渡部通信～『崩壊するアメリカの公教育ー日本への警告』（４）

・「都教委包囲首都圏ネットワーク」、・「新芽ＭＬ」、
　・「ひのきみ全国ネット」、・「戦争をさせない杉並1000人委員会」
の渡部です。
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＜第3章　市場型学校選択制と失われゆく「公」教育＞ではまず、
大規模な災害後に公教育が市場化される様子を、次のように紹介している。
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　　2005年のハリケーン・カトリーナ後、当時のジョージ・W・ブッシュ政権は、
　未曽有の災害によって完全に麻痺状態にあったニューオリンズを、
　アメリカ史上最大のチャータースクール（公設民営学校）計画の実験地として
　利用した。貴重な税金は、壊滅的なダメージを受けたニューオリンズ市の
　約80％の公立学校の修復のためではなく、公設民間運営校である
　チャータースクールの乱立に注ぎ込まれた。
　学区制は廃止され、被害を免れた一部の公立学校、非営利団体、そして
　営利目的の教育企業が、生存を懸けて優秀な生徒を奪い合う
　一大教育市場がそこに誕生した。
　　その結果、学校は階層化された進学塾のようになり、
　学校選択制の名の下に公教育における教育格差が正当化された。・・・
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次に「憲法が教育を受ける権利を保障しない国」と言う項目では、
地域格差がもたらす不平等を裁判所が認める判決を下したことが、
以下のように述べられている。
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　　1973年、テキサス州サンアントニオで、州の教育予算制度が引き起こす
　教育機会の不平等を問う訴訟（ロドリゲス裁判）があった。
　アメリカのほとんどの地域では、州から給付される最低限の予算に加え、
　土地にかかる固定資産税が教育予算の主要な財源となっている。
　よって、地価が髙ければ高いほど、その地域の教育予算は増え、
　教育設備等が充実する反面、貧しい地域ではチョークやトイレットペーパー等の
　必要最低限の消耗品さえままならず、教科書も全生徒分購入できないため、
　学校保管にて授業時のみ貸し出しといった極端な格差が生じることになる。
　　しかし、アメリカ連邦最高裁はテキサス州の教育予算制度は違憲ではない
　との判決を下した。・・・
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次に「『危機に立つ国家』と新自由主義教育改革」という項目では、
次のようなことが述べてある。
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　・・・新自由主義の「小さな政府」と能力主義、そして自己責任の
　イデオロギーの下、アメリカは・・・教育という極めて人間的で複雑な営みを
　市場原理に委ねるという安易で実験的な逃げ道を選んだ。
　　教育予算が豊富にあり質の高い学校がすでに存在する裕福な郊外では、
　学校の選択肢を増やすことも市場化によって公教育を活性化する必要もない。
　主に都市部の貧しい地域の公教育のみを市場化するのだ。
　その意味で、市場型学校選択制は、富の再分配による貧困解消の実現を目指す
　政治的意思の欠如によって支えられていると言ってよいだろう。
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次にある、「市場型学校選択制の種類と主張されるメリット」
　　　　　「ニューヨークの学校選択制」
という項目は割愛する。
そして、その次の「学校の序列化と『選択』という幻想」という項目に
ついて紹介したい。そこでは次のようなことが述べられている。
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　　平等な競争に関して言えば、確かにニューヨーク市では、
　チャータースクールへの入学は、法律により抽選のみの決定となっている。
　しかし、実際には、自分の学校を他と差別化するために少しでも
　能力の高い子、教育熱心な親を求めて熾烈な争奪戦が繰り広げられており、
　公教育の枠組みであるにもかかわらず、内密に生徒に入試を課していたケース
　が相次いで報道されている。あるいは、点数の取れない生徒に自主退学を
　促していたケースも少なくない。これにより、英語が母国語でない子ども、
　知的障がいを抱える子どもなどが抽選のリストから外され、
　点の悪い子どもが退学に追い込まれていた実態が露呈した。・・・
　・・・・
　　結果的に、経済格差は教育格差と連動し、再生産される。
　オバマの成功話をアメリカに教育機会の均等があることの象徴と
　捉える意見もあるが、これは間違ている。
　アメリカの極めて階層化された学校システムは、
　確かに「無限の可能性」を売り物にするものの、
　それは「低い確率」という条件付きであり。教育の機会均等からは
　ほど遠い。・・・
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そして次に来る項目が、「公教育という名のカースト制度」である。
しかもここでは、著者の子どもの具体的な例も述べられている。
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　　2012年、『ニューヨークタイムス』が、「100万ドルPTA]と題した
　興味深い記事を掲載している。それによれば、ニューヨーク市のとある公立の
　小中一貫校では、2009年度だけで、保護者会や卒業生らが、
　日本円で優に一億円を超える寄付金を調達したという。・・
　・・・・そのようにして集められた寄付金は、立体的デジタル映写機、チェスセット、
　各教室に配置されるコンピュータやエアコン、自動洗浄型トイレ、
　泊まりがけの修学旅行などに使われるそうだ。
　　それとは対照的に、低所得者用の公共住宅に住む生徒が大半で、
　ホームレスの子も30人以上いる私の娘たちの学校には、
　体育も、美術も、音楽の先生もいない。
　貧しい地域の「低学力」の学校では、
　学校の存続を懸けてテスト対策に特化した教育が施されるため、
　多くの授業時間や予算やスタッフ等の資源がテスト準備に当てられ、
　美術、音楽、体育などのテストの対象ではない教科は省略されるのだ。
　そして、これは教員配置における不平等の再生産にも繋がる。
　貧困地区に多く見られるカリキュラムの締め付けのきつい学校からは
　優秀で想像力豊かな教師が去り、裕福な地区に多く見られるテストに
　固執しない学校にそれらの教師が集まるという悪循環が起きることになる。
　・・・体育館へのアクセスがないために、他の学校の子どもたちが体育館で
　体育の授業を受ける中、娘の学校の子どもたちは机を片付けて
　教室の中でできる「体育活動」を行い、
　障がいをもつ生徒らは廊下でフィジカルセラピーを受けている。
　　そして、皮肉にも娘の学校の子どもたちが音楽の授業を受けられないで
　いる中、同居する学校からはジャズバンドの楽しそうな音が聞こえてくる。
　まるで同じ校舎の中でカースト制があるかのようだ。
　・・・
　　その地域のとある小学校（公立）に子どもを通わせる私の友人によれば、
　子ども一人につきPTAの年会費が7000ドル（約70万円）要求されるという。
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最後に「『私の子ども』から『私たちの子どもたち』へ」という項目があり、
そこには次のようなことが述べてある。
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　　今、アメリカでは民主主義の基盤であるはずの「公」教育の概念そのものが
　根底から崩れつつある。
　　・・・・・
　　日本でも、地域および学校間の序列化と競争の激化による公教育の市場化が
　懸念される。その時、競争の中で人々は繋がりと教育における民主的介入の
　手段を失い、政権の教育ビジョンを受け入れる他なくなるのではないだろうか。
　　日本が憲法と教育基本法によって全国民の教育権を保障するのは、
　教育を公共財と見なすからだ。新自由主義の台頭により、社会のあらゆる側面が
　ビジネスの支配下に置かれるこの時代、
　「消費者である私」ではなく「市民である私たち」、「私の子ども」ではなく、
　「私たちの子どもたち」というビジョンを共有することで、
　教育を通して民主主義の再生に取り組む必要があるのではないだろうか。」
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以上が、第三章の概要である。
いずれの指摘も、私たちにとって極めて教訓的ではないだろうか。

