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投稿者 : Takeshi(44歳)

ブラック企業大賞ノミネート企業・JR西日本の実態

3年目を迎えた「ブラック企業大賞」に、9年前の福知山線尼崎で大事故を起こしたJR西日本が公然と名を連ねていた。これには「驚くというよりやっぱり・・・」という思い、並びに失望感を覚えざるを得なかった。内容は2009年に入社し、信号システム保安設備担当部門へと配属された若手職員が、無理な残業を繰り返させられるうち、心身ともに追い詰められ過労自殺していたというものだった。

ここでわたしの印象に残っているのは、9年前の事故直後に、当時の垣内剛社長が記者会見の席で、「今回の事故原因は100%JR西日本側に非がある・・・亡くなられたり後遺症を負われた方々に対し、当社としては過去の事例にとらわれることなく、精一杯の補償をしたい。ご遺族の方々からは、手厳しい言葉もたくさん頂戴致しました・・・あと10年かかっても、会社の体質を改善したい・・・」と語ったことだ。

あれから9年余り経ったが、現実はどうなのか。

さすがに事故直後から3年くらいまでは、京阪神地域の主要な通勤路線を主体に減速ダイヤに変更し、ゆとりを持たせるといった世間や利用客、マスコミにとって“見せる安全”をアピールした。しかし、鉄道という公益性並び社会性以前に、まず安全が求められるべく企業でありながらも、しょせんは民間(それも中曽根民活による国策:民営化)企業所以の哀しさと宿命は拭い去れなかった。

平成23年初春、九州新幹線直通運転と大阪駅改造工事、百貨店誘致等の巨大プロジェクトがワンセットで出そろった頃には、もうあの事故ははるか昔に終わったことだから自社(自分)は知らない、関与したくない、それよりこれからは、もっと楽しいことをやろうという露骨な雰囲気に変貌・変質していた。

その証拠が、九州新幹線博多開業直前に、同社課長がマスコミを通じ、「大阪駅の現在の利用客は、一日あたり約85万人だが、これを90万人かそれ以上にしたい!」と豪語していたことと、百貨店誘致の次なる目標として梅田貨物ヤード跡地でのオフィスビル建設を主体とする再開発事業に、1000億円単位のカネを湯水の如くつぎ込もうと躍起になっている姿だ。遺族や後遺症を負った者達全員への迅速、かつ納得のゆく補償すら目途が立っていないのに・・・である。

さらにタチが悪いのは、大阪駅改造と並行して福知山線(大阪―宝塚)の昼間時間帯の快速、及び普通の上下20本すべてを大阪発着にしたことだ。福知山線だけでなく、関西線や阪和線からの直通列車も、一点集中の混乱と危険を承知で大阪駅に集結させてしまったのだ。

亡くなったA氏も、危険と知りながらも職制や会社に疑問を呈することを許されないまま、仕方なく命じられた業務に従うしかなかったのか。鉄道マンとして利用客の命と安全を守る源流部に居たにも関わらず、自分の良心を黙殺してまでも、ただ従わされていたなら、経緯や原因こそ違えど超高速・超過密ダイヤを無理やり強行された末、犠牲になった107人と本質的に何ら変わらないのではないか。

そんな会社が上意下達で押し付ける命と安全より営業主導(優先)の方針に、激しい疑問と強いジレンマを抱いていたのならば、気の毒やら無念という言葉すら出ない。

やはり、改革(?)でどれほどまでに利便性や見せかけのイメージが上がって、JR会社は一部地域だけを相手にする私鉄会社とは歴史や生い立ち、役割(使命)、さらには将来目指すべきビジョンなどが根本から異なることが、80年代以降ずっと完全に無視され黙殺され続けている。

あれから27年余り経つ今、まさに矛盾と後遺症が止まらないではないか。今回のA氏の件は、あくまでも氷山の一角にすぎない。今や、真の安全と安心を持って利用できる公共交通を、国民の手に取り戻す時が来ている


Created by staff01. Last modified on 2014-08-01 11:32:31 Copyright: Default

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