本文の先頭へ
LNJ Logo 根津公子 : 2008年不起立裁判、思ってもいなかった展開に
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1531440183159st...
Status: published
View


根津公子です。

河原井・根津2008年「君が代」不起立処分取り消し訴訟控訴審第2回・証人尋問
の報告――思ってもいなかった展開に

 今日7月12日、東京高裁で私たちの2008年事件裁判(ともに停職6月処分)
がありました。
河原井さんの処分は地裁で取り消されているので、河原井さんについては損害賠償請
求を、根津については第一に処分取り消しを争っています。
 今朝は足取り重く、でも帰路は思ってもいなかった展開に、かすかな光を感じまし
た。甘いとは思いますが。

*地裁判決は
 2007年事件は2015年に控訴審で根津の処分も取り消され、2人に損害賠償
も認め、それが2016年5月に最高裁で決定されました。
ですから、2007年事件最高裁決定に従えば、2008年事件処分も取り消される
ところでしたが、地裁判決は根津については、「日の丸・君が代強制反対」等とロゴ
の入ったトレーナーを勤務中に着用したことが職務命令違反・職務専念義務違反だと
する都教委の主張を認め(不起立処分発令書の処分理由に不起立だけでなく、トレー
ナー着用も記載されている)、加えて、2007年事件最高裁決定が実質禁じた「過
去の処分歴」を使いまわし、それらが、処分を加重してよい「具体的事情」だとしま
した。

「根津の過去の処分歴に係る非違行為は、積極的に式典や研修の進行を妨害する行為
が含まれているほか、その頻度も、懲戒処分7回、訓告2回という高いものであるか
ら、規律や秩序を害する程度は相応に大きいものである。
また、トレーナー等着用行為を行い・・・根津はあえて学校の規律や秩序を乱す行為
を選択して実行している。・・・このような過去の処分歴に係る一連の非違行為の内
容や頻度等及び本件トレーナー等着用行為を含む根津の一連の言動に鑑みる
と、・・・学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の
観点から、
停職期間(6月)の点を含めて停職処分を選択することの相当性を基礎づける具体的
な事情があったものと認めることができる」と。
 トレーナーについて私は、「以前から着用していたもので、着用を問題にした校長
は南大沢学園校長のみ」と事実を主張してきました。
 
*控訴審で
 昨2017年9月に第1回目の控訴審法廷が開かれ、以降4回の進行協議を経て今
日は、ロゴの入ったトレーナー着用についての証人尋問となりました。

昨年12月25日付で立川二中の校長(当時)が、根津は2005年の6月頃、一度
着てきたことがあったが、始業前に注意したところ、脱ぐか上に羽織るかし、以降、
着用したことはなかった、だから事故報告をあげなかった旨の陳述書を出してきまし
た。
そこで私は、同じロゴの入ったTシャツを着用していた高校教員Iさんに、着用してい
たが、注意されたことはなかった。不起立処分発令書の処分理由にTシャツ着用が書
かれることもなかった旨の陳述書を提出してもらいました。
そうしたところ、Iさんの当時の勤務先のM副校長が、Iさんは着用していなかった。
もしも着用していたら、着用禁止の職務命令を出した旨の、全く虚偽の陳述書を出し
てきました(今年2月)。

 「君が代」不起立6月処分が適法か否かの審理が、ロゴ入りトレーナー着用問題に
特化していき、今日は立川二中元校長とIさんの尋問になりました。

 Iさんは自身が着用していたことの他に、「M副校長は、都教委が作成した陳述書に
署名押印しただけと思う」と言いました。
数年前に同僚だった教員が懲戒免職にされ、その裁判の中で校長は都教委が作成した
陳述書に署名押印箚せられた。しかし、それによって免職適法となることを後悔し、
謝罪し、本心を書いた陳述書を提出し、処分は取り消された。それは裁判所が裁判の
中で認めたことだと証言。また、その校長を原告側証人として申請したところ、都教
委が、その校長は体を悪くしていて証言に立てないと裁判所に言ってきたことも証言
し、そうした事実から、M副校長の陳述書も、都教委の都合に合わせた、都教委作成
のものではないかと思うとの証言でした。
都教委がいかに校長たちを支配管理しているかが浮き彫りになりました。

