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LNJ Logo さようなら原発首都圏集会に1500人 東海第2勝訴報告 「責任取れ!」東電に怒りぶつける
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 3月27日、「福島原発事故10年 さようなら原発首都圏集会」が開催され、青空の下、日比谷野音に1500人が集まった。

 福島原発刑事訴訟支援団事務局長の地脇美和さんが、事故10年を迎えた福島の状況を報告。「福島を出発地として五輪聖火リレーが強行された。事故は収束しておらず、原子力緊急事態宣言も発令中。放射性物質は今も環境中に放出されている。先日起きた東北地方の地震で、1号機、3号機の格納容器の水位が下がり、注水を増やしたと報道があった。大きな地震や台風の度に全国各地の原発を心配しなければいけない状況はいつまで続くのか。汚染水海洋放出に反対する多くの声は無視されている。原発事故後、様々な規制値や基準値は恣意的に変更された」。

 2019年、東京電力3被告を全員無罪とした刑事訴訟判決を「反省はなく、誰の責任も問わず原発の安全性を切り下げる不当なもの。双葉病院の患者遺族や被害者を踏みにじり、再び傷つけた」と厳しく批判。「原発事故の被害の上に次々と人権侵害が起きているが、負の連鎖を断ち切り、あきらめではなく希望を積み重ね、子どもの目をまっすぐに見て、未来を語れるように力を尽くそう」と決意を示した。

 3月18日、水戸地裁で運転差し止めの判決を勝ち取った東海第2原発運転差止訴訟原告団が登壇すると、会場から大きな拍手がわいた。大石光伸共同代表は「裁判長は汚染面積、避難者数や関連死犠牲者の具体的な数を挙げるなど、福島の被害を前提事実として判決文に書いた。被告の日本原子力発電は、被害者の証人尋問など必要ないと主張したが、水戸地裁は申請した5人全員の尋問も認めた」と判決を評価。「司法としてはこれが限界。あとはみなさんの闘いの力で原発を止めてほしいという裁判長からのメッセージとして判決を受け止めている。ここから先は闘いの力でがんばろう」と呼びかけた。

 水戸市を含む周辺6市村と原電との間では再稼働事前同意権を含む安全協定が結ばれている。大石さんは、レイバーネットの取材に対し「水戸地裁は、原子力規制委員会の安全審査は追認しており、避難計画の不備以外の論点では不利だったため勝訴の希望はわずかながらに持つ程度だった」と本音も漏らす。だが「判決で6市村の今度の対応に影響があると思うか」との問いには「それはありますよ」と明快に答えた。原電の即日控訴で判決は未確定のままとはいえ、運転差し止め判決は東海第2原発の再稼働に対し事前同意権を持つ水戸市など周辺自治体を縛り、再稼働拒否の力を与える重要な意味を持つ。

 集会に「飛び入り」した菅直人元首相は「野党が国会に提出している脱原発法案は、衆院法制局の力も借りながらプロの手で作ったもの。向こう半年以内に必ずある総選挙で原発ゼロ法案に賛成の議員を半数以上にしてほしい」と国会の議席構成を変えるよう訴えた。この点は筆者も完全に同意する。特に、この間民主党政権の裏切りにへそを曲げ、選挙に行かなかった有権者のみなさんも、今回、コロナでずいぶん痛い目に遭ったと思う。政治に大きな期待をしてはならないことは事実だが「今よりほんの少しマシになる程度の希望」なら持てる。国民に自粛を強いながら自分だけ毎晩ステーキや7万円の夕食を食べ、子どもたちの学校行事も全部中止させておきながら、自分たちだけオリンピック強行を企て、国民の8割が反対している原発を再稼働を推進する自民党の議席など、今の東京都議会レベルの2割でも多すぎるくらいだ。

 集会後、参加者はデモに出発。街宣車が「東京電力責任重大」「命を奪う追い出し(=避難者の住宅追い出し)やめろ」などとコールをしたが、新型コロナ対策上、参加者はコールをしない「サイレント・デモ」形式で東電本社前を通り銀座まで練り歩いた。サイレントにもかかわらず、東電前では「責任を取れ!」という叫び声がマスク越しに響く。国はコロナ対策を理由に市民の口を塞ごうとするが、10年経っても煮えたぎる事故への怒りの声を封じることはできなかった。どす黒い利権にまみれ、困窮する市民をしり目に自分たちだけ贅沢品を食いあさり、ウソばかりついている自民党の汚い口こそ、半年後、選挙によってきっちり塞がなければならない。

(取材・報告:黒鉄好)


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