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トンデモ経営者とトンデモ裁判所〜フジビ「恫喝」訴訟で最高裁不当決定

動画(8分)

 「会社の名誉・信用を毀損したから被解雇者3人は350万円払え」という前代未聞の東京高裁判決から約1年、8月22日、最高裁もこれを追認する「上告棄却・上告不受理」を決定した。9月7日午後、この決定に怒った当該のフジビ争議団と支援の人たちが最高裁西門前で抗議の声を上げた。被解雇者の訴えを聞いていると「経営者も裁判所もひどすぎる。こんな不条理が通るのか」という感情がムラムラと湧き起こってきた。


 *富士美術印刷工場。この中に製版部門「フジ製版」があった(2016年10月の写真)

 2012年、東京・荒川区にある富士美術印刷は製版部門(子会社=フジ製版)にある労働組合をかねてより嫌って、これをつぶすために子会社のみに「計画倒産」を仕掛け、18名の従業員を退職金も払わず解雇してしまった。フジビは、田中正昭会長による一族経営会社でやりたい放題だった。組合を排除したあとの富士美術印刷の工場には約80人の従業員働き、印刷業を続け利益を上げている。そのうえ会社は、解雇された組合員が「職場復帰」を求めて活動を起こすと、今度はチラシや横断幕の文言が「信用毀損」にあたるとして、組合の中心者3人に対して2200万円の損害賠償訴訟を起こした。強い者が弱い者を相手に起こす典型的なスラップ訴訟で、恫喝訴訟・批判的言論威嚇目的訴訟と言われている。

 横断幕の文言は「荒川区の“印刷御三家”フジビは責任を取れ!」とか「億万長者の社長が給料・退職金をふみ倒すな!」といったもので、過激な行動をしたわけでもない。組合の「表現活動」そのものにイチャモンを付けてきたわけだ。親会社フジビの主張は、子会社フジ製版とフジビは別法人で親子会社でなく下請の一つだから、フジビを批判する文言は信用毀損というものである。

 午後2時から司法記者クラブで会見があった。争議団の代表である小金井俊弥さんは「あたりまえの組合活動をしていただけだから、憲法を守る裁判所では勝つと思っていたが、あれよあれよというまに最高裁まできて負けてしまった。あたりまえのことが逆転してしまった。これは裁判所による解釈改憲だ」と憤る。同じく当該の中原純子さんも「他の裁判も含め労働委員会など3件で争ってきたが、田中一族の経営者4人はだれ1人として法廷の証人尋問に出てこない。それが一番許せない」と。

 日本労働弁護団長の徳住堅治弁護士(写真上)は「許しがたい判決。これでは普通の組合活動が出来なくなる。時代がここまで来てしまったのか。あるいは時代を先取りしているのか!」と強い危機感を表明した。古川健三弁護士は「裁判所は労働現場の実態をまったく知らない。ヘイトスピーチと組合活動を同列視しているようで、まんまと会社の主張にのってしまった」と解説した。日本の労働組合全体に影響を与えるフジビ「スラップ訴訟」。この間、フジビ争議団を支援する労働団体・民主団体の「団体署名」は2200筆に達している。


 *共闘会議メンバー(右)が最高裁に要請書・団体署名を手渡す

 最高裁の上告棄却で高裁判決の「3人の組合員に対して総額350万円(利息を入れると410万円)を払え」という内容が確定したわけだが、記者が「お金をどうするのですか?」と聞くと、中原さん(写真上)は「払いたくてもお金がない。フジビに戻って働いて払う」との答えだった。トンデモ経営者とトンデモ裁判所に痛めつけられたフジビ争議団の人たちだが、負けてはいない。9月14日にはフジビ闘争5周年集会デモ、10月にはフジビ社前の1か月連続座り込み行動を予定している。「計画倒産・解雇」を許さないたたかいはまだまだ続く。(M)


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