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LNJ Logo のりこえねっとTV案内 : ファルージャの空の下 イラク支援の現場から日本を見る
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News Item 1467069412240st...
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■■−ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク−
■■■■
■■   のりこえねっと通信0133号 2016年6月28日発行
■■
■                        ◆転送歓迎◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★配信専用アドレス[mailmag@norikoenet.org]より毎週お送りしております
――――――――――――――――――――――――――――――――――

 賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま
いかがお過ごしですか。

本日ののりこえねっとTVは、「ファルージャの空の下 イラク支援の現場
から日本を見る 第5回 イラクから見る日本」高遠菜穂子さんと八景さん
がおおくりします。
「シリーズ ヘイトとは? 第19回」は辛淑玉さん、渡瀬夏彦さんの「うち
なー民主主-義最前線 第21回 沖縄からの米海兵隊撤退」はゲストに屋良
朝博さんをお迎えします。

ぜひご覧下さい!

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〈今号の目次〉

1.6月28日放送のりこえねっとTVのお知らせ

2.反レイシズム情報

3.ヘイト街宣・デモ警報

4.新聞・雑誌記事・Webより

5.6月21日のりこえねっとTVダイジェスト

6.編集後記
――――――――――――――――――――――――――――――――――
●1.6月28日(火) 20:00〜のりこえねっとTVのお知らせ

YouTubeLive:https://youtu.be/UUUen1h39Rw

1.ファルージャの空の下 イラク支援の現場から日本を見る 05」高遠菜穂
子×八景

<番組概要>
イラクや中東では日本はどんなイメージで見られていて、どのように報道さ
れているのでしょうか。

中東の人々が日本や日本人に期待していることは? そこには、日本でイメ
ージするイラクや中東とどんなギャップがあるのか。
現地からの生の情報をお伝えします。


<出演者>
◆高遠菜穂子(たかとお・なほこ)
イラク支援ボランティア。

イラク・ホープ・ダイアリー: http://iraqhope.exblog.jp/
Twitter:https://twitter.com/NahokoTakato
Facebook:https://www.facebook.com/nahoko.takato
イラク戦争の検証を求めるネットワーク:http://www.iraqwarinquiry.net/

◆八景(はっけい)
横浜出身。
遊芸者。
名もなき民の文字には記しようのない「声」に耳を澄ませ、みずからも歌っ
て語って書いて旅をする日々。


2.「シリーズ ヘイトとは? 第19回 」
<番組概要>
ヘイトスピーチって何? ヘイトクライムってどういうもの? 
毎週5分ずつ、のりこえねっと共同代表の辛淑玉がみなさんと一緒に考えま
す。

<出演者>
◆辛淑玉(しん・すご)
のりこえねっと共同代表。
人材育成コンサルタント、東京生まれの在日コリアン3世。


3.渡瀬夏彦の「うちなー民主主義最前線 第21回 沖縄からの米海兵隊撤
退」

<番組概要>
ノンフィクションライターの渡瀬夏彦がお送りする沖縄最新情報。

毎週1回、いま民主主義を守る最前線の闘いが行われている沖縄からダイレ
クトにお伝えします。

<出演者>
◆ゲスト…屋良朝博
フリーライター/元沖縄タイムス論説委員。

◆渡瀬夏彦(わたせ・なつひこ)
ノンフィクションライター。

渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ〜 日記」:
http://watanatsu.ti-da.net/
Twitter:https://twitter.com/natsuhikowatase

◎本日の番組は生放送終了後も、以下にアクセスすると視聴いただけます。

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/NorikoeNetTube

「のりこえねっとチャンネル」へ登録をしていただくと、新しい動画を見つ
けやすくなりますのでぜひご登録ください。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
●2.反レイシズム情報

★集会・デモ・セミナー・上映会などのお知らせを掲載します。


HPのトップページにある『お問い合わせ』から 日時、会場、タイトル及び
内容、主催者、主催者の連絡先などを300文字以内で、お知らせ下さい。

http://www.norikoenet.org/contact 

1)企画展示 被ばく71年 韓国-朝鮮人と日本

展示期間:6月29日(水)〜10月30日(日)12:00〜17:00
会場:高麗博物館(JR山手線新大久保駅徒歩8分)
東京都新宿区大久保1-12-1 第二韓国広場ビル7階
入館料:大人400円、中高生200円
休館日:月曜日、火曜日
主催:高麗博物館 03-5272-3510


