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LNJ Logo 日赤争議、9年の闘いにピリオド(廣瀬明美)
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みなさまへ

お世話になっています、日本赤十字社・スタッフサービス地位確認等請求事件の当事者で
ある廣瀬明美です。

26日午後の和解協議において、本件は解決いたしました。

日赤職員が音を上げて来ていたこと、スタッフサービスは2009年から白旗を上げてお
りました。

昨日、裁判所からも和解調書の正本が届き、明日弁護団と記者会見を行います。

ようやく正式に皆さまへ弁護団声明文と厚労記者会(明日4/1)での会見のお知らせを発
表できます(下記)。

急なことで大変恐縮ですが、ぜひ、万障繰り合わせの上、ご参加お願い申し上げます。

私の声明文は本日中に発表します。皆様への御礼とさせていただきます。

また、現在、9年間の闘いを総まとめとして書籍化の予定をしています。

39歳と11カ月、30代丸々労働者供給事件と向き合い、「産む性」でもある女性の使
命を持っての働き方を模索しました。

会見を動画にしますので、皆様には追って報告させていただきます。

よろしくお願い申し上げます。 

廣瀬明美

■まず、弁護団からの声明文です。

*********************************
廣瀬明美さんの対日本赤十字・地位確認請求事件の終結にあたって

2015(平成27)年3月30日
             
  控訴審訴訟代理人弁護士 久保木 亮 介
     同    弁護士 萩 尾 健 太

本件事案の概要(なぜ廣瀬さんは提訴を決意したか)

 1 廣瀬さんと「派遣元」スタッフサービスの派遣労働契約は、2006(平成18)年 6月、派遣受入期間制限のない政令5号業務「事務用機器の操作の業務」とされていた。 しかし、「派遣先」日本赤十字社での実際の仕事は、献血広報(研修係も)、献血者受付 、体重測定、検温、問診と可否判断、骨髄ドナー登録の受付、接遇、献血カードの発行、 記念品の贈呈・管理、献血登録の推進、問診票・納品書・在庫の管理や物品の発注、移動 車での機材積み下ろし、移動車の誘導や車体内外の清掃、献血者の体調管理、企業等との 対外での対応、メディア対応など、採血行為以外の献血業務の全般にわたっていた。この 契約と実態の乖離は、2010年3月に厚生労働省(「専門26業務派遣適正化プラン」第 一号事案)、東京・神奈川労働局が、2014年4月に本件原審も認めている。 2 これら献血業務における日赤の廣瀬さんに対する評価は高かった。2008(平成2 0)年3月から日赤の指示で横浜駅東口出張所に異動となった後、献血広報の副責任者に も指名され、事実上解雇されるまで勤め上げた。正社員向け研修にも参加、日赤の企業秩 序維持やコスト削減に尽力するよう教育され、忠実に実行してきた。 3 ところが、廣瀬さんは2009(平成21)年9月、日赤から突如契約終了を言い渡 され、それからたった28日後に解雇(契約終了)された。背景には、当時スタッフサー ビスと日赤の派遣法違反(廣瀬さんはこれを違法な労働者供給と一貫して主張)の実態に 対して、労働局による全国的な調査が進んでいたことがあった。 4 廣瀬さんが解雇(契約終了)を告げられた後も、日赤の職場では他の会社からの派遣 労働は続けられ、翌2010年4月中までに、派遣法違反の是正措置として12名もの派 遣労働者が直接雇用の申込を受け、日赤に直接雇用された。他方、解雇(契約終了)され た後2009年10月20日付で神奈川労働局へ「雇用復帰」のために派遣法40条の4 を根拠にして申告をした当の本人である廣瀬さんには直接雇用の申し入れは一切なく、献 血(血液事業)の仕事を奪われたままであった。  廣瀬さんは裁判所にどのような判断を求めてきたか

 1 日本赤十字社との間には黙示の雇用契約が成立していた (1) 2006年6月に、日赤が履歴書を事前に見たうえで廣瀬さんと面接した事実 (2) 2008年3月に日赤が廣瀬さんに直接雇用の約束と、横浜駅東口出張所への配 転指示、それを前提とした研修への参加を指示した事実 (3) 2009年9月にスタッフサービスではなく日赤により突然契約終了を打診され た事実 等を主張。 (1)(2)は派遣先が「採用に関与」したことの表れであり、松下PDP最高裁判例(2 009年12月18日付)の判断枠組みでも黙示の雇用契約を認めうるはずのもの。(3 )は、雇用契約の終了という重要な場面において、スタッフサービスに派遣元=雇用主と しての実態が欠けており、実質的な雇用主が日赤に他ならないことを物語るもの。 2 不法行為(損害賠償請求) (1)政令5号業務を装って廣瀬さんを長期間使用しつづけた日赤には、労働者派遣法4 0条の4および公平の原則に基づき、廣瀬さんに労働契約の申し込みをする義務があった 。この義務を果たさなかったことにより、日赤は廣瀬さんの直接雇用への期待権を侵害し た。 (2)前述のとおり、廣瀬さんはその仕事を高く評価されており、少なくとも、派遣先を 日赤とするスタッフサービスへの雇用は継続されると当然に期待していた。しかし、20 09年9月に日赤が契約を終了し、この期待権も侵害された。 (3)2008年3月、廣瀬さんが直接雇用を約束されたことを聞いたスタッフサービス は、廣瀬さんの『派遣を継続させて』利益を確保するため、日赤に交渉し直接雇用の実現 を妨害した。

