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フランス事情 人質のジャーナリスト解放される(小山帥人)

 6月30日、アフガニスタンで人質になっていた2人のフランス人ジャーナリストが、解放され、フランスに帰ってきた。

 2人はフランスの公共放送機関、フランス・テレビジョンのエルベ・ゲキエール(48)とステファン・タポニエ(48)。2009年12月、アフガニスタンで取材中、タリバンに誘拐され、1年半の間、幽閉されていた。(写真=テレビより)

 この間、2人を救出しようという声が、フランスで大きく盛り上がった。支援組織が作られ、各地で2人を救出するためのコンサートや集まりが企画された。各市役所には、2人の大きな顔写真が載った幕がかけられ、公共テレビは毎日、ニュースの終わりに2人の顔を映して、「今日で誘拐された何日目になると言い続けた。この連帯意識と行動には驚く。日本でも誘拐事件があったが、これほど、人々が関心をよせたことはなかった。

 もっとも、フランスでも「自己責任論」がなかったわけではない。サルコジ大統領は2人の行動を「無謀な行為だ」とし、「職業意識がもたらした」と語ったが、2人の取材ぶりを知っている人は、スクープ合戦をするクルーではないといい、現場からは抗議すべきだとの声が上がった。公共放送の会長は、沈黙を守ったが、昨10年夏、会長が交替してから、支援団体に情報を流すなど、救援に向けての活動が積極的になってきた。

 解放された直後の2人の声に現実感があった。ゲキエールは「人生は美しい」といい、タポニエは「わたしは自由と太陽と風と愛に飢えている」と語った。2人は窓のない狭い部屋に入れられ、ラジオを聞いて支援の運動を知って励まされたという。

 その日の午後、2人の職場であるフランス・テレビジョン本社の様子が生中継された。

公共放送の会長は2人を歓迎し、「ジャーナリストの義務は現場に行くことだ」と語った。ゲキエールは「無謀な取材」という批判に反撃した。

 「軍に守られたエンベッド(埋め込み)取材だけではだめだ。別の視点の取材が必要だ。われわれは冒険主義者ではない。細心の注意を払って取材していた。我々は取材を続ける。イラクで、アフガンで、取材を続けねばならない」

 周りの人たちは歓迎の叫びと拍手で応えた。長身のタポニエは、自分の意志を行動で示すかのように、同僚が持っていたライトつきのカメラを肩にかついだ。そして、歓迎する人たちを撮影していった、ゆっくりとしたパン(カメラを振ること)で。 (2011.7.1記)


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