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『アジア記者クラブ通信』287号〜特集:南シナ海紛争と核のチキン・ゲーム
タイトルとリードのみです。本文は、通信でお読みください。
全頁カラーのPDF版と紙版があります。購読方法はメール末参照。

■定例会リポート(2016年7月27日)
南シナ海領土紛争を多角的に検証する
国連の仲裁は公正なのか
矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)

 東シナ海の尖閣諸島周辺における中国公船・漁船の航行「活発化」は、日本政府が南
シナ海の領海問題で中国を批判していることへの“けん制”や“報復”の可能性がある
と日本の大手メディアは伝えている。6月9日に中国軍艦が尖閣周辺の接続水域に初めて
入って以降、7月12日に出された南シナ海問題での仲裁裁判所判決をはさんで、軍艦や
海警局の公船が領海や接続水域を航行。周辺に230隻もの漁船が見られた日もあったと
いう。日本のニュースはもっぱらこれを、その異様さや冒頭のような視点を前面に出し
、中国側の主張をまともに取り上げたものは見られない。中国の外交的「全面敗北」な
どと報じられた仲裁裁判所の判決も、本当にそうなのか。アジア記者クラブで過去にも
講演していただいた横浜市立大学名誉教授の矢吹晋さんに、まったく異なる視点からお
話をいただいた。(編集部)


■南シナ海紛争
仮想武力衝突が現実に?
米シンクタンクと中国研究

ウラジミール・テレホフ(アジア太平洋問題の専門家)

 南シナ海の領有権を巡る中国と周辺国との対立に米国が介入して米中の対立を激化さ
せたことは記憶に新しい。それでも米中両国は、常に軍事対立をはらみながらも戦略的
互恵関係を維持してきたことから、実際には武力衝突には至らないと見なされてきた。
本稿は近年、ランド研究所や戦略国際問題研究所(CSIS)などの有力シンクタンクが多
くの中国研究報告書を発表していることに焦点を当てる。さらに、米中両国の直接対立
が高まっている地域を中心に中国の国防体制の動向が注意深く研究されているだけでな
く、米国の国防力と軍事戦略を中国との仮想紛争に適合させる提言が報告書に含まれて
いる点に注意を喚起する。筆者は現在、報告書の執筆者たちの想定を超えて米中の対立
が劇的にエスカレートしていることに触れ、米国の新政権が「考えられない」外交政策
を抑制し、「考えられる」内政問題の解決に尽力することが危機回避につながると説く
。(編集部)


■南シナ海紛争
南シナ海紛争への視点
核のチキンゲームの標的に
ユーラシア挟み米が挑発

F.ウィリアム・エングダール(戦略危機管理コンサルタント)

 南シナ海の領有権紛争を理解する鍵は、ユーラシア大陸をまたいで洋の東西で同時発
生している軍事対立を統合して分析できるか否かにある。本稿では、日本政府と邦字メ
ディアが喧伝する「中国による一方的な現状変更」という見方がいかに的外れであるか
が実証される。NATOによるウクライナでの挑発、ロシア国境沿いでの軍事演習、弾道ミ
サイル防衛基地の建設に象徴されるロシア相手の核チキンゲームは、中華人民共和国の
周辺海域である東シア海と南シナ海での軍事対立をはらむ緊張激化と連動しているから
だ。北朝鮮の弾道ミサイルに備える口実で配備が予定されているTHAADに中露両国が一
致して反対する理由もここにある。筆者は、米国による核配備も含めた中露に対する軍
事包囲網の構築が緊縮財政下の米国防総省の軍事予算を増加させる一方で、両国による
核先制反撃を招きかねない危険性に言及する。オバマ政権の常軌を逸したユーラシア政
策に警鐘を鳴らす邦字メディアは存在しない。(編集部)


■シリア内戦
西側メディアの情報犯罪
“病院空爆”の真相語る
シリア人医師たちの証言

エヴァ・バートレット(フリーランス・ジャーナリスト)

 政府軍とロシア軍が「病院を標的に砲撃と空爆を繰り返している」、「民間人を攻撃
している」。これまで何度も聞かされてきたシリア戦争を伝える西側企業メディアのコ
メントだ。いずれも証拠が示されることなく、4000人を超える医師が亡くなったという
類の流言まで平然と伝えてきた。自国の病院だけを意図的に攻撃目標にすることがある
のだろうか? そうした疑問が投げかけられることすらなかった。本稿は、欧米諸国と
トルコ、湾岸首長国の支援を受けているアルカイダはじめとする武装勢力と政府軍との
激戦が続くシリア北部の要衝アレッポに入り、“消えた”はずの医師たちに取材を重ね
た戦場ルポである。筆者は、アレッポで“反政府勢力”による粗製兵器やガスボンベ爆
弾によって市民が攻撃され、その被害責任がシリア政府やロシアに転嫁されている実情
を報告する。現場検証すらすることのない西側企業メディアと人権団体、国境なき医師
団がプロパガンダ機関となって、冒頭のコメントによって隠されてきたアレッポの惨状
を多くの証言から明らかにする。本稿は、真実を歪める西側企業メディアの犯罪を告発
し、戦火で塗炭の苦しみにあえぐシリア民衆と医師団の活動を伝える貴重な記録となっ
ている。(編集部)


