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教育にとって一番大切なものは何か?〜「河原井・根津『君が代』処分取り消し訴訟」が結審

                 佐々木有美

 教育にとって一番大切なものは何か、そんなことを考えさせられた結審だった。3月26日、河原井・根津「君が代」処分取り消し訴訟(2007年度事件分)は控訴審の結審を迎えた。一審判決は、根津公子さんの停職6ヶ月は是認されたが、河原井純子さんの停職3ヶ月は取り消し。ただし損害賠償は棄却された。満杯の傍聴席の前で二人の意見陳述が行われた。根津さんは一審判決で、1994年の「日の丸」降ろし事件を、処分適法の一つの根拠とされた。「学校の規律と秩序」を害したというわけだ。彼女は陳述で、東京都の人事委員会審理での同僚・保護者の証言を紹介しながら、「学校の起立と秩序」を害したのは実は校長であったことを立証した。

 当時の石川中学では、広島への修学旅行や平和教育が行われていて、生徒は「日の丸」についても歴史の事実をもとに自分で判断していたという。約束をやぶって「日の丸」を揚げた校長に生徒たちは猛烈に反発し、根津さんに降ろすように頼んだ。根津さんは「私が『日の丸』を降ろしたのは、『日の丸』に反対だからではありませんでした。教育委員会の『指導』に従うことを最優先し目の前のいる生徒たちは犠牲にする、そのような校長の行為を看過したら、石川中の民主主義、生徒を大事にする学校が壊れると思ったからです。子どもたちの声を聴き、教職員みんなが真剣に考え、議論した結果に基づいて教育に当たるという、『石川中学校の規律と秩序』を守るためでした」と述べた。

 河原井さんは、最初に勤務した学校の校長の発言を紹介した。「私は職務命令は出しません。学校に教育に職務命令はなじまない。論議して論議してお互いに結論をみつけていきましょう」と言った校長は、「教育の自由」を排して、ひとつの価値観を命令で強行し教え子や我が子を戦場に送ってしまった過去を反省していたという。「『教育の自由』は、『教育活動の命』です。『子供たちや青年たち教員たちの命』です。・・・『教育の自由』を奪うことは全ての命を抹殺することです。決して許すことはできません」と河原井さんは語った。

 二人の陳述からは、教育の場で「議論」や「自由」や「民主主義」がいかに大切なものであるかがよくわかる。そしてその対極にあるのが「日の丸」「君が代」の強制であることも。東京で強制が始まって12年。職員会議の採決は禁止され、学校から議論がなくなった。奪われたものの大きさを考える。

※控訴審判決は5月28日(木)午後2時半から824号法廷。


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