本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国サンケン労組を支援する会・第4回木曜行動報告
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1001sanken
Status: published
View


●韓国サンケン労組を支援する会 10月1日、第4回木曜行動報告

新座市長に会社解散の不当性を訴える

 10月1日、韓国サンケン労組を支援する会の第4回目の木曜行動が行われ、本社前には約40人が参加した。この日は、韓国では秋夕(チュソク)といって旧暦のお盆で連休となり、帰省したり、久しぶりに家族、親戚が集まり、食事をしたり楽しい時を過ごす一大民俗行事の日だ。韓国サンケン労組の仲間たちは、そんな秋夕を楽しめず、長年働いてきた職場が奪われるという重たい気持ちを抱えながら、ネットを通じて解散の不当性を訴えていた。

 今回も朝7時15分から新座市内にあるサンケン電気本社前、志木駅南口、池袋東口東京事務所(営業部)ビル前の行動に、それぞれ30人から40人が駆け付けた。韓国サンケン労組のネットを通じたアピールをメインに、新座市民のミュージシャン・ジョニーHの歌と演奏、支援する市民、争議団、労組の発言で各所1時間、支援する会のニュースを配布しながら宣伝行動を繰り広げた。

<サンケン電気本社前>

 出勤してくるサンケン労働者の皆さんに「おはようございます」と声をかれると、無視する人も多いが、はっきりと挨拶を返してくれる人、黙ってうなずく人、なんとなく目礼してくれる人。挨拶をしてくれる労働者は確実にふえてきた。通行人もビラを受け取ってくれていた。駅に向かう高校生の女性が自ら手をのばしてビラを受け取ってくれた。宣伝活動の効果がじわじわと浸透している結果なのか。

 3年前に比べて、出勤してくる社員の数が減っている感じだ。テレワークの影響か?その代わりに目につくのが建設労働者たちだ。かなりの数がいるようだ。裏手の古い社屋を壊し、新しい5階建ての大きな建物を建てているためだ。「開発行為の概要」の看板には事務所とあるが、工場に準じる研究開発棟ではないのか?その用途に疑問がある。

 郵政ユニオンの内田さんが、本社前での抗議行動開始の挨拶に立った。続いて韓国側の初めに元支会長で会計のヤンソンモさんは、「3年前、本社の和田社長はできもしない約束をした。和田社長は私たちだけでなく、日本のみなさんにも、新座市民のみなさんにも、嘘をついた。会社は「赤字なので清算する」と言うが、そんな状況にはない。韓国サンケンの社長は「労組がなければ会社は継続できる」と言っている」と和田社長のウソと不誠実な態度を強く糾弾した。

 この日、副支会長のキムウニョンさんの連れ合いのコンギベクさんは普段蔚山市で働いているが、秋夕の連休で馬山に来ている。会社の解散ともなれば夫婦の生活にも大きな影響を受ける。「韓国サンケンの一方的な会社解散に、韓国の労働者みなが怒りを感じている。日本のサンケン電気の不法な労働弾圧、労組つぶし、人権蹂躙は、以前から続いている。原職復帰してからの3年間、会社は計画的に清算を進めている。許せない」と家族としてアピールした。

 最後に全統一労働組合の佐々木書記長は、「私は新座市民だが、新座の『新』は『新羅』の『新』、新羅から多数の渡来人がここに来た。大陸の先進文化を日本に伝えた。ここは朝鮮半島との千年を超える悠久の歴史を持っている。コロナで雇用を守るべき会社が、韓国の労働者を切り捨ている。サンケンは新座と新座市民の顔に泥をぬった。サンケン電気と和田社長に厳しく抗議したい」と怒りの発言をした。

<志木駅前>

 志木駅前での宣伝行動を始めるにあたって、30年以上解雇撤回闘争を闘いっている三多摩合同労組の三信自動車の関根さんから開始の挨拶。続いて韓国サンケン労組の仲間たちが次々と市民に訴えた。

 教育宣伝部長のペクウンジュさんは「今回の韓国サンケン解散は、赤字だからと言っているが、全くのウソだ。サンケン電気は私たちの工場に投資するお金をたくさん持っている。労働者は保護されなければならない。私たちはただ、笑顔で工場で働くこと、そして安定して働けるように本社が投資することを求めているだけだ。」と会社のウソを明らかにし、安心して働けるようにしろと強く求めた。

 ジョニーHさんが途中で、韓国で最も有名な民衆歌謡に一つ「岩のように」を日本語で披露するなど歌で韓国サンケンの不当な解散撤回を訴えた。

 ちょうど宣伝活動をしている所に、新座市長さんが赤い羽根募金のためにたすき掛けで来た。早速新座市在住の仲間が、サンケンの争議の内容について説明し、和田社長に話し合いに応ずるよう市長さんから話してもらいたいと要請した。サンケン電気は、新座市の多額納税者である。また韓国労働者には冷たいが、新座市には寄付やボランティアなど様々な社会貢献をしている。社員や関係者も沢山住んでいるようだ。市長への訴えはめったにない良い機会だった。

<池袋・東京事務所>

 東京事務所を訪問すると既に受付のドアはカギがかかっている。面談の趣旨を伝えるといつものように「ここでは対応できない」「上には伝えられない」「ドアは開けられない」と閉じこもり。キムウニョンが韓国サンケンの現状と話を聞いてほしい旨を時間をかけて丁寧にネットを通して呼びかけても梨のつぶて。「聞いているか」と声をかけると、「聞いている」と反応はあるが、それ以外は全て拒否。我々はあきらめずにまた来るからとその場を去った。

