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「北朝鮮の核実験」と戦争法制

2016年01月07日 | 戦争・安倍政権

  

 北朝鮮の核実験(6日)は、言語道断、強く非難されるべきです。
 同時に重要なのは、この事態に対し、日本は、私たちは、何をすべきかです。

 安倍首相は早々に「独自制裁」を含め「断固たる措置」をとると強硬姿勢を見せました。大手メディアも一様にそれに呼応するように、「国際包囲網の強化・再構築」を主張しています。
 それでいいのでしょうか。

 第1に確認する必要があるのは、「核抑止力」論の誤りです。
 金正恩・第1書記が「核保有国の仲間入り」をアメリカや中国などに対する「外交手段」にしようとしているのは、「核抑止力」論の妄想にはまり込んでいるからにほかなりません。

 これに対し、「核武装は無謀な体制の維持に何ら役立たない。むしろ破滅へと導く逆効果しか生まない」(7日付朝日新聞社説)という指摘はその通りです。
 しかし重要なのは、この指摘は北朝鮮にだけ該当するものではないということです。

 アメリカをじはじめとする核保有大国は、自分たちの核保有・核実験は棚上げし、「小国」のそれを非難・攻撃し、核兵器を独占しようとする。それが世界の核兵器廃絶を阻害している元凶です。国連安保理も核保有大国で占められています。
 重要なのは、日本が日米安保条約によってアメリカの「核の傘」に入り、その大国主義の一端を担っていることです。

  北朝鮮の核実験・核保有を批判・非難するのは当然ですが、同時に、その矛先はアメリカをはじめとする核保有大国にも向けなければなりません。そして「核抑 止力」論そのものを打破しなければなりません。北朝鮮だけを批判・非難するダブルスタンダードから脱しない限り、根本的解決はありえません。

 第2に考える必要があるのは、安倍首相や大手メディアが主張する「国際包囲網」とは何かということです。
 「日本は、米韓両国との連携を改めて固めたうえで、中露などと協力して国際包囲網の再構築を図るべきである」(7日付毎日新聞社説)
 「北朝鮮政策で結束する日本、米国、韓国にとっても、正念場である。改めて共通の立場を確認し、中国・ロシアとの協調も探り、北朝鮮に一致して対応する態勢を固めるべきだ」(7日付朝日新聞社説)
 
 安倍首相や大手メディアが主張する「国際包囲網」とは、日・米・韓同盟=軍事同盟を中心に、中国、ロシアを加えた軍事力(「経済制裁」を含む)による包囲網、軍事ブロックの強化にほかなりません。

 そして今とりわけ重大なのは、昨年安倍政権が強行成立させた戦争(安保)法制が、施行(3月)目前だということです。
 戦争法によって、「北朝鮮の核の脅威」を口実にした日米韓の「包囲網」=軍事ブロックに、日本の軍隊(自衛隊)が加わることになるのです。

 今回のことでその問題に触れた新聞の社説は、私が見た限り、東京新聞だけでした。
 「昨年成立した安全保障関連法は朝鮮半島有事など、『重要影響事態』での自衛隊の後方支援などを定める。国際情勢の変化に応じて防衛力を適切に整備するのは当然だが、北朝鮮の脅威を名目に『軍事力』強化を加速させてはなるまい」(7日付東京新聞社説)

 戦争法を想起させたことは評価しますが、下線部はとうてい賛成できません。また「軍事力強化を加速させてはなるまい」という悠長な問題でもありません。

 東アジア情勢が「緊迫」すればするほど、「制裁」や「軍事力」による「包囲網」ではなく、「対話」の促進こそ模索すべきです。それが「拉致問題」解決への道でもあります。
 そのためにも、日米軍事同盟強化・集団的自衛権行使の戦争法を廃止することがまさに急務であり、それこそが私たちに課せられた責任ではないでしょうか。
 
 沖縄戦で撃沈された「対馬丸の」生存者・上原清さん(81)はこう訴えています。
 「政府は平和外交に徹してほしい。圧力ではなく対話を重視し、国連を通じて話し合いで問題を解決すべきだ」(7日付琉球新報)
 戦争体験者のこの思いを共有したいと思います。

*ブログ「アリの一言」より転載紹介

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