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●レイバーシネクラブ4月例会報告(2018年4月7日/戸越スペース)

『アルジェの戦い』から暴力・非暴力を考える

    小川 治

 会場の「戸越スペース」は、地下室とは思えないとても快適な空間でした。長丁場でしたが報告・ディスカッションで盛り上がりました。「暴力と非暴力」をテーマとした第1回例会(会員制勉強会)は、『アルジェの戦い』を観て、木下昌明さん(写真)から映画についてお話がありました。参加者は13人。

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 1966年のアルジェリア・イタリア合作映画。ベネツィア国際映画祭でグランプリ受賞。その授賞式でフランス代表団はフランソワ・トリュフォーを除いて全員会場を退席した。
 自身も闘争に参加した原作者ヤセフ・サーディはFLN(アルジェリア民族解放戦線)の指導者サアリ・カデル役として出演。原作を書いたのはパリの刑務所。その前に入れられたアルジェリアの刑務所ではペンや紙がなかった。
 アマール・アリは実在の人物。アルジェリア側の俳優は全員素人。日本では1967年に公開された。17人の映画人その他の人たちから絶賛された。
 アルジェリアだけでなくフランス本国でも何万人ものアルジェリア人が殺された。
 暴力を描くことで暴力を否定した事実に即した映画だが悪い影響もあって日本では暴力を肯定する人(太田竜など)も現れた。
 映画の台詞「本当に困難なのは革命の後」さながらに、独立後も内戦が続いた。
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 上映後に討論を行いました。初めて観た人、何回も観た人とさまざまでしたがテレビニュースの「暴力の応酬」というコメントのような、どっちもどっちという意見は皆無だったと思います。優れた作品は幾つもの解釈ができるといいますがまさにそのとおりの討論会でした。多分その人の今までの人生、今思うこと、これからやりたいことが違う解釈を生むのでしょうね。皆さんの発言をすべて正確に書くのは私には到底無理なので、いくつかを略記します。

・権力の拷問・暴力は絶対許してはいけない。
・1960年代の学生運動に悪影響を与えてしまった。
・わかりやすくドキュメンタリーのようだった。
・以前観たときときは太鼓の音が心臓の鼓動のようで怖かった。今回は感動した。
・暴力の怖さを感じた。フランスの大きな暴力に対しテロは必然。
・その時代の人にしかわからないことがある。それを知らない人がとやかく言っても仕方がない。
・ラストシーンが感動的。
・どちらかを悪玉にすることなく描いている。子供まで犠牲にするFLNのテロ。競馬場での爆弾テロ直後に暴行を受けるアルジェリアの物売りの子供を身を挺して守るフランス人警官。
・フランス空挺部隊に包囲されているアリたちを見守る大勢の民衆たち。涙を流している人もいた。それがのちの蜂起につながったのでは?
・アリとマチュー中佐の二人だけ経歴が紹介されている。それによって両者の戦いを詳しく描いている。

 次回は労働運動の不朽の名作『地の塩』の上映とディスカッションを行います。ぜひご参加ください。5月19日(土)17時〜、「戸越スペース」。詳細はお問合せください。→レイバーネット事務局

 蛇足ながら・・・
 この映画の音楽を作曲したエンニオ・モリコーネはこんな曲も作っています。これも大好きな曲・映画です。単なるBGMではなく映画を深く理解して曲を作っているのだと思いました。

映画「MyName is Nobody」日本ではミスターノーボディで公開
https://www.youtube.com/watch?v=MmdlcGmVYgc

【参考までに】
『アルジェの戦い』公式サイト
http://algeri2016.com/

ヤセフ・サーディ氏インタビュー
https://www.cinematoday.jp/news/N0037306

ウィキペディア「アルジェリア戦争」
https://ja.wikipedia.org/wiki/


Created by staff01. Last modified on 2018-04-09 12:11:20 Copyright: Default

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