<池袋・東京事務所前・昼休み行動>

 最初に「ゴンべさんの赤ちゃん」の替え歌で解散撤回を訴えて、埼玉市民の会、学校の廃止、解雇攻撃をかけられている連帯労組武蔵学園、上智大学から解雇された全国一般東京南部のクッキーチューさんなど参加した労組や市民団体が次々と発言した。ジョニーHさんはここでも歌でアピール。

 最後にキムウニョンさんが、「私たちが会社の前にテントを張って闘いを始めてから81日になる。サンケン電気は韓国から輸出を行い、売り上げを上げている。様々な企業活動を行っているグローバル企業が、なぜ韓国の17人しかいない工場の門を閉ざそうとするのか。この20数年間サンケンは、労働組合があるという理由でさまざまな弾圧をかけてきた。私は韓国サンケンに入って32年になるが、闘いの連続だった。3年前整理解雇の攻撃に対し、日本の本社前で解雇撤回を訴え、和田社長との交渉を求めて闘った。私たちは日本の人びとの支援を得て職場復帰した。韓国の社長が自ら命を絶つということがあったが、3年間一生懸命働いてきた。会社は経営が苦しいからと毎年賃金凍結を行った。不法、不当な韓国サンケン解散に対して、共に闘おう」呼びかけた。

 最後に東京事務所に向けシュプレヒコールを上げてこの日の行動を終わった。(報告=尾沢孝司)

<韓国サンケン労組の仲間からの訴え(要旨)>

●支援のみなさん、朝からありがとう。会社周辺の新座市民のみなさん、お騒がせします。韓国は、今日は秋夕(チュソク)と言って、盆休み。それでも私たちは会社の門前に座り込んでいる。本社の和田社長は私たちだけでなく日本のみなさんにも新座市民のみなさんにも嘘をついた。会社は「赤字なので清算する」と言うが、そんな状況にはない。韓国サンケンの社長は「労組がなければ会社は継続できる」と言っている。私たち組合員以外の社員は会社の希望退職に応じた。退職金は馬山地域で最高額。このことだけでも会社が赤字にあることなどあり得ない。和田社長は会社解散を撤回せよ。団体交渉に応ぜよ。韓国サンケンの生産継続に真剣に取り組め。

●お盆休みは家族で楽しい時間を過ごす。昨日は家族と過ごして不安な気持ちを忘れた。韓国サンケンの社長は会社に来ない。社長の役割を果たしていない。社長も盆休みで家族と団欒しているのかもしれない。しかし労働者にも家族がある。韓国の中でも支援の輪が広がりつつある。労組は利己的な集団ではない。会社の再生を、生産の再開を願っている。要求はたたひとつ。笑顔で働ける状態を作って欲しいということだ!

●サンケン電気の社員のみなさん、警備の労働者のみなさん、私たちは韓国サンケンの工場で働いてきた。3年前には解雇を撤回させて現職復帰を果たした。今回は会社解散と言うが、韓国サンケン以外の会社に仕事を回して韓国サンケン製品を生産し輸出している。こんな破廉恥なことがなぜ出来るのか。私たちは許さない。最後まで闘って職場に戻る。韓国内で出来ることを全てやる。コロナが収束すれば日本の本社に駆けつける。遠征できないで地団駄踏んでいる私たちに日本のみなさんの支援が力になる。必ずみなさんの支援に応える。

●十数年前に韓国サンケンに入った。職場には労組はなくてはならない存在だ。3年前にも先の見えない闘いを始めたが、しかし闘いの末に現場復帰を勝ち取った。私たちも闘ったが日本のみなさんの支援があったからこそ勝利があった。今回の闘いもいまが始まりの時だ。会社が「赤字だから解散」と言うのは嘘だ。別会社に仕事を発注して輸出し利益を出している。私たちは諦めることを知らない。サンケン電気本社は韓国サンケン解散を撤回し再開すべきだ。勝利の日まで私たちはあきらめない。

●韓国の盆休みの時期にも、会社は解散の手続きを進めている。しかし労組に対する支援の輪も広がっている。3年間、サンケン電気本社は、韓国サンケンに資材も資金も投入せず、別会社に回して輸出までしている。計画的な偽装解散と言わざるを得ない。韓国サンケンの会社解散を直ちに撤回せよ。資金と資材を投入し生産を再開せよ。

●サンケン電気の営業部のみなさん、話を聞いてください。あなた方の解散決定は労使協定に違反している。協議も合意もなく解散を決定した。退職金についても労使協議なく決定出来ない。一方的に廃業し退職させた。コロナがしばらく続くので組合は何も出来ない、和田社長がそう言っている。組合潰しの目的は明らかだ。6億円で別会社を買収しそこで生産し輸出している。労組があるというそれだけの理由で韓国サンケンを無くそうとしている。19世紀なみの時代錯誤のやり方だ。詐欺行為だ。営業の方々、出てきて話し合いをしましょう。本社の立場を説明しなさい。詐欺でない、違法でないと言うなら、出てきなさい。営業部のみなさん、会社の不当性が明らかになっていることを、和田社長に伝えてください。営業部のみなさん、私たちと同じ労働者です。話そうではないですか。会社が無くなる、職場が無くなる悔しさを考えてください。3年前には会社の人が出てきて説明しました。なぜ顔も見せないのですか?社長に伝えるのはあなたの仕事でしょう?


Created by staff01. Last modified on 2020-10-08 00:47:28 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について