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何故、都の「外出自粛要請」に反対意見が無いのか!?

                       湯本雅典
●無理強いの「外出自粛」
東京都は、小池東京都知事が3月25日、記者会見で「外出自粛要請」を訴えた。そして、イベント自粛も同時に訴えた。その根拠は、「感染したことが判明した患者さんは、計41名」「一昨日が16名」だからということである。

これが、「外出自粛」の根拠になるのだろうか?確かにこの病気、治療法が確立されていない。そして、感染力がこれまでの感染症と比べて強いということが言われてはいる。しかし、知事としてやるべきことがまだあるのではないだろうか? 一つは、検査対象を広げ、保菌者がどれくらいいるのかのデータをより確実にすることである。小池知事が「外出自粛」の根拠とあげた「患者41名」の背景には、「検査87人」という数字がある。東京都では、1日に100人に満たない数にしか検査が行われていないのである。
陽性患者数(3月27日1日分・東京都発表)↓

検査数(3月27日1日分・東京都発表)↓

今の検査方法は、症状が出た人を中心にかかりつけ医か新型コロナ相談窓口に相談し、そこで診断が必要と判断された場合にのみ新型コロナ外来を紹介され、そこで初めてPCR検査を受けることができる仕組みとなっている。つまり、症状が出た人以外は、発症者の濃厚接触者以外はまず検査を受けることができない。ここに問題はないだろうか。
感染後、重症化のリスクが高いと言われている高齢者や持病を持つ方々は、大きな不安を感じている。また、発症した患者が生まれた施設(会館、飲食店等)を利用した人もそうである。その方々への検査対象の拡大は、不安の解消につなげる手段だ。また、やり方は考えなければいけないが、任意抽出の検査も必要ではないか。これは、感染の可能性の高低を数値化することができる。今の検査は、発症者中心のいわば後追い検査であって、発症可能性率を正確に数値化するためのものではない。

●マスコミが不正確報道を後押し
小池知事が会見した27日という日は、前述のように検査87人中発症者41人という、実に5割近い陽性率を示した日だ。しかしこれには、院内感染の検体が持ち込まれたという特殊性がはらんでいた。このデータをもとに、1200万人を対象とした「外出自粛」「イベント自粛」方針をいきなり出すことに大きな無理を感じる。
都のいわば「無理強い方針」は、マスメディアが支えている。25日の記者会見で小池知事の方針に、「やりすぎではないか」と疑問を投げかけるメディアはゼロであった。またほぼ100%のマスメディアは、未だに「感染者OO人」という表現をし、その数字の根拠である検査数をあげていない。先に述べたように検査対象が発症者であるので、発表された数字はほぼ発症者である。未発症者の中にも感染者はいる。マスコミが、正確な報道とはとてもいいがたい。

●危機が煽られ、解雇が続出している
朝日新聞(3月28日付・朝刊)↓

27日の参院予算員会で西村経産相は、「求人が急速に減少しており、雇用、所得の環境も急速に悪化している」と述べた。小池都知事は、25日の記者会見でイベントの自粛要請に対して「事業者側からすると収入が減るということがあるが、補償などはお考えか」という記者の質問に「保証等については、税金を投入するということについて本当に正しいのかどうか〜まずは自粛を要請しているところです」と答えた。
小池知事にしてみれば、莫大な予算を投入したオリンピックの方が大事だということなのだろう。しかしもうすでにリーマンショック以上の経済危機、生活危機がやってきていると言われている。このような小池知事が次期都知事でもいいのかという議論も含め、私たち市民の側のたたかいを強めてくことが求められているのではないだろうか。(2020年3月21日)

*新コロナ感染症の検査の仕組み


Created by yumo. Last modified on 2020-03-28 14:13:33 Copyright: Default

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