2)在日韓人歴史資料館 第13回企画展
呉徳洙監督をしのぶ写真展『映画の舞台裏で』

呉監督は大島渚監督の助監督を経て、OH企画を設立。

1984年『指紋押捺拒否』、1997年『戦後在日50年史 在日』などを発表した


企画展では映画の舞台裏を撮影したスチール写真を通して呉監督の素顔を紹
介する。


展示期間:7月2日(土)〜8月6日(土)
会場:在日韓人歴史資料館 企画展示室
入場料:無料(常設展示は有料)
協力:OH企画・清水千恵子
★第95回土曜セミナー「戦争を考える!企画」
テーマ:昭和天皇の戦争指導と戦争責任
日時:7月2日(土)14:00〜16:00
講師:山田朗(明治大学文学部教授)
参加費:1,000円(事前に申込みが必要です)
主催:在日韓人歴史資料館(東京都港区南麻布1-7-32)
TEL 03-3457-1088 FAX 03-3454-4926
URL http://j-koreans.org


3)緊急集会「ヘイトスピーチの根絶 ―解消法から人種差別撤廃基本法へ


日時:7月2日(土)18:00〜20:00
会場:麻布台セミナーハウス2階大会議室(東京都港区麻布台1-11-5)
日比谷線「神谷町」駅から徒歩5分
内容:
師岡康子さん(弁護士/外国人人権法連絡会)「ヘイトスピーチ解消法と、
成立後の経過」
ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク「川崎からの報告」
討論「今後の私たちの課題」寺中誠さん(大学教員、アムネスティ日本元事
務局長)
資料代:500円
(資料作成の都合上、参加希望の方はご連絡ください→raik@kccj.jp
主催:外国人人権法連絡会


4)辺野古新基地建設を許すな! 防衛省正門前抗議行動

日時:7月4日(月)18:30〜
場所:防衛省正門前(JR・地下鉄市ヶ谷・四ツ谷駅7分)
地図→http://www.mod.go.jp/j/profile/mod_sdf/access.html
主催:辺野古への基地建設を許さない実行委員会
連絡先:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック(090-3910-4140)
参照HP:http://www.jca.apc.org/HHK/


5)『きゃわチョゴリ』刊行記念トークイベント「母と娘のチョゴリ物語」

日時:7月18日(月)13:00〜
場所:関西学院大学梅田キャンパス1404教室
(大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー14階)
阪急梅田駅 茶屋町口改札口徒歩5分。

JR大阪駅御堂筋出口徒歩10分
地下鉄御堂筋線梅田駅徒歩7分、中津駅徒歩4分。

登壇:そんい・じゅごん、ヨンジャ
定員:24名
参加費:無料 予約不要
主催:ポスト・カルチュラルタイフーン関西連合 postculty@gmail.com

――――――――――――――――――――――――――――――
●3.ヘイト街宣・デモ 警報 (閲覧注意)

★★カウンター行動(抗議行動)される際は十分お気をつけ下さい。
★★
★★経験が少ない方は、複数での参加をお勧めします。
    ★★

1)拉致被害者奪還ブルーリボンデモin広島

日時:7月3日(日)13:00〜
内容:第1部 拉致被害者奪還ブルーリボンデモ行進
(集合)12:30(出発)13:00
第2部 拉致・領土問題を訴える街宣
(集合)14:00(終了)15:00
集合場所:第1部 原爆ドーム前 第2部 元安橋
主催者:よっしー

※ 一応「人種・民族・国籍等を差別したり、ヘイトスピーチと誤解される
ような表現は自粛してください」と書いてはあるものの、これまでは平気で
ヘイトスピーチを行ってきましたので、充分に監視する必要があります。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
●4.新聞・雑誌記事・Webより

第11回 吉方べき「隣国とつながる」 韓国人は本当に「反日」か?
戦争と平和のリアル  吉方べき

imidas  6月16日

「韓国人は日本が嫌い」「反日国家だ」といった見出しが雑誌の誌面をしば
しば飾っている。
「だったらこっちも嫌えばいい」とばかりに、韓国たたきの記事が氾濫する

だが韓国に住んで17年になる吉方べきさんは、日本メディアの韓国報道はあ
まりにゆがんでいると指摘する。
吉方さんに、現地から見えるその「ゆがみ」について寄稿していただいた。
(後略)

http://imidas.jp/column/L-73-012-16-06-G629.html

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Jリーグ外国人選手に「人種差別的」投稿あいつぐ…どんな法的措置を取れ
る?