 3 控訴審での新たな立証活動

 (1)「採用に関与」したことを示す労働局資料の文書提出命令申立   ⇒高裁は申立棄却。最高裁も特別抗告棄却。松下PDP最高裁判例(2009年12月 18日付)の枠内での立証活動すら認めようとしない点で、極めて不当 (2)「採用に関与」、解雇(契約終了)後の差別的取扱いにつき証人申請   ⇒不採用。これも、重要争点に対する必要な立証を阻むものであり極めて不当 (3)廣瀬さんに対して日赤が直接雇用を申し入れなかったことが、労働者派遣法49条 の3第2項に該当すること、及びその効力として直接雇用(地位確認)が認められるべき ことについて、法政大学法学部・沼田雅之先生の意見書を提出。 ⇒和解により高裁の司 法判断には至らなかったが、現行法に基づく理論構成として重要な意味を持つものと考え る。 和解について

1 本来、日赤の献血業務の現場に復帰する内容の和解こそあるべき姿である。 2 他方で、日赤とスタッフサービスの双方に解決金を支払わせることは、派遣法・職安 法違反が決して許されるものでないことを示すものであり、廣瀬さんの闘いの到達点とし て積極的な意味を持つ。 3 廣瀬さんとしては、無念の思いを抱きつつも、30代女性の1人の人間としてのタイ ミングと、また全国の闘いの励ましとなることを願い、今回の和解を決意した。 4 この和解が、現在の政権が狙う派遣法の根本的改悪を阻止する上でも、重要な意味を 持つことを、願いかつ確信するものである。 最後に 弁護団として、長い間の廣瀬さんの奮闘と、それを支えた全ての支援者の方々に敬意を表 する。この闘いを取上げて頂いた報道関係者の方々に御礼を申し上げる。 以 上 ■明日2時30分から厚労省9階にて記者会見を行いますので、ぜひ、みなさんいらして くださいね! **************** 2015年3月27日 厚生労働記者会 御中                  平成26年(ネ)第3116号  日本赤十字社・スタッフサービス地位確認等請求控訴事件 控訴審和解成立による記者会見のお知らせ 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。 3月26日(木)14時25分、日本赤十字社・スタッフサービス地位確認等請求事件は 東京高等裁判所民事4部ろ係にて和解成立いたしました。  つきましては、厚生労働記者会での会見を以下の日程で開催することとなりました。多 くのご関心をいただけますようにお願い申し上げます。 4月1日(水)午後2時30分より 本件控訴審と和解の経緯  本件は、東京地裁での原判決(2014年4月23日付)においては、「一連の労働者 派遣法違反を認め、さらには日赤の直接雇用の職員との同一業務も認定」した。しかしな がら、損害賠償と地位確認を認めず、全面棄却という不当判決であった。  控訴審では、控訴人である廣瀬さんは、新たな主張として、法政大学の労働法学者であ る沼田雅之教授に意見書をお願いし、派遣法49条の3の2「申告者に対し不利益な取り 扱いをしてはならない」という『罰則規定』を強調した。  しかし、労働局が日赤とスタッフサービスへ行政指導、処分するに当たっての調査文書 の送付嘱託や文書提出命令申立書、新たな証人・控訴人本人の尋問は採用されず、廣瀬さ んの被害と地位確認の立証の機会が与えられなかった。そのため、第一回期日から四回の 裁判の進行は納得できるものではなかった。  一方で、結審後、裁判所から和解勧告をされた。廣瀬さんは日赤への雇用を望んだが日 赤はこれを認めず、雇用を諦めざるを得なくなったことは無念である。しかし、派遣先で あった日赤から解決金を支払わせ、廣瀬さんの上司で事実上の解雇通告をした職員から席 上におき、これまでの廣瀬さんの献血業務への貢献と感謝の言葉が述べられたことは大い に評価できる。  今国会に改定労働者派遣法案が提出されたが、それは本件のように長年派遣労働者とし て就労させても、違法でないとするものである。違法派遣と認定された件で派遣先と派遣 元に解決金を支払わせた本和解は、この改定派遣法案の国会審議にも一石を投じるものと なった。廣瀬さんが違法派遣によって受けた、正社員以上に働かせられて使用者の都合で 切り捨てられるという被害が、改定法案によっていっそう拡大されることが懸念される。 本件の解決が派遣労働者の働かせ方を見直し、派遣制度そのものを見直す後押しになるよ うに発信していきたい。 発言者目録 (FBなので住所は省きます) 控 訴 人(原 告)   廣  瀬  明  美 上記訴訟代理人弁護士   久 保 木  亮  介 上記訴訟代理人弁護士   萩  尾  健  太 以上

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