松尾匡さん講演「7月参議院選挙で見えてきた反緊縮左派の可能性」 | |||||||
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松尾匡さん講演「7月参議院選挙で見えてきた反緊縮左派の可能性」要旨 2019年10月07日 ATTAC関西グループの連続学習会の特別企画として、10月6日、松尾匡さんの講演会を 開きました。30人を超える方に参加していただき、松尾さんの講演「7月参議院選挙で 見えてきた反緊縮左派の可能性」のあと、熱心な質疑がおこなわれました。 ATTAC関西グループのブログに要旨が掲載されています。 http://attackansai.seesaa.net/article/470731991.html をぜひご参照ください。 以下は抜粋です ・・・反緊縮運動を支える経済理論を整理すると、三つの流れがある。 1)ニュー・ケイジアン左派(ポール・クルーグマン、ジョセフ・スティグリッツ、サイ モン・レンルイスなど)〜IMFなどの国際機関を批判 2)MMT(サンダースの経済顧問であるステファニー・ケルトン、「人民の量的緩和」を 唱えたリチャード・マフィーなど) 3)信用創造廃止派 反緊縮運動のパッションの部分では、信用創造廃止派の考え方が支えている気がする。信 用創造廃止派の考え方とは、以下のようなものである。お金の圧倒的多数は預金通貨であ り、決済の多くは預金のやりとりで済ませている。お金を貸すということは、民間銀行が 貸付先の預金口座に数字を書き込むことであり、そのことでお金が作られる(=信用創造 )。つまり、借金によってお金が作られる。逆に、企業がお金を返すときは預金から数字 を消すので、お金が消える。批判的に見る人たちは「お金が民営化されている、私的利益 のためにお金が作られている」と批判する。したがって、民間の信用創造を廃止して、政 府が社会的に有用なものに投資してお金が作られる仕組みに変えることが必要だと言う。 ・・・ 反緊縮的経済政策は投資を社会化する社会主義的志向を持っている。決して資本主義を利 するものではなく、本質的にラジカルな、資本主義を変えていこうとするものであること を理解していただきたい。 ●7月参議院選挙の結果をどのように評価するのか れいわ新選組が作られたのは、私には寝耳に水の話だった。しかし、れいわの経済政策は ほぼ100点満点だと思う。いっときのポデモスなどが目指したものと同じだ。やっと日 本でもでてきたという思いがある。 2019年に入ってから、経済指数は軒並み悪化し、経済が崩れてきている。消費税増税 でマイナス効果が出るのは確実で、6月でポイント還元が終わり、8月にオリンピックが 終わると、失業や倒産が増えるだろう。これに対する怒りが溜まる中で総選挙を迎える可 能性がある。 そのときに危惧していることがある。参院選で維新から立候補して当選した音喜多駿のブ ログによれば、「維新は財政規律を大事にしてきたが、国家規模では方向転換している」 と(本人は批判する立場から)書いている。また、積極財政への転換を橋下徹に近い維新の 足立やすし代議士も主張している。維新は、統一地方選でも、緊縮を後ろに隠して、「大 阪の成長をとめるな」と言うスローガンを掲げて勝っている。橋下はもはや国政復帰の野 心を隠していないが、国民民主の一部などを抱き込んで橋下新党を作って、大不況の中で 、右からばらまき的な政策を打ち出せば大躍進するだろう。れいわと連携して左から反緊 縮を打ち出す必要がある。 ●薔薇マーク運動の到達点とこれから 反緊縮の世論を少しは作り出せたかなと思っている。れいわの躍進にもすこしは役立った かも、選挙キャンペーンとしての役割は果たしたと思っている。 ●気候変動と反緊縮 反緊縮運動の中では、気候変動危機は金融危機と同根であるという考え方である。対処の 仕方は同じものになる。お金の作り方を私的な利潤に任せるものではない。お金が悪さを するために使われるもとを絶たねばならない。グリーン・ニューディールという考え方が あり、オカシオ・コルテスが盛んに提唱しているし、ドイツ緑の党も前面に掲げて選挙で 躍進した。気候変動への対応を通じて雇用の創出をめざす経済政策でもある。 Created by staff01. Last modified on 2019-10-07 15:20:54 Copyright: Default |