。

 最初に、韓国の労働運動を公共放送KBSやMBCなどが放映したニュースを編集した 映像が流されました。7月2日の6万人の労働者大会など、そのスケールの大きさや闘いの 様子がよくわかりました。

 主催者の、民事弾圧を許さない共同声明運動、争議団連絡会議、日韓民衆連帯委員会は 、これまで日韓の労働運動現場の相互訪問や、昨年・一昨年はオンライン集会を行ってき ました。基調報告に続き、連帯労組や関西からの争議報告があり、弁護団から民事弾圧に ついての話がありました。「民事手続きにITが導入された。裁判所に来なくていいとい うものだ。現場闘争と結びついた法廷闘争でがんばろう」と話していました。

 第2部で韓国サンケン闘争の報告とオンライン集会が行われました。キムチャンゴンさ んがコーディネートして、韓国から労働運動の現状と闘いについて報告がありました。

 勤務を抜け出して参加してくれた双竜自動車支部のキムドクチュン支部長が最初に報告 しました。解雇を撤回して現場に復帰した仲間たちの現状と損害賠償請求について報告が ありました。ドクチュンさんは「2年前に全員が現場に復帰した。しかしこの2年間で、20 09年度に工場に立てこもって77日間を共に闘った仲間の内5人が、この世を去る、あるい は生死をさまよう厳しい状況にある。経営状態は厳しく、無給であったり、賃金を削減さ れたりしている。会社は法的な管理状態に置かれており、展望が見えないことに対する不 満が現場の労働者にある。損害賠償問題については、市民団体の『ソンチャプコ(損賠・ 仮差押えをつぶそう!手に手をとって)』と一緒に国会で法改正を巡って討論会を設定し 、現場からの報告を行ったりしている。2009年の闘いでの、国家暴力のトラウマに未だに とらわれ、苦しみ治療を続けている仲間たちがいる。課題は満載だが、ひとつひとつ取り 組んでいくつもりだ。最後まで関心を持っていただきたい」と話しました。

 続いて、韓国GMで不当解雇と闘っているアンキュベクさんが紹介されました。アンさ んは「私は2020年8月に解雇された。インチョン地方労働委員会では負けたが、2021年11 月中央労働委員会では不当解雇だとの決定で勝利した。私は直ちに現場復帰したが、会社 は行政裁判に訴え、中労委の不当解雇決定の取り消しを求める裁判を起こした。今年の11 月にその決定が出る。私以外に、工場閉鎖に反対して闘い解雇された二人は、最高裁で解 雇が確定した。今後会社との交渉で、現場復帰の闘いを行う。数年前、韓国でお会いした みなさんのことはよく覚えている。これからも、一緒にできることは何かなど話していき たい。」と話しました。

 現在韓国の南部、コジェというところにあるテウ造船所で非正規職労働者が決死の闘い を行っています。その労働者たちを励ますために全国からバスで集まろうと、アンキュベ クさんと、次に発言するイヨンスさんが「希望のバス」を提案したと、キムチャンゴンさ んから紹介がありました。

 17年間非正規職撤廃の闘いを行ってきている韓国GM非正規職支会長のイヨンスさんが 発言しました。韓国では、自動車、鉄鋼、半導体などの大きな工場で、派遣労働者を使う ことは禁止されています。韓国GMで、その不法派遣が行われていることを問題として20 15年に訴訟を起こしました。派遣労働者と正規職の労働者で仕事の内容はほとんど変わり ません。違いは賃金差が50%であることと、雇用が不安定であることです。訴訟は、派遣 労働者をGMが雇用している実態を認めろという内容です。地裁、高裁では勝訴し、現在 最高裁で係争中です。雇用労働部もGMの派遣は不法であると認定しています。1719名の 派遣労働者を正規職として直接雇用せよとGMに対して是正命令を出しています。しかし GMは、その是正命令を未だに履行していません。社長を告発しての裁判など、闘いは続 いています。今もGMの正門前で座り込みを行っているとのこと。イヨンスさんは「非正 規職のない職場をつくることを目指して闘っていく」と話していました。

 キムウニョンさんは、まず「韓国サンケン闘争でハンストに入っていた仲間たちは、お もゆやおかゆで体調を整えている。とても苦しい闘いだったが、いつも励まし勇気づけて くれた日本のみなさんに感謝します」と話しました。そして「2022年の情勢と労働運動の 課題 尹錫悦政権と労働運動・民主労総の闘い」と題して講演を行いました。「尹錫悦当 選以降の情勢展望」として、国際及び朝鮮半島の情勢、地方選挙以後の政治情勢、物価高 騰の経済危機、政権の反労働・反民衆政策について話し、闘いの課題として「財閥の蔵を 開いて国家が責任を負え!富者に税金を!庶民に生存権を!働く人々に労働権を!」と掲 げていました。

 反戦平和、反帝自主の闘い、危険な東アジア情勢などについて、「米国と尹錫悦がやろ うとしている朝鮮半島前哨基地化の戦略に必ずクサビを打たねばなりません!闘争!」と 結んでいました。

 ウニョンさんは「30年以上続いてきている日韓連帯の闘いを、どう継承していくか話し 合いたい」とも話していました。私もそう思います。集会は、韓国で闘う労働者たちの現 状を感じることができ、また多くを学ぶことができ、とてもよかったです。日本で苦労し て闘っている人たちともぜひ交流していただきたいと思いました。


Created by staff01. Last modified on 2022-07-22 08:09:39 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について