弁護士ドットコムニュース 6月22日

Jリーグのクラブに所属する外国人選手に対して、SNS上で差別的なコメント
が投稿されるケースがあいついでいる。

6月11日には、J1浦和のサポーターを名乗る人物が、J1鹿島に所属するブラ
ジル人、カイオ選手に対して、ツイッター上で人種差別的なコメントを投稿
した。
(後略)

https://www.bengo4.com/internet/n_4804/

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地図で見るLGBT違法の国、合法の国
73カ国で同性の性行為が違法、スーダンやイランなどでは死刑も

National Geographic 6月22日

米国オーランドにある、同性愛者が集うナイトクラブで起こった銃乱射事件
では、ある事実が浮き彫りになった。
それは、「基本的な法的権利があっても、必ずしも安全が守られるわけでは
ない」ということだ。
(後略)

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/a/062100038/

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A・ジョリー「難民問題を無視するのは無責任だ」
国連「世界難民の日」に記者会見

東洋経済 6月22日

[ワシントン?20日?ロイター] - 国連難民高等弁務官事務所の特使を務め
る米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、国連が定める「世界難民の日
」の20日、米国務省でケリー国務長官と共に記者会見を行った。
(後略)

http://toyokeizai.net/articles/-/123853

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●5.6月21日のりこえねっとTVダイジェスト

YouTubeLive:https://youtu.be/2JJpNmEVhw8 

1.性と国家 Vol.7「日韓『合意』後の半年間」 梁澄子×北原みのり

5月18〜20日に「第14回日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議」がソウルで
行われました。
日本軍「慰安婦」にされた当事者、支援者が各国から集まり、それぞれの活
動を発表し、「解決」のための共同行動を決定する場です。
そこで主に語られたのはやはり、2015年12月28日に発表された日韓の「合意
」についてでした。
今回の「合意」について、日本の多くのメディアは日韓関係が一歩前進した
、という姿勢が多い印象を受けますが、“世界”はこの「合意」をどうみて
いるのでしょう。
当事者たちは、支援者たちは、どう受け止めているでしょう。
合意から半年に起きたこと。
そして韓国社会で起きていること、語られていること、そして日本のメディ
ア状況について、梁さんとお話します。


梁さんが、アジア連帯会議に至る経緯を説明します。
1990年に挺対協が組織され、翌年に金学順さんが初めて名乗り出て同年末に
日本で提訴した。
韓国でも被害者が名乗り出る状況の中、被害者は韓国にとどまらないので被
害各国に呼びかけた。
まだ韓国内で政府も民間も無関心だった1992年8月に国際的な世論形成と被
害国の連帯で解決しようと第1回が開催され、そして挺対協が初めて国連人
権理事会に行った。
91年に国連加盟した韓国では挺対協がNGOとして初の国連活動だった。


また第12回連帯会議では日本政府に対して解決のための提言を行った。
それは、被害者が受け入れられる真の謝罪とは、事実認定とその責任認定を
曖昧さのない表現で国内外に表明し、また真摯な謝罪としての後続措置をと
ることというものだった。
そして具体的に認めるべき事実は、(1)軍が立案・管理・統制し、(2)意に反
して「慰安婦・性奴隷」として強制的状況下におかれた、(3)被害の甚大さ
と現在もそれが続いていることを具体的に述べることだった。


