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「社会を変える、労働運動を変える」テーマに熱い討論〜「労働情報」月刊化記念集会

 4月23日午後、東京・文京区民センターで「労働情報 月刊化記念 パネルディスカッション」が開かれた。創刊40年になる「労働情報」は今年4月から月刊化になり、カラー表紙の洒落た雑誌に生まれ変わった。その意気込みを感じさせるパネルで、テーマは「社会を変える、労働運動を変える」だった。

 司会の東海林智さん(ジャーナリスト/teamrodojoho)は、年越し派遣村の話からはじめた。「組合は企業内にしか目を向けずタコツボ化している。派遣村のような社会運動としての取り組みをどうつくったらいいのか。市民と労働運動の距離をどうやって埋めていったらいいのか、率直な意見を伺いたい」と問題提起した。パネリストは現場でたたかっている人たちばかり。それぞれの視点から闊達な発言が続いた。

 鈴木剛(東京管理職ユニオン執行委員長)さん、「学生からの活動家でいろんなことをやってきたが、じつは私にとっても労組は遠い存在だった。その後フリーター労組・管理職ユニオンの運動をやってきて感じていることは、運動をヨコに広げること、いろんな領域に飛び込んでいくことが大切だということだ」。

 大椿裕子(大阪教育合同労組委員長)さん、「従来の市民運動とのつながりはあるし継続している。最近の変化は橋下独裁政治の中で都構想反対など新しい運動が始まっていること。そこは若い人が多く、労組との距離感を持つ人が多い。そことどうつながっていくかがいまの課題だ」。

 辻谷貴文(全日本水道労働組合書記次長)さん、「大阪の橋下のもとで公務員たたき・労組弾圧にあった。組合費チェックオフなどの便宜供与はなくなったが、それでも組織率は下がらなかった。いまは対峙してたたかうしかないと思っている。私たち水道労働者は、貧しい住民が水道を止められないように現場で知恵を使って頑張っている。市民との連帯を下からつくっていきたい」。

 松元千枝(労働情報編集人/新聞労連)さん、「私はフリーランスで組合についてはマイナスのイメージしかなかった。しかし実際入って、争議をたたかうなかでその意義がわかった。ただ今感じているのは、正社員組合の中に生活の実感がないことだ。足元の新聞奨学生の問題などに関心が薄い」。

 パネルディスカッションで一番熱くなったのは、組合旗問題だった。労働問題に取り組む若者グループ「エキタス」は、一般市民の参加を促すために組合旗持参は遠慮してほしい、という立場だった(4月15日のデモからは組合旗OKになった)。鈴木さんは「たしかに労働組合は若者から既得権益団体とみられている。そのことは受け止めなくてはいけない」、辻谷さんは「全水道の旗は大好きだが、旗より運動の中身だからどちらでもいいと思う。市民と一緒に考えていくことが大切」と述べた。これに猛然と反対したのは大椿さんだった。「私は雇い止めされてたたかってきたが、具体的行動で支えてくれたのは家族でも友人でもなく、組合のオジサンたちだった。かれらへの最低限のリスペクトは必要だ。路上も大事だが、若者には使用者と対峙している労働現場のことを知ってほしい」と。東海林さんも「路上と労働現場をつなぐ運動ができるといい。現場を見れば変わる。若者をストライキや団交に参加してもらうといいのでは」と具体的アイデアを出した。

 約2時間のパネルディスカッションはあっという間だった。新しい社会的労働運動をつくっていくには、「組織ー未組織、正規ー非正規、労働者ー市民」の壁をどう乗り越えていくかが鍵なのだろう。鈴木さんは最後にこう強調した。「プロ野球選手会の例もあるが、私たちに必要なのは策略を練って大胆にいろんな業界に組合をつくっていくこと。そのためには会社や業界のひどいやり方を可視化することだと思う」と。労働情報編集人の松元さんもこれに応え、「労働情報が職場や社会の問題を伝え、広げる役割を果たしたい」と月刊労働情報への抱負を述べた。【松原 明】

*この日は、パネルディスカッションの第一部に続いて第二部「レセプション」が盛大に開かれた。鎌田慧さん、辛淑玉さんをはじめ各界の文化人・活動家も多数参加した。筆者は第一部のみの参加だった。

←月刊1号の4月1日号の表紙。購読の申込みは、労働情報HPへ。


Created by staff01. Last modified on 2017-04-23 20:52:04 Copyright: Default

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