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★『アジア記者クラブ通信』285号〜特集:新自由主義と米国の覇権プロジェクト
本文は通信でお読みください。全頁カラーの「PDF版」と紙版があります。

■定例会リポート(2016年5月27日)
戦後政治を終わらせることができるのか
参院選前に考えておくべきこと
白井聡(京都精華大学教員)

今年もまた「8月15日」の季節が巡ってきた。戦後70年の節目に出された昨夏の内閣総
理大臣談話で安倍晋三首相は「終戦七十年を迎えるにあたり…」と切り出した。昭和天
皇の玉音放送が流された1945年8月15日については、安倍談話にもあるように日本人に
は「敗戦」よりも「終戦」意識が強い。これを「敗戦の否認」と鋭く指摘するのが『永
続敗戦論』で論壇に衝撃を与えた京都精華大教員の白井聡さんだ。敗戦を認めず「無責
任の体系」を永らえさせ、新たな敗北を呼ぶ。「戦後レジームからの脱却」を唱えたの
は安倍首相だが、問われるべきはむしろ「永続敗戦レジーム」。70年談話以降、慰安婦
問題をめぐる「日韓合意」やオバマ米大統領の広島訪問、増税延期や公私混同疑惑によ
る国政、都政の混乱、東京五輪招致の買収疑惑に至るまで、さまざまな出来事があった
。安倍的「戦後レジーム」観とはまったく異なる論点から、白井さんに戦後日本を読み
解いていただいた。(編集部)


■メディアはなぜその任務を果たさないのか?
スノーデン・インタビュー 連載(1)

 米中央情報局 (CIA) と国家安全保障局 (NSA)の局員として米政府の諜報活動に従事
していたエドワード・スノーデンが、違法な監視活動や情報収集の手口を暴露して、ロ
シアに亡命してから3年が経過した。亡命直前に香港で複数のメディアの取材を受ける
場面を中心に制作された映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』の公開も始まった
。本稿は、スノーデンが監視社会とメディアが抱えている問題点について縦横無尽に語
ったインタビューの抄録である。スノーデン自身は機密暴露の称賛の嵐を「大げさ」と
聞き流し、暴露が「国民がその政府のプロジェクトや政策をめぐって、いかにコントロ
ールされているかを理解させるため」であったと内部告発の動機を語っている。なぜ報
道が両論併記に陥るのか、報道機関が商業化の進行のせいで以前と比べその影響力を行
使する気をなくしていることなど既存メディアが直面している課題への解説も続く。原
文は、『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』5月号に掲載された。(編集部)


■新自由主義と世界に広がる戦争にテロ  
米国の覇権プロジェクト
ミシェル・チョスドフスキー(CGR編集長)

 「戦争はビジネスに好機となる」。世界中に広がった戦争とテロ、ビジネスの関係を
これほど的確に表現した言葉はない。本稿は、冷戦と入れ替わるように世界を覆い尽く
した新自由主義(ネオリベラリズム)が戦争と密接に関連しながら勢力を拡大してきた
、その軌跡を明快に解き明かす。地球上のあらゆる利益の収奪に動員されるのは軍事力
だけではない。テロ組織、諜報機関、戦争犯罪を曖昧にしてきた企業メディアや国際司
法機関、「貧困のグローバル化」を推し進めてきた世界銀行やIMF、ウォール街が加わ
る。筆者は、この米国の覇権プロジェクトが世界を支配し、異議申し立てを行う国には
容赦なく「反米国家」の烙印を押して体制転換の標的にしてきた現実も明らかにする。
最新の事例として、米国がEU加盟国の資本主義構造に圧力をかけ、独仏の国家首脳の選
挙に影響力を行使しているという筆者の指摘は、米国を頂点とした支配構造に組み込ま
れた日本にとっても他人事ではない。(編集部)


■ペンタゴンの主戦場はワシントン
肥え太る軍産複合体
アンドリュー・コックバーン(Harper’s Magazineの編集者)

 世界の軍事費支出2位以下9か国を束ねた総額を米国1カ国の軍事支出が上回っている
ことは周知の事実である。アイゼンハワー大統領が退任演説で肥大化する軍産複合体に
警鐘を鳴らして今年で55年。冷戦終結から25年。なぜ日本円で年間60兆円を超える国防
費の増額が可能になるのか?本稿では、謎であったワシントンでの軍事予算獲得の内幕
が明かされる。一例をあげれば、決して「見積コストを下回らない」兵器システム、オ
バマの「核なき世界」とは対照的に「近代化」のスローガンの下で大量生産される核兵
器、日本も購入予定のF22、F35に代表されるポンコツ高額兵器の大量発注など浪費のオ
ンパレードなのだ。米会計検査院の不作為も露見する。筆者は、この米政策担当者の「
戦略の欠如」によって、遠隔地で増え続ける戦争とは全く無関係に、国民の税金が限り
なく野放図に食い尽くされる状況を告発している。(編集部)