北原さんは、昨年末の日韓合意はその提言が活かされていないと批判します

文章にもなっていない合意であり、当事者は聞かされていなかった。
3月に日本政府は国連に「和解」と「強制性は存在しない」と報告したもの
の、国連女子差別撤廃委員会は被害者中心の立場が徹底されていないと遺憾
の意を表明した。
5月の連帯会議で、被害者に寄り添う立場で声をあげていた韓国政府は希望
だったのにとフィリピンの人々が怒っていたのが心に残った。
梁さんは会議の様子を、韓国の人々はあのような形で「決着」させられたが
、他の国では相手にもされていないという怒りで埋められたと語ります。
いたたまれず何も言えなかった。
私は在日だが、日本市民として日本社会に責任を負っている立場としてこん
な結果しかもたらせられなかった。
また会議では今回の合意では解決にならないと決議した。


続けて梁さんは、四半世紀の活動の中で挺対協と被害者は過去の問題として
のみ終わらせてはいけないとの使命感を強めていたと語ります。
日本軍「慰安婦」問題をきちんと解決することで、現在も続く戦時性暴力根
絶の一助にする気持ちが高まっていたのだ。
だがこんな形での「決着」だった。
挺対協は自分たちの中で2015年は終わっていないと言っていたが、その言葉
の中に複雑な虚脱感・失望・怒りなどが表れていると感じた。
一方、「決着」直後の水曜デモの現場では市民の怒りが明確な形で噴出して
いた。
いわば混乱状況の挺対協がリードするのではなく、平和の碑(少女像)を守
るために市民・学生・文化活動家たちが自発的に動いていた。
自治体首長たちもさまざまに活動していた。


北原さんは、女性の人権・性暴力の問題として訴えていたにもかかわらず、
日本の報道では外交問題としてしか語られなくなっていると批判します。
外交的合意を守ることから新時代が始まるとの認識だ。
当事者の声を無視して挺対協やナヌムの家などがむしろ妨げているとの論調
で、被害者を利用する挺対協として描かれている。
梁さんも、それは感じていると語ります。
ひどい場合は、女性の人権を人質にして別の政治目的の達成を目指す団体と
のフレーズだけが一人歩きしている。
だがなぜそうなのかという具体性は皆無であるのが疑問だ。
レッテル張りにしても、大メディアがこれだけやれば信憑性を帯びてくるも
ので、投書欄にも反映している。


梁さんが、6月19日に挺対協の尹美香代表が投稿したfacebookを紹介します

「日本の新聞にハルモニのインタビューが載った。
韓国の記者たちが誰かと聞くがどうするつもりなのか。
アジア女性基金後に被害者の間に生じた傷と分裂、被害者と支援団体との間
に生じた分裂と傷を、支援団体の粘り強い努力でやっと癒やしてきたところ
なのに…。
あの悪夢の道を再び歩むことがないようにしてほしい。
そっとしておいて、各自が進むべき正しい道を進んでいこう。
政府の操り人形のような記事はもうやめて、何が正しくて何が間違っている
のか、よく考えよう」との内容だった。
これには被害者をいま守らねばならないとの思いを感じる。
今回の件で政府・記者・運動関係者はこう言っているという形で苦しめたく
ないとの思いを強く感じている。


また梁さんは、6月2日のfacebookも紹介します。
「あるハルモニから辛い話を聞いた。
あの時のように言ってくれればいいと政府から電話があったという。
何かハルモニを利用したいことができたようだ。
あるハルモニは日韓合意に賛成したら大非難を浴びると女性からの電話を受
けた。
被害者に対してこんなことを言ってはいけない。
たとえ賛成したとしても本人の決定でそうするなら、黙って辛い気持ちで見
守って欲しい。
<日本が歴史を覆い隠そうとすることを絶対許せない、金が問題じゃない、
自発的に金儲けのために行ったという奴らはただじゃおかない>とあるハル
モニは怒る一方で、<でもこのまま全部忘れてしまいたい。
これ以上この問題を聞きたくない>とも言う。
こう言うハルモニの言葉がどう伝わるか。
複雑な気持ちが感じられないか。
私にはハルモニの複雑な思い、辛い気持ちが感じられる。
電話の内容を聞きながら挺対協のスタッフは泣いていた」との内容だった。
これには、翻弄される被害者を守りたいけれども守り切れない、一方で賛成
したら大避難を浴びると言う人々からも守りたいという挺対協の気持ちを読
み取ることができる。
だが大非難云々の話は挺対協が言ったものと改ざんされるのではないかとも
心配だ。
日本で似たようなことが現実にあるから。


