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大阪の志水です

木川南小学校久保敬校長が松井大阪市長に当てた提言前後のことを事実経過を中心にまと
めてみました。

〈1発端〉
 ことの発端は、4月19日記者会見で松井市長が、何の権限もないにもかかわらず“緊急
事態宣言が発令された場合、大阪市立の小学校と中学校を原則オンライン授業に切り替え
る”意向を示したことです。マスコミは一斉に報じ、学校現場は不安に陥りました。
※2021.4.19記者会見
https://youtu.be/KQ9BfK51dqk
※ 大阪市立小中学校、宣言発令なら原則オンライン授業に(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1944K0Z10C21A4000000/

〈2大阪市教委の奇妙な方針〉
 4月22日大阪市教育委員会が小中学校に通知した方針は何とも奇妙なものでした。“小
学校は、2限目までオンラインやプリントで自宅学習を行い、登校後4限目のみ教室での
「指導」、給食を食べたあと帰宅させる。中学校は、午前中は自宅でオンラインやプリン
ト学習、登校して給食を食べたあと、教室での「指導」を行う”というものでした。大阪
府内の他の小中学校は、“通常通り授業を行う”ことが通知されるなか、大阪市の小中学
校だけが「通常授業」ができないことになったわけです。

〈3現場は大混乱〉
 4月25日緊急事態宣言が発出され、翌26日から、この奇妙な方針を実行することが求め
られた大阪市の小中学校では大混乱が起こります。
 一部ですが生の声を紹介します。中学生からは、「緊急事態やのに給食を食べる意味
がわからん。不正会食?じゃないのか」「去年の分散登校でいいんじゃないのか
」。保護者からは、「オンラインも、通信テストして以来全く進んでいません」「保護
者、子どもでさえも中途半端な事してるなーってわかってるのに上の人達は何故それ
がわからない?って疑問です。しかも大阪市だけこのスタイル…この大阪スタイル
、ほかの自治体から馬鹿にされてる事気付いてないの?って言ってほしいです」「小学
4年生男子の保護者です。オンラインテストではログインすら出来ていない子が
たくさんいたように思います。すぐにログイン出来た子は持て余し、ログイン出来
ない子は苦戦してるのか諦めモードなのか…とても授業が成り立つには程遠い感じ
でした」。
 そして教員からは、「3時間目から登校して給食を食べて5時間目までの3時間授業
です。国語や算数などの授業をしていても時数計算は全て特別活動の時数で計算せ
よと、わけのわからん指示が教育委員会から出されました」「うちで(タブレットが
)配布されたのは今年の4月で、子どもたちは、ほとんど触れることなく、緊急事
態宣言に入りました。低学年の子どもは、IDとパスワードの入力だけで、たく
さんの時間がかかり、操作どころではありませんでした」「teamsの接続テスト
、ネット環境がない生徒への対応、予備の接続テストなどに追われ、教育に充てる時
間がない。学校がお客様サポートセンターのようになり、明らかに教員の業務の枠
を越えている。もちろん、去年から準備はしていたが、それでもこの状況」。
 つまり、大阪市の小中学校ではハード面でもソフト面でも「オンライン授業」の基盤は
整っていないにもかかわらず、その実施が求められたわけです。小中学校の中には、子ど
もの現状や保護者の希望から、子どもの登校を朝から受け入れるところも出てきました。
※ブログ「子どもを追いつめるな!市民の会」
緊急事態宣言下の大阪市の学校は?!
http://no-testhyouka.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-b6f01b.html

〈4教育委員会会議で出た驚くべき内容〉
 5月11日開催の大阪市教育委員会では、事務局の報告に約40分の質疑応答が行われまし
た。委員から、“4月中教育委員会議が開かれなかったため、大阪市の方針(オンライン
授業や給食)をテレビニュースで初めて知った”という事実にも驚きました。また、ここ
で文科省の見解では、“オンライン授業”は、授業時数としてはカウントできないことも
わかりました。
※2021.5.11大阪市教育委員会会議動画
https://youtu.be/_wb0vFaDvog