■シリア内戦
シリアの毒ガス攻撃
格好の政府批判ネタは
仏諜報機関が画策

プレスTV

 欧米諸国からシリア政府に浴びせられる難癖のひとつに毒ガス兵器の使用があげられ
る。神経ガス兵器の使用については、アサド大統領自身が製造工場の現状については国
連に報告済みで、神経ガス兵器より強力な通常兵器を所有しているので使用する必要性
はないと西側メディアとの会見で説明済みだ。今回は、アレッポでの反政府勢力による
毒ガス使用への国連の査察を阻むために、首都ダマスカス郊外のゴータでフランス諜報
機関が毒ガスを使用してシリア政府に責任転嫁していた疑いが 濃くなった。フランス
には、南アフリカのアパルトヘイト政策を批判しながら、一方でアフリカ人武装勢力と
戦う白人政権に外人部隊を秘密裏に派兵していたことをジャーナリストのイヴ・ベノー
に暴露されて撤兵を強いられた“前科”がある。(編集部)


■リオ・オリンピック
ロシア五輪ドーピング疑惑
“証拠”を崩す4つの事実
壊死する西側メディア
 
アレクサンデル・メルスリス(The Duran 編集長)
 
 ロシアの五輪ドーピング疑惑問題は、オリンピックそのものが五輪憲章からかけ離れ
た存在になりつつある現状に拍車をかける可能性が強くなった。リオデジャネイロ・パ
ラリンピック大会では、疑惑の渦中にあるというだけで、ロシア選手団が完全に締め出
されるという前代未聞のスキャンダルに発展した。本稿は、西側メディアが決して触れ
ることのない五輪ドーピング問題を理解する4つの事実を明らかにする。マクラーレン
報告書の不完全さやグリゴリー・ロドチェンコフ博士の証拠能力の確認などの基本的所
作が全くなされていないのだ。問題意識がないのか、調査能力がないのか、素人同然の
スポーツ評論家のコメントを鵜呑みにするなど、メディアの惨状は目を覆うばかりであ
る。(編集部)


■ブラジル政変
テメル大統領への抗議続く
世界はクーデターに沈黙
ブラジル全土で怒り爆発

テレスール

 リオ・オリンピックに続いてパラリンピックの開会式でも開会宣言をしたテメル新大
統領はブーイングの嵐に見舞われた。圧倒的多数の民衆から権力の簒奪者と見なされて
いるからだ。1964年から21年間続いた軍事独裁は自由を抑圧しただけでなく、貧富の格
差と貧困層の裾野を拡大させた。ルセフ前大統領は、軍事独裁に抵抗する社会運動に身
を投じた一人だ。社会福祉政策を重視してきた労働者党が支持されてきた背景でもある
。寡頭支配体制は昔なめた蜜の味が忘れられないのか、策を弄して権力に復帰した。こ
のクーデター劇に非難声明を出した国は、ベネズエラ、エクアドル、キューバの3カ国
だけである。肝心な時に世界は沈黙している。ブラジルでは、ソーシャルメディアも駆
使して抗議の炎が全土で燃え広がっている。(編集部)


■北朝鮮
核とミサイルで圧力に対抗
国連非難声明は陳腐化
北朝鮮のSLBM技術は向上

コンスタンチン・アスモロフ(ロシア科学アカデミー極東研究所・朝鮮研究センター)

 「許しがたい暴挙」「挑発を繰り返す北朝鮮」。平壌から軍事演習が発動されるたび
に日本の政治家から飛び出す言葉だ。物事には原因と結果が存在する。本稿でも指摘さ
れている通り、今回の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験も米韓合同軍事演習
に対抗して行われた。日米韓各国政府や既存メディアには、この軍事演習は挑発と映ら
ないようだが準戦時体制を取らざるをえない北朝鮮にとっては重大な挑発なのである。
7万5千人の米韓両軍と9カ国数百人の兵士に加え、48万人が民間防衛訓練を行ったから
だ。筆者は、北朝鮮のSLBM技術が各段に向上しており、核とミサイルによる国防強化の
方針に揺るぎはないと見る。また国連の非難声明がTHAAD配備などで関係国が矛盾を抱
えていることから陳腐化していることにも言及。本稿は、国際政治の現実を冷徹に見る
必要性を説く。(編集部)


【あれから25年】ソ連8月クーデター

 ソ連邦の解体を決定づけたソ連保守派の8月クーデターから25年目の19日、独紙ユン
ゲヴェルトが、25年前にソ連共産党中央委員会の招待を受けて、民主社会主義党(PDS
・東独の政権党SEDの後継政党・現左翼党)の独連邦議会議員団を率いてモスクワ滞在
中に8月クーデターを体験したハンス・モドロウ議員(当時・東独最後の社会主義政権
を率いた元首相)へのインタビューを掲載した。数多ある記事の中で最も興味深いので
証言の要旨を紹介したい。(編集部)


◆【北朝鮮】伊藤孝司の平壌日記

◆【脱原発】山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切り抜き帖

◆書評 望月衣塑子『武器輸出と日本企業』(角川新書)

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