本文の先頭へ
LNJ Logo これが映画の醍醐味だ!花田清輝的映画の見かた・考え方
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0820kinosita
Status: published
View


これが映画の醍醐味だ!
『街の灯』『誰も知らない基地のこと』『日曜日には鼠を殺せ』を観てディスカッション

●花田清輝的映画の見かた・考え方……Part.2

                  木下昌明

 花田清輝をご存じだろうか。戦時から戦後にかけて活躍したすぐれた芸術家がいた。彼は小説から演劇、文学・映画の批評など、その時代の前髪をつかみ、ときには手玉にとってみせる芸術の前衛としてふるまった伝説的な人物である。

 わたしは、彼が亡くなる2年ほど前だったか、神保町の交差点でみかけたことがある。つば広の帽子にマントのようなものをまとって突っ立っている後ろ姿を――。それが最後だったが、わたしもこの人の「映画的思考」なる映画の見方にずいぶん教わった一人だった。

 たとえば、こんなエッセイがある。ポール・ローサのドキュメンタリー論について書くためにわざわざ郊外の映画館まで出かけていって『怪猫有馬御殿』をみてきたという話だ。それは、花田が夢みていたドキュメンタリーの神髄を化け猫にみいだせないものかと考えていたからだ。なぜなら、この「有馬」も元をただせば江戸時代の「加賀騒動記」や「伊達騒動記」のような「騒動記」といった一種の記録ものを基にしている。それに化け猫という超現実的趣向が加わっているので、現実をいかにシュールにとらえたか――と花田は考えたとしてもおかしくなかった。しかし映画をみて、化け猫を描くにしても猫の生態をきちんと観察することからはじめなければいけないが、それができていないと、以下花田流のドキュメンタリー論を展開していくのだ。

 このように彼の「映画的思考」には、化け猫映画からも人間や社会の根っこをぐいとつかもうとするところにその批評の本質があった。花田とともに批評が生き、芸術が花咲いた時代があった。

 ――世の中に批評がなくなったと嘆くなかれ! 今度、その花田の影響をうけるとともに、一緒に共同制作などやってこられた、これまた特異な文学・芸術家である小沢信男を中心に花田が愛したチャップリンをはじめ、もっともアクチュアルなドキュメンタリーなど3本の映画をまな板にのせ、映画の見方からはじまって世の中の見方にまでせまろうと研究会を設けた。

 それぞれの映画に4人(小沢信男・木下昌明・白石征・西田敬一)の短いコメントはつくが、会場にこられたみなさんと「花田清輝」になった気分で大いに語り合おうではありませんか。  映画の本当のおもしろさは、映画をみるだけでなく、映画を語り合うところにあるのだから……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『花田清輝的映画の見かた・考えかた…part.2』
2013年9月2日(月)〜4日(水) シアターX
花田清輝シリーズ2013 みんなが発言する会

お話:小沢信男(作家)・木下昌明(映画評論)・白石征(演出家)・西田敬一(サーカス制作)

●『街の灯』(1931年アメリカ映画)
 9月2日(月)19:00

喜劇映画の傑作を上げろといえば、チャップリンの映画が浮かぼう。どれが一番面白いかといえば、正真正銘この一本だ。 ブルジョアの二面性を暴いたこの映画―チャップリン喜劇の神髄ここにあり! 特にラストシーンの絶妙で残酷なこと!議論になろう。

●『誰も知らない基地のこと』(2010年 イタリア映画)
 9月3日(火)19:00

なぜ米軍は沖縄に居すわり続けるのか? 基地は戦争のためではなく、巨大化した軍産複合体という利権システムを維持し強化するためにある―映画はこの倒錯した“戦争”のからくりに迫っている。 目からウロコの傑作だ! エンリコ・バレンティ&トーマス・ファツィのイタリア人監督によるドキュメンタリー

●『日曜日には鼠を殺せ』(1964年アメリカ映画) 
9月4日(水)19:00

「風粛々として、ピレネー寒し。壮士一たび去って、また還らず」 ―スペイン内乱の敗北から二十年。かつてのゲリラ隊長が、亡命人生の落日を前に、再び銃を手に国境を越える。 遊侠田さながらの名調子で花田清輝が映画批評に取り上げたこのスペイン戦争の後日譚は、熾烈な男の闘いを記録するフレッド・ジンネマン監督の「末期の眼」が冴えわたる渾身の一作である。

●参加費

1,000円(但し 2回目は500円、3回目は無料)


〔チケット申込〕
http://www.theaterx.jp/ticket.shtml
シアターX
東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア内
劇場 1・2階
オフィス 10階
TEL:03-5624-1181
FAX:03-5624-1166
Eメール:info@theaterx.jp
http://www.theaterx.jp/index.php

電車でご来場の場合
JR総武線両国駅西口下車、左へ徒歩約3分
都営地下鉄大江戸線両国駅A4・A5出口徒歩約8分


Created by staff01. Last modified on 2013-08-20 13:15:26 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について