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『電通事件』〜過酷労働にさらされている人もいない人も必読の一冊

お茶の水の大きな書店でたった1冊残っていた『電通事件 なぜ死ぬまではたらかなければならないのか』(北健一著/旬報社刊)を手に取る。だれかが、一気に読めるといっていたけれど、読書力の落ちた私でさえ、読みやすい。読む人の身になって順々と書いてあるのだ。

昨年末に悲しみと共に日本の空を駆け回ったニュース、電通社員の過労自死を読み解いていく。起こってしまった事件とはなんだったのか、なぜ起こったのか、それは防げたのか。ネットでも話題になった「鬼十則」にも触れ、それの生まれた背景と、いまの社会背景の違いに言及する。そして、電通タブーという、巨大広告会社という特質、特殊性としてメディアからの広告引き揚げという圧力についてもえぐって見せる。

一社、電通ばかりでなく、最近注目されている郵便局員の過労死、ワタミの過労自死、外食産業やコンビニエンスストアの超過酷シフトにも広げていく。

労働者のほとんどが知らない労働者の権利や三六協定にも触れ、労働組合の必要性を説くとともに、その弱体化にも筆は及ぶ。

二つのインタビュー記事も秀逸だ。一つは、佐々木司氏によって睡眠の特質から過労自死や過労死が共通の身体反応であり、人間的弱さから来るものではないと科学的に解説している。これによって、すべての人が自分にも起こりうることであるという自覚が持てる。 もう一つは、過労死弁護団の幹事長を務める尾林芳匡氏による弁護を通して見えてくる社会的な状況と、いま安倍がしようとしている労働改革のウソに鋭く切り込んでいる。

プロローグからエピローグまで、目が離せなかった。私たちは、幸せな生活を送るために働くということを思い出させてくれたし、いまの労働界のさまざまな問題が透けて見えた一冊である。
【笠原眞弓】


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