〈5知らなかった松井市長〉
 5月13日松井市長は記者からの質問に“なんのためにオンライン授業をしてきたか、授
業時数としてカウントされないのはおかしい。今日にでも萩生田文科相に電話する”と回
答しましたが、文科省が、現時点で教員の立ち会いのないオンライン授業を「授業」とし
て認めるとは思えません。このニュースに学校現場はますます疲弊していきます。
※2021.5.13松井市長記者会見書き起こし
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b0b028129672b2b33305ca560d7e4f112de94b4?page=
3
※同上文字起こし
https://news.yahoo.co.jp/articles/f411d4dbd5a840c9a3005437e022582c8aed9bf9?page=
2

〈6現職校長の提言〉
 その最中に大阪市立木川南小学校久保敬校長が松井市長に「提言」を出したことがわか
りました。私が知ったのは5月17日でしたが、正直感動しました。大阪の学校現場で長年
携わってこられた方ならではの視点からやむに止まれず書かれたことが伝わってきました
。翌18日には共同通信がこのニュースを取り上げ、ヤフーニュースでも掲載され多くの人
が知ることになりました。
※2021.5.18yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a02728a512af57721ab28ab434595528a82e515

〈7弾圧のはじまり〉
 すると、何が起こったか?!5月19日大阪市教育委員会は久保校長を呼び出し事情聴取
を行いました。それがわかったのは、5月20日大阪市会教育こども委員会で、大阪維新の
会杉村幸太郎委員がこの件について質問したことによります。事務局は、事実関係の調査
中であると断りながらも、大阪市職員基本条例4条、地方公務員法33条を持ち出し、一般
論として懲戒処分の可能性もあると示唆しました。
※ブロググループZAZA
現職校長から大阪市長への提言ー大阪市会教育こども委員会における質疑応答

〈8弾圧は許さないーー支援の声広がる〉
 久保校長に「処分」?!ーー絶対に許せないという声が次第に広がり大きくなっていき
ました。また、久保校長とともに人権教育を担われてきた方からは、携帯ショートメール
による「提言」賛同署名も始まっていました。

〈9松井市長の反論〉
 5月20日記者会見で、松井市長は自らの教育観を述べ、久保校長については「社会人と
して外に出たことがあるのか」「ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」と批
判しました。
※2021.5.20 松井一郎大阪市長 囲み会見
https://youtu.be/aNa2EN7osnU
※上記より抜粋(23秒)
https://twitter.com/senseiwakame/status/1395990755957633026?s=21

〈10朝日新聞、大きく報道〉
 5月21日朝日新聞朝刊は、この件を大きく取り上げました。また「提言」全文も掲載し
ました。全国から久保校長の提言に賛同し、支援の声が集まっています。
※ 「学校は混乱極めた」 現職校長、実名で大阪市長を批判
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb11429d3463b5af3cf97ca88ae613e16f775b4f?fbcli
d=IwAR1RyyjQMsFAuqB6VwfT1C8YAKQuVdbx17VLA41hu29CVu5_nEGr7bjKq7s
※ 大阪市立木川南小学校・久保校長の「提言」全文
https://digital.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html?fbclid=IwAR2gor1f3QW
HkbX4rfsREQCwEI6iYMXLJTVlsqS_4P929KzYEOuy3BDR1IM

〈11萩生田文部科学大臣も発言〉
ついには、萩生田文科相も、21日の閣議後会見で、この件について聞かれ、「(校長から
)不具合があったという報告であれば、耳を傾けて改善したらどうか」と市側に促すこと
になりました。
※ 文科相が大阪市側に「耳を傾けて」校長らの『学校現場は混乱を極めた』提言に対し
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210521/GE00038405.shtml

〈12賛同・支援の声大きく広がる〉
 そして、大阪では、久保校長の「提言」に賛同し、大阪市立中学校校長が自らのフェイ
スブック(公開設定)で、賛同者の声を松井市長に届けると呼びかけておられます。すで
にTwitterにおいて「#木川南小学校校長を支持します」は6万件を超えています。

〈13「提言」に応えるために〉
 今回の件は、オンライン授業の強制をきっかけとして起こったことですが、提言をお読
みいただければおわかりいただけると思いますが、現在の大阪の公教育が果たして子ども
の学びを保障し、未来につながるものであるのか、という現場からのまさに私たちへの「
提言」であると考えます。この問題は今後も続きますが、今、私たちがしなければならな
いことは、久保校長を「弾圧」から守り「処分」をさせないことだと思います。そして、
大阪の子にとってどのような公教育が必要なのか、私もこの提言を真摯に受け止め考えて
いきたいと思います。

Created by staff01. Last modified on 2021-05-25 13:04:53 Copyright: Default

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