北原さんは、日本メディアに性暴力を語る視線や態度が見られず、挺対協は
これまでよりも敵が増えて疲れている印象だった。
国際世論に訴えて女性の人権のために闘ってきた挺対協をなぜ叩くのだろう
かと語ります。
梁さんは、挺対協がしてきたことはそれほどに大きなことで、この団体を潰
さなければ日韓合意に至らないからだろうと述べ、またメディアに性暴力の
視点が確立していないところで外交決着が大事となっているのではないかと
答えます。


話題が「帝国の慰安婦」に移ります。
梁さんは、この問題は中途半端に話せない気もするが、と前置きして語りま
す。
著者の朴裕河氏は、挺対協は運動に都合のいいことしか提示していないと言
いながら、それとは対極にあるとして提示する例は挺対協の証言集からとっ
ているという矛盾がある。
日本で同書を支持する人々は多様な姿を知りたいと言うが、著者が「日本軍
の協力者」だったと読み込むような辛い体験を含めた真に多様でリアルな像
が出ている証言集は読んでいないのだろう。
第1巻は日本語版が出ている。
著者は韓国語版から日本軍との「同志的関係」などを立証するのに適した証
言部分をピックアップして同書に込めた。
すると日本でリベラルな人々が歓迎することになったのだが、それは果たし
て多様な像に接したいとの思いで読んでいることになるのだろうか。
多様な中から読みたい部分のみが抽出されていると同書のように売れる。
日本語版は売れずに第2巻以降が出せなかったが、本当に多様でリアルな像
を知りたいならそちらを読んで欲しい。


同書は資料や証言の読み方を間違えている。
例えば軍人と一緒に出かけたから外出の自由があったと主張するが、軍人と
一緒でなければ出られないというのは外出の自由がなかったことだ。
例えば軍主導の点について、業者主犯説にしているのは日本軍「慰安婦」問
題の本質を歪める見方だ。
被害者支援をしてきた立場からすれば、何よりも証言の読み方が誤っている

性暴力被害者に対する視線がないからそういう読み方をしてしまうのだろう

その例としてアヘンの話がある。
同書は「痛みを和らげる一方で時には性的快楽を倍加するためにも使われて
いた」としている。
根拠として挺対協の出した証言集第2・3巻を引用しているが、引用された文
章を読んでも「慰安婦」たちが快楽倍加のために使っていたとは読めないも
のだ。
証言集に「軍人たちがこっそり射ってくれたんだけれど、一緒にアヘンを射
ってあれをやるとすごく良いって言いながら女にも射って自分たちにも射っ
てそうしたんです」との部分があり、これを使ったとしか思えない。
軍人がそう言ったということを根拠にして女性たちも性的快楽を得ていた、
というのは完全に軍人の目線によって女性たちの証言を読み込んでいる象徴
的な例だ。


また兵士との「同志的関係」「協力者」も、聞き取りを直接してきた者から
すると全くの勘違いだ。
自分たちも一緒に戦ったというように見える部分は、そのように自分をコン
トロールしないとその中で生きていけないという、私に言わせればそれこそ
が長く「慰安婦」をさせられた人々の最も深い被害の部分なのだ。
宋神道さんを20数年支援してきたが、7年間にわたる証言を聞く中で宋さん
は最初は後半4年間の話をしたがり、前半の3年間については自殺した人など
他人の話ばかりだった。
だが後半の話は、いかにして死なないようにうまく兵隊たちとの関係を築き
生き残ったかという内容になっていく。
あの地獄のような慰安所で生き残るためにどうするかという選択が迫ったと
き、自殺した他の被害者と同じように死ぬほど嫌だと抵抗して逃げ回った宋
さんが、命を守るためには言うことを聞かねばならないというように変わっ
ていく経過がわかる。
命を守るために、死ぬほど嫌だと思う気持ちを殺す。
そうしなければそこでやっていけない。
宋さんは最初に軍人の相手をしたときの話だけはいまだにしない。
そこは嫌だという気持ちを殺すときに一緒に殺した記憶なのだろう。
だから最も深い傷になっている記憶や嫌だという気持ちを殺して生きなくて
はならない状況の中で被害者たちが示したさまざまな行動を、そのまま楽し
いこともあったとか軍人に協力していたとかそのまま読んではならないと思
う。