軍隊の維持管理に苦悩する米軍
ロシア人が見た米国の「軍事崩壊」
GPD

 冷戦崩壊から四半世紀、世界最強・最大を謳われた米軍に軋みが目立ってきた。志願
制に移行してからの兵力不足に加え、高額な正面装備のメンテナンスに事欠くようにな
ったからだ。最新の電子機器類を組み込んだ近代兵器には、交換部品を絶えず供給する
導入後の維持管理システムが不可欠だ。武器・弾薬類の劣化への対応にも迫られる。軍
隊が巨大になればなるほど、基地や装備の維持管理費だけでなく、パイロットや要員の
訓練に加え、燃料補給にも膨大な経費が必要になってくる。本稿は、こうした矛盾に直
面して機能不全に陥りつつある米軍の姿をロシア人の目を通して見た報告書である。(
編集部)


■犯罪組織の温床と化す米軍基地
欧米型民主主義は共犯関係?
マーティン・ベルガー(地政学アナリスト)

 世界80か国に約800の米軍基地が置かれている。その46%は独日韓の3か国に集中して
いる。しかも多くの国で駐留米兵による犯罪が多発し、事実上の治外法権に置かれた米
兵の犯罪が絶えることがないのが実情だ。全世界で25万人の米兵が海外駐留を継続し、
ワルシャワ条約機構が解散して25年が経過した今も、欧州に7万5000人の米兵が駐留し
ている異様な状態を歴史上の帝国に比肩しても前例がないと筆者は指摘する。それだけ
ではない。4月には沖縄で米軍軍属に20歳の女性が暴行殺害された事件を筆頭に、NATO
軍による対ロ軍事作戦が進行しているポーランド、リトアニア、ラトビアでも深刻な米
兵犯罪が地元で発生し、米兵が処罰されないことが大問題になっている事例が本稿で紹
介されている。筆者は、こうした事態を放置している米国政府を無法な犯罪組織に等し
いと糾弾する。(編集部)


■南シナ海の緊張高める米国
国連の仲裁をどう見るのか
トニー・カルタルッチ(地政学リサーチャー)

 南シナ海の島嶼の領有権を巡って、フィリピンが申し立てた仲裁裁判の判決を前に、
裁判の結果を一切受け入れないとする中国政府の立場が繰り返し強調されて報道されて
いる。公正な仲裁を受け入れない無法者のイメージを中国に重ねるプロパガンダとしか
言いようのない恣意的ミスリードが続いている。そもそも南シナ海全域に領土権が及ぶ
と中国が宣言したのは、宋代や明代の文献を根拠にした中華民国による1947年の11段線
設定宣言に遡る。周辺国が領有権を主張しだしたのは、中国国内が文革で混乱していた
1970年代に南シナ海で石油埋蔵が伝えれてからだという事実関係をまず踏まえる必要が
あろう。1947年の時点で島嶼が固有の領土だと主張した周辺国は一国もなかった。本稿
は、今回の提訴を発議したのはフィリピンではなく、ボストンに本部を置くフォーリー
ホーグ法律事務所のポール・S・ライクラー率いる米国の弁護士チームが行った訴えで
あることを明かしている。それも、国際海洋法裁判所(ITLOS)で複数の国家の代理人
を務めた豊富な経験を持つエリート弁護士のえり抜きだという。筆者は今回も、シリア
やウクライナのケースを例に、米国が国連を恣意的に利用して緊張を高めていると指摘
する。第二次世界大戦で日本が誤ったように、中国に米国との性急な対決を回避するこ
とが、中国の優位性と地域の安定につながると筆者は説く。(編集部)


■北朝鮮の異議申し立て続く
ミサイル発射に世界が怒り
中露は外交解決促す
ピーター・コーゼン(戦争・紛争問題専門家)

 北朝鮮は6月22日、5月の労働党大会で再確認したように核弾頭搭載可能な中距離ミサ
イルの発射実験を行い、国際社会に異議申し立てを行った。その3日後、北京で開催さ
れた中露首脳会談でも国連決議に違反するとして反対表明がなされ、中露含めた世界の
全ての国を怒らせる結果となった。その一方で、中露両国は北朝鮮の反発を弾道ミサイ
ル配備、韓国の済州島での海軍基地建設など不釣り合いな軍拡に利用している米国に釘
を刺し、休戦状態のままの朝鮮戦争を平和条約を締結して終結させる努力を促すロシア
外務省の働きかけを本稿は紹介している。紛争問題の専門家である筆者は、北朝鮮の核
技術の進歩が著しいことを念頭に、北朝鮮という特定の問題でスタンスの違う欧米諸国
と中露が初めて意見の一致をみたことを肯定的に捉え、イランの核合意に続く大きな外
交成果の可能性を指摘する。(編集部)


◆【北朝鮮】伊藤孝司の平壌日記

◆【脱原発】山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切り抜き帖

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