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LNJ Logo 映画紹介『ギフト 僕がきみに残せるもの』〜息子に残す難病に侵された父の姿
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●映画紹介『ギフト 僕がきみに残せるもの』〜いつだって全力、息子に残す難病に侵された父の姿

    笠原眞弓         (c)2016 Dear Rivers, LLC 有名アメリカンフットボールチームの歴史に残る名選手スティーヴ・グリーソンは、引退 後難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を宣言された。 彼はアメリカ史上に残るハリケーン「カトリーナ」(2005年)の被害を受けた後の最初の ホーム試合で、勝利に導き、市民を勇気づけたヒーローだった。この選手のことを針の先 ほども知らない私は、先入観なくニューオーリンズ・セインツの名選手だった彼に映画の 中で向き合った。そこに展開されたのは、とんでもない一人の苦悩する人であり、家族の 物語、しかも父と息子の物語でもあった。 カトリーヌ襲来から5年後、引退し新婚間もない妻と今後の人生設計を考えているとき、 病気がわかる。それと同時期に妊娠も知った。 この病気はアメリカでも発病5年くらいで亡くなるといわれている。生まれてくる子ども がまだ幼いうちに自分は死ぬだろうとスティーヴは覚悟すると同時に、子どもが父親のこ とを知りたいと思ったときに「お父さんは、こんな人で、こんなことを考えていた」とい う「自分の存在」を残したいと思うのだった。それはとりもなおさず、自分の父親との葛 藤のためでもあった。 これまでに撮りためたビデオテープ1500時間分に写りこむのは、仲睦まじい家族の姿であ り、心が折れて互いに背中を向け合っているさまだったり。人手を借りなければ生きてい けない切羽詰った状況の中で、息子との思い出をつくりたいとチャレンジしていく姿勢。 それはスポーツで鍛えられた「絶え間のない努力」の精神なのかもしれない。 その中に描かれる自分の父親との関係に、救いを感じる。リタイヤした父の、息子に対す る和解の気持ち、息子の父親のその気持ちを受け入れる情景が、リアルに映し出される。 この映像には、少ししか登場しないが、スティーヴ夫妻が設立した非営利団体チーム・グ リーソンが注目される。そこでは、ALSの患者さんの最新テクノロジーでの支援と、この 病気の治療法と根絶を最終目標とした研究活動を行っている。 中でも発語の困難なALSや脳性麻痺、脊髄損傷などの人に必要な音声合成機器の保険適用 を法律化したことがあげられる。 彼は発病5年を越え、人工呼吸器をつけながらもまだ私たちと同じ空気を吸っている。ア メフトの希望の星は、いま世界のALS患者と家族の希望の星であることは間違いない。 (111分)監督・編集:クレイ・イトゥイール 8月19日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷他にて全国順次公開 ※この映画上映に伴って、日本のALSプロジェクト前売券の売上げから『宇宙兄弟』ALS プロジェクト「せりか基金」に寄付の応援も行っている。 詳細は→http://transformer.co.jp/m/gift/als/index.html

Created by staff01. Last modified on 2017-08-21 20:46:23 Copyright: Default

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