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原点は平和への強い願い〜ディック・ブルーナのデザイン展

 絵本「うさこちゃん(ミッフィー)」シリーズで知られているディック・ブルーナ(写真)のデザイン展が、東京・銀座松屋で開催中(5月8日まで)だ。丸い輪郭に小さな黒点の目そして×印の口が印象的なうさこちゃんに私が出会ったのは、多分20代だったと思う。シンプルな線とあざやかな原色の色使い、こどもの心に忠実なストーリーに引き込まれた。そしてなんといっても、うさこちゃんの愛らしさは格別だった。読み終わるとなんともいえない暖かさと安心感が心に残った。

その作者ブルーナが、今年2017年2月89歳で亡くなった。私は朝日新聞の追悼記事の中に以下の文章を見つけた。「その原点には、平和への強い願いがあった。10代半ばで第2次大戦を体験し、祖国オランダはナチス・ドイツに侵攻された。戦時下の冬のある日、ユダヤ人が冷たい湖を泳いで逃げるのを見て、憤りと悲しみを覚えたという。この体験が“ぼくの人生を決定づけたのかもしれません”と振り返っていた」。

 うさこちゃんの世界しか知らなかった私にはショックだった。その後わかったのは、彼自身も、戦争末期の二年間ぐらいを、強制労働をさけるため地下生活を余儀なくされたという事実だ。第二次大戦の過酷さと悲惨を身をもって体験した世代が戦後の文化を作っていった。ムーミンの作者トーベ・ヤンソンがそうだったように。暴力を心の底から憎んだブルーナの絵本には、暴力や争い事を現すような描写がほとんどないという。

 軍事力にものを言わせて力で世界を支配しようとするトランプ政権、それに付き従う安倍政権。こうした価値観の対極にいるのがブルーナであるし、トーベ・ヤンソンだ。デザイン展の会場には、若い人たちがたくさんいた。ブルーナの意志を受け継ぎ、彼らと一緒に平和を守り抜きたいと思った。【佐々木有美】

★デザイン展HP


Created by staff01. Last modified on 2017-05-04 21:56:01 Copyright: Default

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