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高江へリパッド工事強行と機動隊の暴圧を許すな!〜官邸前で緊急抗議行動

     西中誠一郎

 7月22日夜8時半過ぎ、反原発金曜行動の余韻が残る首相官邸前で、沖縄県国頭郡2村(東村、国頭村)に股がる広大な「米軍海兵隊•北部訓練場」で9年ぶりに再開された、「オスプレイ着陸帯」4カ所の「ヘリパッド」建設工事の強行に反対する緊急抗議行動が行われた。「北部訓練場」は正式には「ジャングル戦闘訓練センター」(Jungle Warfare Training Center)と呼ばれ、米軍基地が集中する沖縄県内でも最大の軍事演習場である。

 夕方には首相官邸前に先立ち、警視庁前でも、工事車両用のゲートがある東村高江に派遣された機動隊の暴力的な制圧行為に対する抗議行動が行われた。参院選翌日の7月11日未明に「北部訓練場」に突然工事用資材の搬入が強行されて以降、防衛省前や横田基地周辺、新宿駅周辺など都内各所でも、高江ヘリパッド工事強行やオスプレイ配備反対などの緊急抗議行動が続いている。

 緊急の呼びかけに、朝からいてもたってもいられず首相官邸前に駆けつけた人々の間から、怒りのコールが沸き上った。「ヘリパッドも、オスプレイもいらない!」「辺野古にも高江にも、基地はいらない!」「命とくらし、山と海を守ろう!」「機動隊は帰れ、警察は暴力やめろ!」「安倍政権は工事をやめろ!」「普天間閉鎖、嘉手納も閉鎖、基地はいらない!」

 工事強行前日の21日、炎天下の高江「北部訓練場」監視テント前に1600人が集まった抗議集会の様子や、22日早朝からの緊迫した現地状況が、高江現地から電話で報告された。

 「22日の未明、沖縄県警の機動隊車両の間に座り込みをしていた男性に対する接触事故がおきました。男性はその場で転倒したにも関わらず、車に乗っていた警察官は車から降りてくることをせず、近くにいた警察官は実況検証すら行わず傍観していました。車両はそのまま立ち去りました。これは明らかな救護義務違反で、実質的なひき逃げ事件です」

 「22日朝から、全国から集められた機動隊員5、600人により、座り込んだ200人ほどの市民に対する暴力的な排除が始まりました。現場は県道封鎖により孤立化し、警察による無法地帯と化しました。首を締められた人、車の上から叩き落された人が続出し、結局3名が救急搬送されました。直接的な攻防は午前中の2、3時間ほどで、国家権力の圧倒的な暴力を見せつけられました。ケガ人や熱中症、逮捕者を出さないためにも、短時間で撤退を余儀なくされましたが、これからも高江での工事阻止のため、非暴力の抵抗活動は続きます。首相官邸や警察庁が機動隊派遣の指示を出しているのは間違いありません。東京でももっともっと抗議の声を広げて下さい」

 長年に渡り、国会周辺で米軍基地反対、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設反対を訴え続けてきた都内在住の沖縄出身の男性(65歳)が、声を震わせて訴えた。

 「今年5月に16年ぶりに里帰りしました。その時期に米軍元海兵隊員による女性暴行殺人事件のことを知り衝撃を受けました。沖縄では戦後ずっと米兵による事件や事故が続き、今現在も続いています。被害者の多くは声を上げることすらできません。沖縄はアメリカからも日本からも差別されてきました。『辺野古新基地反対』の民意が繰り返し選挙でも示されてきたのに、政府は無視し続けています。佐賀県知事が『オスプレイ配備』に反対したら、政府はすぐに計画を撤回したのに、沖縄の米軍基地には配備が強行され、高江はじめ多くの住民を苦しめています。これは『沖縄差別』に他なりません。本土復帰前にパスポートをもって東京に来て44、5年になりますが、基地の実態は何も変わりません。国土の0.6パーセントの土地に74%の米軍基地が集中している。まさに、アメリカと日本の植民地だ。我々は勝つまで闘い続けます。応援よろしくお願いします」

 今まで何回も辺野古に通い、新基地建設予定地の「大浦湾」でカヌー隊の一員として監視活動を続けてきた女性は、悔しさを滲ませて訴えた。

 「仕事の都合で高江に行くことができず、いてもたってもいられない気持ちでここに来ました。辺野古沖で工事が行われている時、海上保安庁の暴力も凄まじかったですが、今年3月に国と県の裁判がいったん和解し、工事は一時停止になりました。しかし参院選挙で『辺野古新基地建設反対』の民意が示されたその翌日に、高江に全国から500人以上の機動隊が投入されて、反対する住民たちを暴力的に排除して、今日、工事再開が強行されました」

 「一体この国の政治は何なのですか?そこにいる警察の人も聞いて下さい! あなたたちは何を考えてそこに立っているのですか? 今「やんばるの森」で起っていることをご存知ですよね? 自分の目で現実を見て下さい。豊かな自然や、高江で暮らす人々の生活を破壊し、沖縄戦を経験してきた、おじい、おばあの平和への願いを踏みにじり、戦争で人を殺すための訓練場を増強しようとしているんです。人として当たり前の権利を主張するために、非暴力の座り込みをしている人々を、警察は暴力的に排除した。警察が市民からどう思われているのか、ひとりひとりが考えてみて下さい。あなたたちは上司の命令に従っているだけかもしれない。でもその結果、人殺しのための戦争に加担しているのですよ」

