本文の先頭へ
LNJ Logo 三里塚一坪共有運動、法人化で再出発を期す
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1202y
Status: published
View


三里塚一坪共有運動、法人化で再出発を期す

12月2日、東京・文京区の文京区民センターで、「三里塚大地共有運動の会」設立報 告集会が開かれた。主催は「一般社団法人三里塚大地共有運動の会」。反対同盟員と 支援者ら約80人が集まった。

「大地共有運動」は「一坪共有運動」とも呼ばれ、三里塚空港(成田空港)に反対す る人々らが1966年に始めた。建設予定の土地の名義を多数の支援者らで分割し、空港 公団(新東京国際空港公団・当時)による用地買収の手続きを煩雑にすることが目的 だった。 83年にはさらに細分化をめざす「一坪再共有運動」に着手。この取り組みへ評価をめ ぐって反対同盟は分裂。運動を提唱した熱田派を「脱落派による土地ころがし」など と非難する一方の反対同盟支援党派が、熱田派支援の特定党派にせい惨なテロを繰り 返すという事件が起きた。

集会の冒頭、大地共有委員会の加瀬勉さんが発言した。 「55年の歳月をかけた闘いで、敵は強権的な空港建設から『親切丁寧に説明する』と いう態度に変わっている。問答無用のやり方から地域住民を細かく掌握して切り崩す 方針を採っている」。「三里塚闘争はわが闘争。運命を共にする闘いだ。沖縄も同じ だ」。「今後の運動は『金太郎飴』ではだめ。新しい酒は新しい革袋に入れる。今日 はお祝いの日、ぜひこの闘いを成功させよう」と訴えた。

反対同盟の柳川秀夫さんは「一坪共有運動は当時、社会党の指導で始まった。今でも 当初の思いが生きている」と切りだし、「法人化そのものが闘いの武器になるわけで はないが、買収への対策にはなる。環境を守り抜く農業を続けていきたい」と語っ た。

騒音直下の地元で特産品を販売している「三里塚物産」の大森武徳社長は、現地・木 の根で開かれた納涼祭のDVDを上映して解説した。この賑やかな祭典の動画をユー チューブにアップすると、SNS上で注目され現地に学生が訪れるようになった。 「『成田の禁断の土地』と言ってやって来る。最初は興味本位でいい。事前に学習を してくる人もいる」。大森さんはこの成果を生かすために、歌手の加藤登紀子さん、 泉谷しげるさん、頭脳警察などを呼んだ大規模なイベント・原野祭の構想を練ってい るという。

半世紀以上続けてきた共有運動がなぜ今、「法人化」なのか。三里塚空港は現在、第 三滑走路建設、夜間発着枠の拡大、B滑走路再延伸など、空港機能強化のただ中にあ る。2018年6月には、所有者不明の土地を公共事業のために収用できる「所有者不明 土地特措法」が成立した。 一方で共有者の高齢化が進み、登記当時の住所からの移転や本人の死亡・相続などの 問題に直面している。空港会社(成田国際空港株式会社・現)は業務として調査を進 めているが、運動主体の対応は立ち遅れ、全体を把握できていない。放置すれば、空 港会社による取得が進むことは明らかとの危機感がある。

この日の集会には、沖縄、関西、静岡、羽田、福島など、全国各地で反空港や反基地 闘争を担う人々らも駆けつけて発言した。参加者からの質問として、「共有地を法人 化で一本化すると、そこが狙われればすべて終わりになる。不特定多数の個人が所有 していたほうが、買収対策としては安全なのではないか」などの声が上がった。

78年の管制塔占拠闘争の元被告・平田正剛さん(写真)は、「管制塔闘争から今年で 40年。記念集会には私たちの予想した200人の倍以上の人が集まった。三里塚は自分 にとっての故郷。これからも新しいことをやっていきたい」と元気にアピールした。

法人としての会は11月13日に正式に発足。設立に至る経緯がこの日報告された。会 では共有者の調査を進めながら、登記変更(譲渡)の意思の確認を行なう。費用は個人 負担やカンパで賄い、共有運動を継承・発展させるために、正会員(社員―資格審 査・推薦が必要)と賛助会員を募る。(報道部・Y)


Created by staff01. Last modified on 2018-12-08 20:36:52 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について