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LNJ Logo 牧子嘉丸のショートワールド:ルポ 国民の怒りが爆発した日
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    第23回 2015年8月30日

ルポ・国民の怒りが爆発した日―8・30(ハッテン・サンマル)の一日

未明―明け方、天候が気になって目覚める。24日の宗教人の集会の最後に、総がかり行動の呼びかけに立った高田健さんの言葉を思い出す。「一口に国会包囲10万人と言いますが、これは容易な数字ではありません」。そうだ。決して容易なことではない。はじめてデモに参加するという人や国会にどうやって行けばいいのか分からぬ人までもが参加しなければ、10万人なんて到底無理なのだ。それには天候が決定的な意味をもつ。しかし、今朝は昨夜来の雨模様だ。

6時―新聞がまだないので、PCのメールを開くと、千葉高教組市川支部の通信に「今日の天気は変えられないが、明日の政治は変えられる」とあって、ハッとする。

7時―東京新聞の山口二郎さんの本音のコラム「人でなしの政治」を読む。福島原発事故の生活基盤を失った被災者にこれ以上の支援はしないと打ち切ったアベ政権を人でなしの所行と糾弾。国会前に「この人でなしたちをたたきのめすために集まろうと呼びかけている。社説の「デモの民主主義が来た」も目の覚めるような論説だ。

9時―NHK日曜討論で、参院の着地点を聞かれた共産党の小池議員は「着地させない。主権者の多数の声はこの戦争法案に反対だ。今日午後からの国会包囲の集会に参加して、この希代の悪法に反対の声をあげてください」と視聴者に訴える。民主の大島議員も「この集会は政党ではなく、市民のみなさんの呼びかけです」とすかさずフォロー。社民も同調する。自公のペテンと次世代の幇間者ぶり、あらわなり。

12時―早めにと思って出発。地下鉄の国会議事堂前で降りたら、今までいた乗客が皆おりて、その先の車内はガラガラだった。これはひょっとしてと思う。

1時半―国会前の右側通路に陣取っていたら、反対側の学生グループがだんだん異様に盛り上がっていく。開始時刻が迫ってくると、いきなりふくれあがって決壊。左右の歩道から人があふれて、あっという間に国会前の大道路を人々がふさいでしまった。主催の高田さんから、「前の人を押さないで。けが人を出したらせっかくの集会が台無しになります」と必死の訴え。みんな訴えを守って敢然と行動する。

2時―シールズの掛け声合わせて、「戦争法案、絶対反対!」「憲法守れ!」の大コール。「ア・ベ・は・ヤ・メ・ロ!! の声が地鳴りのように底から響いてくる。もうみんなの満身の怒りをこめた叫びが鳴り止まない。熱気と興奮で最高潮に達する。

3時―憲政会館側に移動すると、本部からの連帯あいさつの声が聞こえてくる。坂本龍一氏の「この闘いで、日本人は70年ではじめてフランスやイギリスのように自分の憲法を手にしたのではないか」という趣旨の発言もあった。

3時半―雨が降り始めて、傘の海になる。これを無情の雨というなかれ。ここまでよく曇り空でもってくれたことを天に感謝したいぐらいだ。まさに天の声は人の声ではないか。

4時―最後のあいさつは沖縄からきた安次富さん。辺野古新基地反対、川内原発再稼働阻止、そしてこの戦争法案反対は闘争の三角形で、一辺たりとも欠けてはならぬ。諦めたときが敗北だと、人々を鼓舞する。閉会のあいさつで、きょうの参加者が12万人だったと高田さんから報告があると、歓喜と喚声がこだました。しかし、これは闘いの新たなスタートであり、この9月決戦になお奮闘しようという呼びかけがあった。

4時半―集会終了後、「しんぶん赤旗」の号外があちこちで配られていた。シールズの女子学生のスピーチにスペイン内戦時に活躍したドロレス・イバルリの「ノー・パサラン」(奴らを通すな)を重ねたコラムが出ていた。まさに日本全国でファシスト・アベの「戦争法案」通すなの声がわき起こったのではないか。この闘いが世界にどう発信されるか。とくにアジアの人々にどんなに勇気と安心を与えることができるか。アベ談話に対する、これが日本の民衆談話なのだ。

6時―家に帰っても、闘いは終わらない。各メデイアはどう報道しているか。まず5時40分、テレビ朝日が5分間政局とからめてデモの様子を伝える。TBSは見落とすが、放送あり。どうせスルーするだろうと思っていたNHKが、6時2分に野党4党首の集会でのそれぞれの発言を報道。7時のニュースでも3番目に放送。最後は自民党の谷垣を出して法案成立は時間の問題のような、いかにもNHKらしい放送をしていた。しかし、この短い放送でも、民主の岡田代表と「生活の党と山本太郎と仲間たち」の小沢共同代表の発言は気迫が伝わってきた。やはり、映像は大事なのだ。国会内外の闘いとそれを報道するメデイアの監視はこれからますます重要になってくるだろう。

 参加者のみなさん、お疲れ様でした。次回から警察の警備・規制・弾圧はさらに強まるでしょう。しかし、それには倍する参加者で応えるしかない。きょうの参加者があとひとり誰かを連れてくれば、24万人になる! これからも総がかり行動実行委員会の要請に応じて闘いましょう。


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