梁さんが最後に語ります。
同書を支持する人々も被害者に対して寄り添いたいとの気持ちは感じるのだ
が、寄り添うときに必要な視点を同書によって曇らされている感じがする。
私たちもわからないなりにも被害者の傍らで長い期間考え続けて言っている
ことなので、教条的だとか政治的信条による主張というのではなく、視点を
少し変えたらもう少しわかってもらえるのではないか。
それが残念だ。



2.「シリーズ ヘイトとは? 第18回 すがわら一秀のヘイトスピーチ」
辛淑玉

自民党衆院議員の菅原一秀氏が民進党参院議員の蓮舫氏について、「蓮舫さ
んは五輪に反対で、日本人に帰化したことが悔しくて悲しくて泣いたと自ら
のブログに書いている。
そのような方を選ぶ都民はいない」と言った。
これはデマだ。
彼はネットに流れているデマをそのまま信じ、そしてそれを口にしたのだ。
彼が政治家として口にした言葉の中に「帰化」がある。
これは非常に差別的な言葉だ。
野蛮な者が王化に帰するという意味で使われていた。
これは同化を意味するものであって、いまでは通常の常識ある人々は「帰化
」という言葉を使わない。


蓮舫氏は確かに国際児だ。
父は台湾の人、母は日本の人だ。
彼女は二つの国籍をもち、日本の法律上22歳になったときにどちらかを選択
する。
そして彼女は日本国籍を選択した。
つまり彼女は一度も「帰化」したことはないのだ。
だから全くもってなかった話を作り出してきて政敵を叩いたわけだ。


なぜこの時期にこの言葉が出てきたのか。
桝添都知事が辞職し、次の都知事を誰にするかということで名が挙がってい
るのが一番人気の蓮舫氏。
そして彼女が出てきたらとても苦しいということで、政敵を倒すために使わ
れた。
これはレイシストの常套手段だ。
決戦投票となったときに出自を持ち出して相手を叩くのは典型的なやり方だ



このやり方を見て昔から変わっていないと思った。
30年前の黒いシール事件だ。
石原慎太郎陣営が故新井将敬氏が出馬するときに、そのポスターに「北朝鮮
から帰化」という真っ黒いシールを何千枚も貼った。
惨かった。
もちろん石原氏の第一公設秘書が逮捕された。
そしてその後も石原氏は継続して、「いいですか皆さん、日本の血の入って
いない人達が国政に入ることの危険性」云々といった形でヘイトスピーチを
し続けた。
石原氏はいろいろなことを言ったが、都民からも国内からもほとんど批判さ
れずに来た。


しかし国際社会は違っていた。
人種差別撤廃条約を批准している日本では、その勧告で優先的解決課題とし
て高位公務員によるヘイトスピーチを許してはならないこと、そして教育の
必要性が言われて久しい。
にもかかわらず2016年の今日においてまた同じように出自をもってきて相手
を叩く、しかもネットの中のデマをもってきて裏取りも確認もしないという
稚拙としか言い様がないものだった。


反ヘイト法が施行され、ヘイトデモの現場では確かに非常に効果的に使われ
ている。
しかしこうした政治家のヘイトスピーチ、こういった差別的な表現に対して
私たちがいかにしっかり向きあっていくのか、それが今後の社会の方向を決
めるのではないかと私は考えている。




3.渡瀬夏彦のうちなー民主主義最前線 第20回

「6.19県民大会『海兵隊は撤退せよ』」〜いつまで沖縄は踏みつけられ
るのか〜

ニュース
昨日(6月19日)の県民大会を沖縄タイムス、琉球新報とも1面と最終面
をつなげて両1面見開きで報道している。
「怒りは限界を超えた」というプラカードを掲げた参加者の写真を大きく載
せている。
主催者発表6万5千人の参加があった。
19日当日の新聞では「今日の県民大会があります」と参加を呼び掛けてい
る。
沖縄タイムスは内地の文化人のコメントを載せている。
事件の遺族のメッセージを高里鈴代さんが代読した。

