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慰安婦問題めぐり「保守系論客」と大バトル〜映画『主戦場』上映会

 12月8日「憲法を考える映画の会」主催の『主戦場』上映会に参加した。会場の東京・文京区民センターは満席で、200人は軽く超えていた。そこになんと映画に「保守系論客」として出演しているケント・ギルバート氏と藤岡信勝氏がやってきた。その支援者も10名以上はいて、いったいどうなることかと不安な気持ちになった。じつは保守系のSNSに以下のような<詐欺映画「主戦場」を観るツアー>の呼びかけがなされていたのだ。

 「ジョン・レノンの命日である12月8日、都内で詐欺映画『主戦場』の上映会があります。場所はつくる会のおひざ元で、保守系イベントの聖地・文京区民センターという、実にアグレッシブな上映会。つきましては、『主戦場』被害者の皆さんと同映画を観るツアーを企画しています」

 上映妨害があるのでないかと主催者もピリピリしていたが、なにごともなく約2時間の上映中はみんな静かに鑑賞していた。10分の休憩をはさんで約1時間の感想会がもたれた。休憩時間に藤岡信勝氏が主催者に何やら申し入れをしていた。「発言の機会がほしい」という趣旨のようだった。

 当初は、上映後に「女たちの戦争と平和資料館」館長で映画にも出ている渡辺美奈さんのトークが予定されていたが、主催者の手違いにより来れなくなった。そのためいきなり「一人3分の感想会」になり、会場からは次々に感想や質問が寄せられた。それを受ける形で、ケント・ギルバート氏(写真左)と藤岡信勝氏(右)がマイクを握った。

 ケント・ギルバート氏は「まずこの映画の評価をしたい」と切り出し「私はこの映画の前半は両者の意見がバランスよくでていたと思う。しかし後半の日本会議の話のあたりから一方的なプロパガンダになっている」と批判した。藤岡信勝氏は「私が映画のなかで『国家は謝罪しない』と述べているが、そこだけ切り取られていて真意が伝わっていない」「はじめから歴史修正主義者(リビジョニスト)として極悪人扱いされた」と映画への不満を語った。

 会場と「保守系論客」との間で、映画の3つの争点となっている「慰安婦の数」「軍の関与」「強制だったのか」をめぐってやりとりが続いた。会場のある女性は「私は中国人慰安婦の万愛花さんに会って直接、強制連行・虐待の話を聞いた。あなたたちは直接慰安婦の話を聞いたことがあるのか?」と問いかけた。ある男性は「南京事件のレイプの酷さが慰安所設置のきっかけになった。その時の軍の書類は残っている。軍の関与は間違いない」と語った。

 ときおり激しいヤジも出る「大バトル」となったが、発言者はそれぞれが短い言葉で必死に相手を説得しようとして話すので、内容が具体的で勉強になったし面白かった。ある映画制作者の人は「ケントさんも藤岡さんも取材を受けたわけで編集権は制作者側にある。ここで何を言われてもしようがない。きょうは憲法の会主催の上映会。ここを乗っ取ろうということではなく、ご自分たちで上映会を開き思う存分話したらどうか」と語ると大きな拍手が起きた。

 最後に主催者の花崎哲さんが挨拶した。「休憩時間に藤岡さんから申し出があり質問に答える形ということで発言をOKした。きょうは活発な討論になってビックリしたが、お二人に来てもらってよかった。いろんな方が一緒に映画を見ていろんなことを話す。それが大事だと思う」と安堵した様子で語っていた。(松原明)


Created by staff01. Last modified on 2019-12-11 00:05:22 Copyright: Default

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