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フランス・パリ : 日本軍「慰安婦」問題の解決を求めてアピール

 11月24日〜12月2日、日本軍「慰安婦」(性奴隷制度)問題の解決を呼びかける催しとアピールがフランスのパリで行われた。

 1990年代以降、国連のさまざまな機関(人権小委員会、女性差別撤廃委員会、社会権規約委員会、人権理事会、自由権規約委員会、拷問禁止委員会)および特別報告書、またILOによって繰り返し日本政府に対する勧告がなされ、2007年には米国下院、オランダとカナダ下院、欧州議会が「日本軍『慰安婦』被害者に正義を!」決議案を採択したにもかわらず、日本政府は日本軍性奴隷制度の史実を否認しつづけている。それどころか、安倍政権になってからは「河野談話」さえも取り消そうとする歴史修正主義が、政界とメディア(ネットを含む)でますます猛威をふるうようになった。韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)はこの状況をふまえ、国際社会への働きかけにさらに力を入れている。

 2013年9月、元「慰安婦」の金福童(キム・ボットン)ハルモニが被害者では初めてフランスを訪れた。海外渡航のできなくなったキムさんにかわって、今年の6月は吉元玉(キル・ウォノクKilあるいはGil Won-okと表記)さんがソルボンヌ大学で証言を行い、トロカデロの人権広場での「水曜デモ」に参加した。今回は挺対協とキル・ウォノクさんのほか、日本から林博史教授と梁澄子(ヤン・チンジャ)さんが代表団に加わり、「水曜デモ」や記者会見、国際会議に参加した。フィリピンの元「慰安婦」も来仏する予定だったが、体調悪化のためかなわなかった。

 11月25日は折しも「女性に対する暴力と闘う」国際デーである。挺対協代表の尹美香(ユン・ミヒャン)さんとキル・ウォノクさんは、パリ市が催した前夜祭に参加して発言した。「水曜デモ」第1154回目にあたる11月26日は、トロカデロの人権広場で夕刻にキャンドル・デモが催され、フランス人、韓国人、日本人が集まった。日本人参加者の女性は、1991年8月、最初に名乗り出た金学順さんの証言シーンをフランスのテレビニュースで見たときの衝撃を語った。

 11月27日の午後は、パリ市立映画・視聴覚センター「フォーラム・デジマージュ」でビョン・ヨンジュ監督のドキュメンタリー『ナヌムの家』(1995年)の上映会が催された。この作品のフランス語字幕版は、2000年のクレテイユ国際女性映画祭で初めてフランスに紹介された。以後、パリの「『ナヌムの家』上映委員会」によってフランス国内で12回ほど上映され、シモーヌ・ド・ボーヴォワール視聴覚センターのカタログにも登録された。

 同センターと上映委員会が主催したこの日の上映会は、被害者のキルさんや挺対協のユンさん(映画に登場している)、ヤンさんらを迎え、50人の会場は満席になった。映画に登場するハルモニたちは今では世を去ったが、水曜デモに若者たちをはじめ市民が大勢来るようになり、認識が広まったと語るユンさんは、少女と椅子の彫像を披露した。1000回目の水曜デモの際、ソウルの日本大使館前に設置された「平和の碑」のミニアチュアである。在日の元「慰安婦」宋神道(ソン・シンド)さんの支援をつづけるヤンさんは、自らの経験と日本の状況について語った。

 11月28日の記者会見では林博史教授が、今年8月に日本で発掘された史料をもとに、旧インドシナでの日本軍によるフランス女性への性暴力例(監禁、レイプ、殺害)にも言及した。この史実はフランスでもこれまで知られていなかった。

 11月29日にパリ・ディドロ(第7)大学で催された国際会議は、前述の参加者に加えて国際刑事裁判所検事顧問のパトリシア・セラーズさん、オランダ対日道義負債補償財団の女性、フランスのアムネスティ会長、哲学のジャン・セラム教授などが発言する充実した内容だった。韓国のアニメ、各地被害者の証言ビデオ、EU議員のビデオメッセージ、国連の「人道に対する犯罪・人権蹂躙補償と再発防止、真実と正義の促進」特別報告者パブロ・デ・グレフさんのメッセージも紹介された。日本軍性奴隷制度を歴史的・法的に検証し、現在も多発している戦時下の性暴力に結びつける視野にもとづく会議は、今後も継続が予定されている。

 被害者の証言とユンさん、ヤンさんによる発表は、12月1日にソルボンヌ大学でも行われた。

 代表団はまた、欧州議会の決議を強化するためにフランスの議会で日本軍性奴隷制度問題についての決議が採択されることを望んで、フランス元老院(上院)で女性の権利担当の議員たちに面会した。選挙候補者の男女同数制法(2000年)につづき、男女の実際的な平等の実現をめざず法案が今年8月に採択されたフランスでは、女性への暴力の問題がなかなか改善されない状況に対して近年、法律が強化されている。欧州評議会の「女性に対する暴力の予防と廃絶協定(イスタンブール協定、2011年)」も、今年7月に批准されたところだ。

 2007年の欧州議会の公聴会で証言したキルさんは今年満86歳。ヨーロッパへの長旅と滞在は当時よりさらに負担が大きかっただろうが、フランスの市民にとって、日本軍性奴隷制の被害者から直接の言葉を聞ける貴重な機会であった。ユンさんが強調するように、被害者のハルモニたちは長い運動をつづけるうちに、普遍的な人権活動家になった。今では他の戦時下・性暴力の被害者を積極的に支援し、性暴力の廃絶と平和の実現を訴えている。挺対協は彼女たちの意を汲んで2012年にナビ基金を設立し、コンゴやヴェトナムの性暴力被害者に支援金を送っている。

 今回の代表団のフランス滞在は以上のように、日韓の代表団がフランスの市民と元老院やパリ市など公人にも日本軍「慰安婦」と性暴力問題を直接に訴える機会となった。準備期間が短かったこともあり、メディアの反応が少なかったのが残念だが、女性の権利に関わる団体やフランス市民、在仏の韓国人や日本人(在日を含む)とのつながりが深まったことも収穫だったのではないだろうか。2013年の代表団訪仏のときから協力しているフランス・コリア友好会に加え、この問題の解決を求める在仏市民のネットワークがつくられつつある。

日本軍「慰安婦」問題に解決を!パリ市民の会(2014.12.12)


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