次回は、＜第4章　発展途上国からの「教員輸入」と使い捨て教員＞です。
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都教委包囲首都圏ネットワークでは、
今年も「都教委包囲要請行動」を以下の要領で行います。
　　　　「10・22都教委包囲要請行動」
＜目的・概要＞都教委のこの間の教育行政に関する抗議・要請。
　　この中には、「日の丸・君が代」強制反対をはじめ、
　　裁判で都教委作成のウソの陳述書へ、校長に署名・捺印させ提出させていること、
　　性教育では現場の実態とかけ離れた指導をしていること、
　　五輪教育が国威発揚・ボランティア奨励の場になっていること、
　　学校での条件整備をせずに始めた「英語村」（有料）の問題点、
　　などもあります。
　　その他、都教委に物を言いたい団体・個人の方の参加を歓迎します。
　　要請文・抗議文が有っても無くても、どうぞおいでください。
　　＜日時・場所など＞
　　　10月22日（月）
　　　　15：30　都庁第一調査前集合
　　　　　　（シュプレヒコールと簡単な打ち合わせ）
　　　　16：00～17：00　都教委要請行動
　　　　終了後、都庁前での簡単な報告会

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【僕、国歌歌わないもん】（石原慎太郎）
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東京五輪に【国旗も国歌も必要ない】（ビートたけし）
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（このメールはご迷惑を承知で多くの方々に発信します。
ご迷惑な方は止めますのでご連絡ください。）
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