 立川二中元校長の証言では、先に提出されていた陳述書に書かれていたこととは全
く異なる証言となりました。
着用してきたのは1回限りで、校長が注意したらその後は来てこなかったという点は
変わりませんでしたが、着てきたのは陳述書に記載のある、「平成17年6月頃」で
はなく、「平成16年の運動会頃の5〜6月」と言うのです。

事実は、私の日記によれば、「2004年7月1日」(平成16年)。このとき私は
校長から「このTシャツは何ですか。なぜ着ているのですか」と聞かれ、「公立学校
の教員は公正中立でなければならない。法的に調べなければならないけれど。信用失
墜行為にならないようにしていただきたい」と言われたので、「着るなということで
したら、法的根拠を提示してください」と私が言うと、校長は了承したのでした。
その後、校長から何も言われなかったので、着用を禁止する法的根拠はないと受け取
り、私はその後も着用し続け、校長も何も注意しなかった。それが事実でした。
 校長は、根津から「法的根拠を調べてほしいと言われ、了承した」と、その部分は
事実を証言し、「トレーナー着用が、事故報告をあげ処分するようなことではないと
思う」という主旨の証言をしました。

 この陳述書作成にあたって、誰から連絡が来たか、どこで、誰に会ったか、作成は
誰か等々こちらの代理人が尋ねると、校長は確認を求めるかのように都側代理人の方
を見て、答えていました。都教委N氏が校長の職場に来て面会し、校長が話したこと
をもとにN氏が作成した案文を見て、「間違いは直してもらって」署名押印したとい
うことでした。

 トレーナーについての、わずか900字の陳述書の中に、年度の違いなど、誤りが
6個もありましたが、校長は「気づかなかった」と言いました。
読まずに署名押印したのではないでしょう。
とすれば、都教委がこれでゴリ押ししたということかと思います。

Iさんが、都教委作成の嘘の陳述書に署名押印させられた校長のことを証言してくれ
たので、立川二中校長の陳述書も同様な作成過程があり、信用に値するものではない
ことがはっきりしたのではないかと思います。
 「注意した以降は、根津は立川二中ではこのロゴの入ったトレーナー・Tシャツを
着用していなかった」という校長の陳述書を前に、私がどれだけ「着用していた」と
言ったところで、証拠にはなりません。
そこで、連絡の取れる当時の生徒5人にお願いしたところ、5人ともが覚えていた
り、思い出してくれたりして陳述書を書いてくれました。こちらの代理人がその生徒
たちの名前を挙げると、校長は「覚えていますよ。」と言い、突然じょう舌になって
楽しそうに証言するのでした。
私が立川二中に在職した2年間、校長は気になっている生徒のことでしばしば私に相
談してくることがありましたが、その時の表情と重なりました。
 校長は、「生徒たちが陳述したことは嘘だ」とは言いませんでしたが、生徒の陳述
をどう受け取ったのでしょう。
家庭科の授業は週1回ですが、生徒たちはそれでも私が着用していたことを覚えてい
た、あるいは思い出した。毎日顔を合わせていた校長が忘れるはずはないでしょう。

校長は、根津停職6月処分の適法性を立証するのに自分が使われていることを認識し
ているんだろうか。
根津の処分よりも、自身の保身(小金井市教育相談所 非常勤教授)を優先させたの
か。
いや、都教委から指示されたら、判断することなく従うということなのか。そんなこ
とを考えながら校長を観察していました。
まさに、国会で繰り広げられていることの小型版を見させられた感があります。

校長尋問の30分間、都側代理人の表情は硬かったです。嘘の陳述書を出させたこと
を後悔したのでしょう。

こんな虚偽だらけの校長陳述書・証言をもって、トレーナー着用を「処分を加重して
いい具体的事情」とし、根津停職6月処分を適法とするには余りに無理があります。
処分取り消しとするしかないでしょう。
 
*次回法廷は
 尋問が終わったところで裁判長から訊かれ、こちらの代理人が「本人尋問を行なっ
てほしい」と言ったところ、裁判官は席を離れ協議してきて、「真偽のわからない点
もありそうだから、次回提出された書面を見て本人尋問をやるかどうかを判断した
い」と言い、結審にはしませんでした。
嘘や卑怯な手段を意に介さない都教委の支配性を裁判官が見てくれるといいのです
が、果たして? 
次回法廷は11月8日14時から。

Created by staff01. Last modified on 2018-07-13 09:03:03 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について