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軍備正当論でいいのか〜衝撃的だった『世界』九月号の論文

柴田武男

 月刊『世界』九月号の「尖閣はどうなっているのか」は衝撃の論文であった。「日中の軍事力も均衡し、互いに相手を圧倒できる軍事力はない。そのため互いに力ずくで争っても勝てない。日本はそれほど弱くもない。もちろん日本は中国を軍事力で圧倒できない。ただ、同じように中国も日本は圧倒できない。」とあれば、軍拡否定論と読めるが、ポイントはそこではない。

 これは軍事均衡論、つまり、互いに軍備を持つことで軍事対立が均衡して平和が保たれるという軍備正当論となっている。自衛隊は合憲かどうか、などという議論はすっ飛んで、中国にある程度対等に渡り合える軍事力が当然に必要で、それによって平和が保たれているという理屈が、「諸君」などではなく、月刊『世界』に掲載されていることが衝撃なのである。

 軍備によってのみ平和は保たれるという主張とどう闘って行くのか、軍縮を通してのみ、そして非軍事の世界にどう向かっていくのかという努力をあからさまに否定する論考となっている。河野論文、前田論文にはまだその痕跡はある。しかし、この文谷論文にはない。あるのは自衛隊正当論だ。そこを読み取ると、この論文が月刊『世界』に掲載されたのは象徴的なことである。非軍事で平和構築という議論が崩壊しているということではないのか。


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