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DNPファイン争議の解決求めて〜「大日本ムラ」包囲デモに600人

          報告=北健一(ジャーナリスト)

「大日本印刷は偽装請負の責任を取れ!」「適正な印刷単価を確立しよう!」。ビルの窓から、沿道から、たくさんの人たちがデモをじっと見ている。4月11日、大規模な改修工事中の大日本印刷(DNP)本社=新宿区市谷加賀町=を包囲するデモが600人で行われ、注目を集めた。

このデモは、二重偽装請負のあげくの解雇をめぐるDNPファイン争議の解決をめざし、併せて、印刷産業の適正取引も求めている。主催は全印労連、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)など産業、地域の労働団体だ。DNPの本社と工場が密集する市ヶ谷の「大日本ムラ」は、林立する組合旗と長く伸びたデモの列に包囲された。

一昨年、昨年に続く3回目もデモは、政府が労働者派遣法の改悪を閣議決定し、今国会(6月22日まで)最大級の対決法案に浮上する緊迫感のなかで行われた。安く使い捨てしやすい派遣を増やし正社員から置き換えようとする国策に対峙するデモともいえる。

DNPファインはDNPの100%子会社。争議のきっかけは、同社の工場で二重偽装請負で働かされていた橋場恒幸さん(50歳)がクビ切りされたことだった。橋場さんの実質上の雇用主はDNPファインだったが、書類上の「名ばかり雇用主」は日本ユニ・デバイス。ユニとファインのあいだにDNPミクロテクニカという会社が入り、DNPファインが払っていた2100円の時給を二重にピンハネ。橋場さんは1060円しか受け取っていなかった。

二重偽装請負は職業安定法44条に、ピンハネは労働基準法6条に違反する。埼玉労働局は立ち入り調査の結果、偽装請負と認定。ファインは是正を約束するが、橋場さんが解雇撤回を求めて起こした裁判(さいたま地裁係争中)では、「偽装などしていない」と言い張っている。

裁判が始まって5年近く。夜勤の仕事で生計を支えながら訴えて歩く橋場さんに、支援の輪が広がっている。初めてデモに参加した印刷会社の新入社員、登梛正太さんは、「デモ参加者の数にびっくりしました。大日本印刷は受け止めてほしいと思います」。主催者でもあるMICの日比野敏陽議長(新聞労連委員長)は、「今日のデモの成功が、大詰めを迎えた裁判にも影響を与えられたら」と話す。さいたま地裁は、労働局に文書提出命令を出し、証人尋問期日を重ねるなど、積極的な審理を続けてきた(次回=最後の証人尋問、6月25日13:30〜15:00、C105号)。

印刷以外からも多くの参加があった。日産、いすゞ、ダイキンなど派遣・請負の争議に取り組む全日本金属情報機器労働組合(JMIU)の三木陵一書記長は、「ひどい判決が続いているのでどこかで突破口を開けたい。この争議にはぜひ勝ってほしいし、一緒に頑張りたい」。JALの客室乗務員で不当解雇撤回裁判原告団の七里玲子さんは、「迫力ありましたね。周りのビルからも見ていて、関心が高いなあと。JALでもデモをしたくなりました」と話していた。

全印総連の是村高市委員長は「以前の要請には警備員が対応していたが、今は社員が対応している。だが(受け取るだけで)何の連絡もない。もし今回もないようなら、新たな行動も考えたい」と語る。橋場さんは「こんなに多くのみなさんにご参加いただきほんとうにありがとうございします。最後まであきらめずに頑張りますので、よろしくお願いします」と訴え、激励の拍手を受けた。

昨年3月、マツダ派遣切り事件では、解雇撤回・正社員化を命じる判決が出ている(山口地裁・山本善彦裁判長、マツダが控訴)。キヤノン争議でも、関連会社とはいえ「正社員としての雇用」をかちとり和解解決した(キヤノン非正規労働者組合『キヤノンに勝つ 偽装請負を告発した非正規労働者たち』耕文社、参照)。こうした現場のたたかいにこそ、「人の使い捨て」を広げようとする暴挙を止める力だ。

↓橋場さんの争議の詳細
http://www.dnpsougi.org/


Created by staff01. Last modified on 2014-04-14 17:38:54 Copyright: Default

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