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アマゾンに労働組合ができた!〜「非人間的職場」を変えるために


 *会見に臨む東京管理職ユニオンの鈴木委員長(左)と森下書記長。その右に当該のAさんが座った。

記者会見動画(6分)

 11月4日、厚労省記者クラブで「アマゾン・ジャパン労働組合」結成の記者会見が行われた。出席したのは当該のアマゾン社員Aさんと加入組合の東京管理職ユニオン鈴木委員長と森下書記長だった。「アマゾンではメディア取材を受けると懲戒処分になる。当該の撮影は首から下にしてください。音声は加工してください」と鈴木委員長がまずクギを刺した。そして会見で語られた「世界8万8千人・日本3千人」の巨大企業アマゾンの職場実態はすさまじいものだった。出入荷の管理の仕事をするAさんは語る。「長時間労働はあたりまえ。そして上司のパワハラが酷かった。通勤電車に飛び込もうとまで思った」。結局、Aさんはうつ病を発症した。そして安心して働ける職場をつくりたいと思い、管理職ユニオンに駆け込んだ。「私の回りでも心を病む人が多く3割くらいの人が辞めていく。自分だけの問題ではないと思った」と組合結成に至る思いを語った。

 8月15日、ニューヨークタイムズがアマゾンの元・現役労働者100人以上にインタビューした大型記事を掲載し、その熾烈な「非人間的」職場実態を暴露した。ひたすらロボットにように働く人材のみが生きのこる現実を、レポートしたのである。これがきっかけになってアマゾン問題がクローズアップされた。イギリス・フランス・ドイツ・ポーランドで労働組合がつくられていった。そして、今回日本で初めて労組が結成された。アマゾンではそもそも「労働組合」が存在していなかったのである。


 *当該のAさん

 「PIP」という恐怖のクビきり装置

 記者会見でもっとも強調されたことは、アマゾンが行っている「退職追い込みシステム・PIP」である。「PIP」とは「Performance Improvement Plan 業務改善プラン」と呼ばれるもので、会社が社員が現在の職務での業務の水準が低いと判断すると、その社員に対して「PIP」を発動する。そしてその社員に対して「改善目標」を課してチェックし、改善が不十分な場合には処分を受ける。しかも、「90日を経過した段階で、改善を達成出来なかったり、職責を果たすことができなかった場合には、降格、降給、解雇を含む是正措置がなされます」という書類に「了承します」というサインを強要される。だから「PIP」に指定されたら最後、退職まで追いこまれてしまうのである。

 「PIP」の改善項目は単に売上げなどの数値目標だけでなく、「コミニュケーション能力」「自己批判能力」「主体性」など抽象的項目があり、人格評価に及んでいる。本人がいくら努力しても上司の裁量でどうにでもなるのである。

 「アマゾン・ジャパン労働組合」には現在、複数名が参加している。Aさんは語る「パワハラのない職場を。そしてPIP廃止をめざして頑張りたい」と。「ロボットにされてたまるか」というAさんの悲痛な訴えが、会見室を包み込んだ。(M)


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