「ご来場のみなさまへ。
米軍人軍属による事件事故が多いなか、私の娘も被害者のひとりとなりまし
た。
なぜ娘なのか、なぜ殺されなければならなかったのか。
いままで被害にあった遺族の思いも同じだと思います。
被害者の無念は計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。
それでも遺族は安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。
次の被害者を出さないためにも、全基地撤去、辺野古新基地建設に反対。
県民がひとつになれば可能だと思っています。
県民、名護市民として強く願っています。
ご来場の皆さまにはこころより感謝申し上げます。
平成28年6月19日、娘の父より。


ゲスト 糸数慶子(参議院議員)

昨日の大会では国会議員のひとりとして壇上にいた。
被害者のお父さんのメッセージを聞きながら他人事として感じられなかった

95年の少女暴行事件のときに、自分の娘の一人が同い年だった。
娘三人の親として孫の祖母として涙が止まらない。
95年の事件後、2度と犠牲者をだしてはならないと「基地軍隊を許さない
行動する女たちの会」の共同代表として活動してきた。


なぜこの思いが日米両政府に届かないのか、政府の沖縄の声を無視する対応
に、本土復帰をしてよかったのかという疑問をつきつけられている。
琉球処分から始まって、歴史のなかで沖縄は切り捨てられてきている。
もう十分じゃないのか。
戦争中も県民の4人に1人がなくなった。
琉球王国の時代には武器を持たずに平和外交で琉球という国が成り立ってき
たことを思うと、復帰したのがよかったのかと思わざるを得ない。
独立したらといわれることがあるが、その気持ちもある。


戦争前に、この土地だけは残してくれといった、農地として一番良い土地に
日本の軍隊は軍事施設を作った。
戦争前、戦争、戦争後と続くこの歴史の流れのなかで沖縄が切り捨てられて
きている。
県議会でも、国会にいってもずっと日米両政府に訴えてきたが一顧だにされ
なかった。
昨日の大会の壇上のなかでこんな思いが去来した。


若い人たちに伝わらないのは自分たちの世代にも責任がある。
自分は観光バスの平和ガイドとしてたくさんの方に沖縄のことを語ってきた

沖縄の若い人たちは観光バスには乗らない。
日常的に家庭のなかで話題になっているのか?みなさんが地元に帰ってから
一人でも多くの人に語って広げてほしい。
語れない辛い思いをもっている人がいるが、戦争の体験、米軍によってレイ
プされた体験を持つ人たちが語り始めている。


日本の政府、とりわけ安倍首相が辛い体験の声を無視して新基地を建設しよ
うとしている。
この声に「寄り添って」、とか「綱紀粛正」などと言っている。
彼らからはこの言葉を聞きたくない。

7月には参議院選挙がある。
全国での講演のときに、「みなさんがこの会場を出てからどうするか、この
地域からだれが国会に行くのかということが大切です」と語っている。


明日、沖縄尚学高校で18歳のみなさんに話をする。
主権者としての1票の意義をまず伝えたい。
今回の参議院選挙の争点を若い人の前で話す機会を与えられた。
沖縄の争点、日本全体の争点を話したい。
ずっと話したいと働きかけてきたが、政治的ということで断られてきた。
辺野古賛成派の國場幸之助議員と反対派の自分が話をする。
2人の話を聞いた人たちが自分で選択して投票する。
政治が日常であること、みんなの一票が大切であることを伝えたい。

(まとめ文責・のりこえねっと事務局)

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●6.編集後記
参議院選挙が告示されました。
投票日は7月10日です。
18歳から投票できる最初の選挙でもあります。
私自身は選挙権を得てから数十年、一度たりとも棄権などしなかったことが
自慢ではあります(当たり前ですね)が、新しく選挙権を得た若い人々が正
しく有効にこの権利を行使してくれることを心から願っています(首ねっこ
掴まえて投票場に連れて行くわけにもいかないから)。

日本に生まれ育ち何代にもなるのに選挙権すらないという市民が何十万人も
存在することを忘れてはならないと思います。
頼むから投票行ってね!(お)
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■のりこえねっと通信 0133号 2016年6月28日発行
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