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世界社会フォーラムは、早くも本日が最終日です。チュニスで参加されているみなさま
、お疲れ様です。

 ※ 今回の世界社会フォーラムは、プログラム上、986の自主企画(ワークショップ、セ ミナー等)が予定されています。これらが、4日間の日程で、チュニス大学ファラハト・ ハシャード・キャンパス構内に会場を割り当てられています。バルドー博物館の事件があ った後なので、このうち実際にいくつ開催されるのかは不明ですが、その点については、 現地から後々報告があると思います。 ※ ちなみに、前回のチュニスWSFと異なるのは、上記の自主企画が、登録時の内容か ら、6つのテーマに大別されている点です。  以下は、その6つのテーマの概要が記されている公式プログラム部分を翻訳したもので す。  この文面を概観して気づくのは、「境界を越える岐路」というテーマが設定されている 点です。「境界」の問題は、移民労働者の運動からもこれまでは論じられてきましたが、 イスラエルによるパレスチナ占領問題などを抱えるアラブ諸国の運動にとっても重要です 。また、「境界を越える岐路」の概要文は、尖閣問題が政治的に利用される私たちの社会 にとっても、一つの問いを投げかけるものとなっているようにも思えます。  ご関心あれば、お読みください。(大屋定晴) ---以下翻訳--- 〔世界社会フォーラムの自主企画の分類〕世界社会フォーラムにおける闘争の諸空間 ―「市民権の岐路」  アラブ民衆蜂起から4年を経て、移行の問題が浮上した。さらなる自由と正義を民衆が 望んでいるのに対して、それを尊重する社会的・政治的組織をどのようにつくりだすのか ? 反動勢力と新自由主義的論理の前進を抑えるのに、社会運動にどのような役割がある のか? ヨーロッパにおける政治変化、ブルキナファソでの蜂起、ラテンアメリカでの民 衆のイニシアティブ……これらは、もう一つの世界を解明する道筋でもある。その世界で は、各人が己が権利を優先させ、万人の生活を規定する論争に介入・参加でき、一人一人 が配慮されるであろう。これらやそれ以上の問題が、「市民権の岐路」で交錯するであろ う。議論に参加することで、建物の礎石を提供してほしい。 ―「境界を越える岐路」   土地、境界〔国境〕、領土。これらは、人を動かす普遍的な力があり、帰属感やアイデ ンティティや拠り所を呼び覚ます微妙な観念である。……しかし、これらの言葉は、暴力 や支配、他者の隔離や拒絶とも結びつく。パレスチナの抵抗運動家、サハラ以南アフリカ からの移民、ブラジルの土地なき農民を結びつけるのは何か……? 土地、境界、領土。 これらの言葉の下に、戦争が布告され、民衆は殺されるかその生命の危機に瀕することに なり、壁が建設される……。このことを克服するのは何か? 境界をどのように乗り越え るのか? 「境界を越える岐路」では、いくつかの体験やイニシアティブ、要請、闘争が 提示される。「境界を越える岐路」で、あるいは他の場所でも、その建設のために奮闘す る人々 と一体となって、もう一つの世界を構想し要求しよう。  ―「地球の区域」  私的な利益のために天然資源が乱開発され化石燃料が投下される開発モデルからは、チ ュニジアでも、その他の世界でも、住民の大部分は恩恵を得ていない。むしろなお悪いこ とに、そのモデルから民衆は直接的には被害をこうむっている。すなわち、環境は汚染さ れ、その生活条件と労働条件は悪化させられている。民衆の住む土地は強奪され、その水 の入手は私有化/民営化されている。その社会生活は覆され、その文化は破壊される。こ れに加えて、気候変動が劇的に感じられはじめており、その不均等な傾向が悪化している 。グローバルな南〔サウス〕の国々と最も弱い立場にある人々とが最初にその結果に苦し むからだ。  不必要なのに強制された大規模事業に反対する闘争、シェールガスと水圧破砕に抗する 大衆行動、気候に関する世界的な規模でのデモ行進……これらすべてが示しているのは、 持続不可能な経済成長の急激な追求に異議を呈し、また環境的公正と「善く生きること」 とを要求することで、人々が挑戦を開始したということである。