レイバーフェスタ感想〜素晴らしかった映画「抵抗者」 | |||||||
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「レイバーフェスタ2010」が12月23日、東京・飯田橋の「東京しごとセンターー」地下ホールで開催され、約280人が映画や音楽、川柳などで一日を楽しんだ。 最初に上映された映画「抵抗者」は素晴らしかった。トルコ専売公社(TEKEL)の売却による既得権の喪失に直面する労働者の闘いの記録だ。昨年末から今年にかけ、トルコ労働者組合連盟本部ビルの前の道路にテントを張り、78日間に及ぶ抗議行動を展開する。街頭で、極寒の気候にもめげずに「国際連帯万歳! 階級連帯万歳!」と気勢をあげる。親の背中を見ながら、子供たちもやがて座り込みの意義を理解していく。他の企業の労働者が道路の雪かきをして、連帯の意思を示す。感動的な作品だ。 この闘いは80日間の失業手当支給という成果を勝ち取り区切りをつけるのだが、テントの撤去に反対する声も上がる。会場で解説したイナン・オネルさんは、「アンカラの冬の夜は氷点下にもなる。ドラム缶のストーブで寒さをしのいできた。この闘いを日本に伝えることができてうれしい」と語った。 浅田次郎作「ラブレター」の朗読も、泣けてきた。白銀由布子さんの迫真の語りが、聞く者の胸を打つ。音楽アピールも元気いっぱいだ。緊張してやり直す人や、ジョニーHさんによる東京音頭の替え歌も笑える。私はコール佐藤さん(写真上)の「非常勤ブルース」が好きで、定番のコード進行に乗って飛び出す、いささか自虐的な歌詞を楽しみにしている。 ↓「東京のうたごえ」は「歩いて行こう」を歌った 「3分ビデオ」も、すっかり定着した。今年はベテラン勢の作品が心に残った。松原明さんの「地デジ難民」は、一方的で無謀な「アナログ停波」への手軽な抗議だ。そこには、「ビデオ作品は、いつでも、だれにでも簡単に作れるもの」という一貫したメッセージが込められている。「郵政正社員化の実態」や「東洋ガス事件」は、労働者の息吹が現場から描かれている。特に後者で映し出される社長宅行動では、カメラを向けられた組合員たちの、照れくさそうな表情と謙虚な訴えが新鮮だった。 湯本雅典さんは、取材し続けた辻井義春さんを題材にした。今回の作品は自分にけじめをつけるために作ったのだという。「ビデオは人に見せるだけではなく、自分のためにつくることもある」と静かに語る姿が印象的だった。 応募全作品が上映された後、山口正紀賞に「濱口國雄の詩」(志真斗美恵さん)、木村まき賞に「効率より、美味いもの」(白銀由布子さん)、東海林智賞に「ジョニーカムバック(予告編)」(疋田哲也さん)が選ばれた。 ↓ワーキングプア川柳のコーナー 川柳コーナーでは、ゲストに川柳家の尾藤一泉さんを迎え、関係者がステージに勢揃いした。ブームの追い風を受け、会員間でがぜん気を吐く川柳班。発足以来の地道な活動をまとめた冊子「ガツンと一句!ワーキングプア川柳」がこのほど完成した。子供のころから文章を書くことが好きだった私だが、恥ずかしながら俳句と川柳の違いを知らなかった。 この本は、川柳の作り方の基礎から、プロの厳しい視点による現代柳界の問題点まで、幅広く指南。特に尾藤氏による「川柳作法チェックポイント」は、あらゆる文章表現に利用できるマニュアルであり、川柳を吐かなくとも、ぜひ読んでおきたい一冊である。 ↓ロビーでは「報道写真展」「壱花花・風刺漫画展」 映像や音楽で世界中の労働者市民の闘いを知り、自己表現する空間を提供する文化祭。今年の出来栄えはどうだっただろうか。「抵抗者」たちのまぶしいばかりの連帯や、日韓民間労働者の心温まるドラマに触れ、日本の労働者の現状に心を寄せずにはいられない。とりわけ闘う主体の側の「格差」を痛感せずにはいられないのだ。 参加者一人ひとりが、自身の境遇と照らし合わせ、考えされられることもまた、フェスタがもたらす効果と言えるだろう。友との語らい、明日への活力。そして内面にこもる複雑な思い。くくりきれない多様性や幅を、お互いが大切にしながら。(Y) Created by staff01. Last modified on 2010-12-26 19:47:39 Copyright: Default |