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LNJ Logo 全日建連帯労組 : 日野自動車使い捨て解雇無効裁判不当判決について
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2010年9月30日

日野自動車使い捨て解雇無効裁判
不 当 判 決 に つ い て

全日本建設運輸連帯労働組合
                          関 東 支 部      
  執行委員長 中 塚 大 介

日野自動車ユニオン      
執行委員長 佐 藤 弘 之

 本日(9月30日)、日野自動車の期間工4人がおこした雇い止め解雇無効と雇用継続を求める裁判で、東京地裁立川支部は私たちの請求を棄却する不当判決を下しました。
 この裁判は、「派遣切り」の嵐の中で、08年12月から09年1月にかけて雇い止め解雇された期間工4人が原告となっておこしたものです。
 トラックメーカーとしては国内トップの日野自動車では、08年8月の時点で2,650人もの期間工が働いていましたが、会社はリーマンショックによる史上最悪の業績悪化に直面したとして、毎月200〜500人規模で雇い止め解雇にして、09年7月までに期間工をゼロにしました。しかも、首都圏最大規模の大量解雇を実施中の09年3月には茨城県古河市に新工場を建設する計画を明らかにしたり、雇い止めが完了してからわずか1カ月後の09年9月には900人規模の期間工採用を再開するなど、労働者の雇用や人権など一切かえりみない企業体質をあらわにして社会の非難を浴びました。
 これに対し、解雇された期間工およそ10人が「日野自動車ユニオン」を結成。佐藤委員長ら5人が原告となって、09年3月、地位確認訴訟をおこしたのです。(原告の1人は仕事の都合で途中で裁判を取り下げたため、判決時点では4人が原告)
 日野自動車の期間工は、工場では、臨時的一時的な業務ではなく、正社員と肩を並べて中核的業務をこなしていました。ところが、その雇用契約は、当初まず4カ月、その後は2カ月の契約を反復更新して通算1年、次ぎに再赴任と称して同様の細切れ契約を1年11カ月更新して、合計2年11カ月という、特異なものでした。2カ月毎に訪れる形式的な有期雇用契約を更新する際に、生産調整の必要に応じて、いつでも「契約期間満了による退職」として人員削減できるようにしているのです。
 私たちは、こうした実態からみれば、期間工の雇用契約は形式的には4カ月とか2カ月だが実質的には期間の定めのない雇用と同じだ、少なくとも仕事の能力や態度に問題がなければ2年11カ月は継続して働くことを期待できる契約だと主張して、この2年11カ月の契約期間中の雇い止め解雇の無効と雇用継続を求めました。
 他方、日野自動車側は、「雇い止めではない。契約期間満了による退職だ」「未曾有の経済危機でやむをえなかった」と主張してきました。
 30日の判決で東京地裁立川支部の市川正巳裁判長は要旨次のように判断して、私たちの訴えを退けました。

 争点の1=期間工の雇用契約について−−
 「職務能力や職務態度に問題がなく、不況等の事情の変化がない場合、2年11カ月雇用 されることが期待されていたものだが、労働契約法第17条2項の趣旨を考慮しても、こ れを実質的には期間の定めのない契約と同一の状態にあったとか、少なくとも2年11カ 月の雇用期間の定めがあったと認めることはできない。」
 
争点の2=雇い止めの客観的で合理的な理由の有無について−−
 「期間工を一斉に雇い止めしながら短期間のうちに大量採用の再開が行われること自体、 本件雇い止めが無定見に行われたことを示すと原告らは主張するが、経済情勢の予測には 困難を伴い、平成20年秋の世界同時不況も当初は100年に一度の大恐慌と喧伝されて いたことが認められるので原告らの主張は採用できないし、経営状態を考えれば期間工の 一部でなく全員の雇い止めを必要とした被告の判断は十分首肯し得るものであるといわねばならない。」などなどで、「客観的で合理的な理由が存すると認められる。」

 雇用契約についての評価はやや裁判所も歯切れの悪いところもありますが、雇い止めについての判断は日野自動車の主張を丸呑みしたもので、噴飯ものというほかありません。私たちはこの不当判決を到底容認することはできません。控訴して引き続きたたかいをすすめていく決意です。
 また、「派遣切り」で解雇された自動車、電機の派遣労働者や期間工がいくつも裁判をおこしています。今回の日野自動車裁判はその最初の司法判断にあたります。その裁判で、「100年に一度だったんだから仕方ないんだよ」「正社員じゃなくて期間工なんだから扱いが軽くても文句は言えないんだよ」と言わんばかりのこの不当判決は、リーマンショックに乗じて強行された、たくさんの乱暴な解雇と生存権侵害にお墨付きを与えることも意味します。その点で東京地裁立川支部には重大な責任があります。私たちは、これらの裁判をたたかう仲間と引き続き連帯を強め、大企業の使い捨てを許さない運動を社会的に発展させる一翼をになっていきます。
 同時に、今回の判決は有期雇用労働の問題点をあらためて浮き彫りにしました。派遣法とともに98年に緩和された現在の有期雇用法制を速やかに改正して有期雇用の名による使い捨てを規制することが必要です。この運動についても微力ながら私たちも力を尽くしていく考えです。
 連帯ユニオン及び日野自動車ユニオンは、これまでのたたかいをご支援くださったみなさま方にあらためて感謝申し上げます。判決を詳細に分析したうえで近く報告集会を開き、今後の活動方針を明らかにする予定です。
                                      以上


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