これらの運動は、公正な エネルギー遷移の実現と、共有財の使途に対する集団的決定と、そしてこれによる自らの 存在の再領有とに向けて、オルタナティブを試みている。 ―「社会的公正の広場」  社会の願望は反抗の源であり、2011年のチュニジア民衆蜂起をもたらした鉱床であった 。今日チュニジアでは、社会的格差を前にした憤慨が、依然として話題となっている。  世界全体でも、格差は広がっている。グローバルな金融危機と不法で不正な債務の返済 という文脈の下で、国家は緊縮政策を実行している。公共サービスのさらなる民営化、労 働者の搾取(南でも北でも)、国際的規模での労働者間競争の導入、住んでいた者からの その土地や住居からの退去、そして彼らの権利の尊重がほとんど欠如しているという事実 ――これらはみなより公正な社会の建設に対しての、継続的攻撃なのである。社会的公正 が概念だけではなく要求でもあるがゆえに、それを実現しようと日々闘っている人々が、 「社会的公正の広場」で出会うであろう。教育を受ける権利、健康である権利、社会的保 護の権利、居住と土地への権利、一般的な経済的・社会的権利……これらは、あらゆる側 面か らの蒙昧主義的運動の展開に対する防壁である。それらは、より公平で痛みのない民主主 義的社会を強固なものとする。これらの権利を守らなければならない! 討議のために出 会い、経験を共有し、社会的不公正に対する新たな抵抗を創造しよう。どこの場で? 「 社会的公正の広場」においてである。  ―「平等、尊厳そして権利の区域」  世界を見渡せば、無数の人々が支配され、差別され、排斥されている……その人々の存 在ゆえに、行動ゆえに、言動ゆえに、思考ゆえに、あるいは信仰ゆえに。女性、先住民、 障碍のある人々、宗教的・文化的マイノリティ、LGBTIの人々(レズビアン、ゲイ、 バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセクシュアル)……資本主義的・帝国 主義的支配だけでなく、自分のいる社会での抑圧や暴力、差別からも苦しんでいる人々の リストは長大である。「平等、尊厳そして権利の区域」には、次のような世界のために闘 争する人々がいる。すなわち、人間の平等が単に意図されるだけではない世界であり、万 人の権利が尊重される世界であり、個人や人間集団の尊厳が社会の機動力である世界であ る。 この世界は可能である。その実現手段の確立という課題は残されている。思考や共存や組 織化や抵抗などの異なるあり方を建設する課題も、また残されている。これらをWSF内 での人々が試みるだろう。こうした人々に加わろう! ―「経済とオルタナティブの広場」  グローバル化された自由主義的資本主義経済システムが世界のほぼ全域で危機に直面し ていることは、公然たる事実である。だがそれは、このシステムの終焉なのか、その発展 の新たな段階なのか? 北でも南でも、金融権力が発展し、土地は強奪され、生きている ものは商品化されている。……これらはみな、長期間にわたり民衆闘争が非難してきたあ のシステムの活力と強欲とを指し示している。現在と過去の状況から引き出すべき教訓と は何か? あらゆる次元(経済的・社会的権利、個人的・集団的自由、環境……)で破壊 的となるような、新たな思考体系や価値体系や生産システムが強制されているが、これに 対してどのように対抗するのか? いかなるオルタナティブを考案するのか? 「経済と オル タナティブの広場」は、もう一つの世界の建設のために闘い思考し創造し抵抗する人々の 結集する場所となるだろう。すなわち、略奪を行なっている少数のエリートの保持ではな く、人類のための経済がある世界の建設のために。これらの問題に関心があるなら、そこ に集おう! -- 原文 PROGRAMME FSM TUNIS 2015, pp. 4-6. https://fsm2015.org/en/download-program  [2015年3月24日閲覧] (日本語訳 大屋定晴) ※訳者追記  英語版を主として、フランス語版、スペイン語版を適宜参照して訳出。 

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