 首相官邸前に立ち並ぶ警察官を前に、やり場のない怒りの発言が続いた。

 「ひとつの国家暴力を認めると、他でまた必ず起ります。政府に対しても、警察に対しても、黙っていては民主主義は成り立ちません。悲惨な沖縄戦の後も、日本政府は沖縄を権力に都合の良いように、日米安保体制下で差別し利用し続けてきましたが、これは沖縄の責任ではありません。日本政府が沖縄に米軍基地を押し付ける形で、本土ではまやかしの『戦後民主主義』が成り立っていたのです。これは私たちの責任です。今日高江で起った真実を胸に刻み、民主主義を守るために声を上げ続けましょう」

 「今日高江現地からのツイキャス中継で、戒厳令が敷かれたような状況を見て、警察は暴力装置であることを改めて痛感しました。沖縄で起きていることは、全国で必ず起きます。今回、沖縄には東京、大阪、福岡など全国各地の機動隊が集結しました。高江での弾圧は機動隊の訓練にもなり、再び全国各地に散っていきます。東京オリンピック開催を狙って、首都圏でも機動隊が増強されるでしょう。こんなやり方を許してはいけません」

 首相官邸前には、子ども二人を乳母車に載せた白人女性もいた。話を聞くと、カリフォルニアの大学でアイヌ民族の研究をしているアメリカ人研究者とのことだった。流暢な日本語で答えてくれた。

 「3.11震災以降、様々な市民運動に参加しています。アメリカでも、警察の黒人に対する暴力的な発砲事件が問題になっていますが、日本の警察も本質は同じです。政府に抗議する市民への暴圧行為が目立っています。日本政府は沖縄の『自己決定権』を無視し、国連から是正勧告が出ているのに、沖縄の『先住民族の権利』を決して認めようとしません。米軍基地を沖縄に押し付けてきた、米国政府も日本政府も許すことができません」

 参院選挙が終わり、政権与党は改憲発議に必要な3分の2の国会議員数を獲得した。沖縄では辺野古新基地建設反対を訴え、現職の沖縄•北方担当大臣の島尻安伊子を大差で破り、「オール沖縄」の伊波洋一候補が当選した。しかし、全国各地の米軍基地にオスプレイ配備が計画されているにも関わらず、沖縄米軍基地のオスプレイ配備の現状や、基地の再編強化については、沖縄以外ではほとんど争点にならなかった。広大な横田基地を抱える東京都の知事選挙でも同様だ。少なくともマスコミ報道では争点化することを避けているとしか思えない。

 沖縄選出の与党国会議員が消滅した参院選挙翌日に、復讐のように高江ヘリパッドの建設工事を強行し、裁判の和解協議を反故にし、辺野古新基地建設の陸上部での工事再開を宣言した安倍政権の暴走は、地方自治と民主主義社会に対する狂暴な大弾圧と卑劣な挑発行為に他ならない。

 首相官邸に向かって、安倍政権への怒りの声と沖縄との連帯を求める訴えが、「沖縄をかえせ!」「座り込めここへ」「今こそ立ち上がろう」などの歌声とともに響き続けた。

 「安倍政権を生き長らえさせているのは、私たちです。私たちの責任です。沖縄で起っていること、米軍基地問題、日米安保体制は私たちの問題です。もっと町に出て、関心のない人にも分かりやすく話さなくてはなりません。米軍基地や戦争訓練場の再編強化、自然と住民の生活を破壊し、平和を傷つけ、人間の尊厳を踏みにじる安倍政権を絶対に許してはいけません。政治権力の凄まじい暴力を、自分自身の言葉でもっと伝えていきましょう。沖縄で起きていることをきちんと伝えてこなかったメディアにも責任がある。メディアにも真実を報道するように訴えよう!私たち一人一人が、あらゆる方法で、もっともっと声を上げていきましょう」

 過去いくつもの地方自治体が、「オスプレイ配備反対」や「米軍基地の整理縮小」「日米地位協定の抜本改正」などの議会決議を上げ、首相はじめ関係閣僚に提出しているが、政府は完全に黙殺してきた。地方自治体は沖縄と連携して、政府に対して、もっと目に見える形で抗議行動をする必要がある。沖縄選出以外の国会議員の取り組みも脆弱と言わざるをえない。「オール沖縄」と異なり、本土の経済界は犯罪的に新たな米軍基地建設や武器輸出に加担し続けてきた。本土で暮らす私たち一人一人が起こすべき行動は非常に多い。

 7月23日にも新宿で抗議デモが行われ、約400人が参加した。 25日(月)にも夕方6時30分から「沖縄・東村高江・米軍ヘリパッド建設 工事再開を許さない!!7・25官邸前抗議行動」が 開催される。http://www.jca.apc.org/HHK/ (続く)


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