渡部通信～民主党による新たな教員免許制度の本質

 ・「都教委包囲首都圏ネットワーク」　
 ・「千葉高教組」・「新芽ＭＬ」。
 の渡部です。　

本日（12月6日）、「都教委包囲首都圏包囲ネットワーク」では
上記討論集会を開きました。参加者は35名でしたが、
内容の濃い討論集会になったと思います。

最初に包囲ネットのMさんが、
（基調報告）「民主党による新たな教員免許制度の本質」
を提案しました。

この中では、
民主党政権は「教員免許更新制」は廃止の方向で動いているが、
それと引き換えに「新たな教員免許制度」を考えており、
この中身が国家主義教育に道を開く
非常に危険なものであることが明らかにされました。

それは、民主党が政権獲得前の2009年3月に国会に提出し、
参議院では可決している≪教員資質能力法案≫（全10条）
によく表れています。その法案の正式名称は、
「教育職員の資質及び能力の向上のための
教育職員免許の改革に関する法律（案）」という長いものです。

Mさんは次のような問題点を指摘しました。

①第一条（目的）に現行の教員免許方にはない「能力」という
　言葉が付け加えられていること。
　これは「能力」に達しない者を排除するもので、
　結局＜教員免許更新制＞と同じ質のものである。

②しかも、免許取得までの期間と、在職後の期間と2段階で
　「資質と能力」の向上を図るとしており、免許状の授与者が
　これまでの「各都道府県教育委員会」から「文部大臣」となり、
　国家管理下での「資質と能力」の管理システムが作られる。
　（これと、民主党が「教育委員会」廃止を考えていることは繋がる）
　
③国が免許状管理を行うことにより、大学や大学院での
　講座の内容に対してもさらに強い権限をもつことも考えられる。
　また大学の中には、教員養成から撤退する大学が続出することも
　考えられ、教員養成制度が事実上、戦前の師範学校制度の内容に
　近いものとなる。
　（鈴木寛文科副大臣は著書の中で戦前の高等師範学校を
　　高く評価している）

④6年生の教員養成は学生・保護者に経済的負担を重くさせる。
　さらに1年の教育実習期間は無給であり、身分不安定で、
　採用される保障もない。結果的に教員志望者の減少になる。
　（金持ちしか教員になれない）

⑤法案には「特別の奨学制度を設ける」とあるが、
　もし、戦前の師範学校のような給費による奨学制度は
　給費と引き換えに教員の全面的な国家統制につながりやすい。

⑥1年間の教育実習受け入れ側の問題もある。
　　現行（２～４週間）でも大きな負担になっている。
　　１年間の実習はあり得ない話だ。

⑦９条「免許状の取り上げ」には次のように述べてある。
　　「教職員が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるに
　　ふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められるときに、
　　免許状を授与したものがその免許状を取り上げることができる
　　制度を設けるものとする」
　　要するに、「国」が授与したのだから「国」が簡単に取り上げる
　　こともできるということ。
　　現行の教免法にも「取り上げ」規定はあるが、
　　「懲戒免職」又は「分限免職」の場合に限っている。
　　この「取り上げ」規定は自民党政権の下で次第に強化され、
　　０７年改訂時には「分限免職」にまで対象を広げられた。
　　しかし、民主党案は、
　　「教育職員たるに法令の規定に故意に違反し、
　　　又は教育職員たるにふさわしくない非行があって」、などと、
　　自民党すらできなかったものにまで広げ、
　　日教組までを巻込んで行おうとしている。

⑧１０条の「移行にかんする措置」では
　　旧免許法（現行）の有効期間については「当分の間」とし、
　　新免許制度のもとで新たに「教育職員検定」を行い、
　　合格者にのみ新免許状を授与するとなっている。
　　（これは免許更新制度と実質的には同じである）
　　その結果、現職教員の選別、非正規教員の増加に繋がり、
　　さらなる教員の二極分化が生じる。

以上のように、民主党の「新たな教員免許制度」は
極めて危険な内容を持つものです。

しかも、日教組は先日行われた第153回中央委員会では、
次のような文言の入った議案を可決しています。

＜「教員免許制度の抜本的見直し」は、教育現場の実態をふまえた、
教員の専門性の向上につながる制度設計にする必要がある。
問題の多い現行の教員免許更新制を早期に廃止し、
民主党案に対し養成・採用・研修の一体的な改革についての
十分な議論を行い提言する必要がある。＞

つまり、基本的には民主党案を土台に「提言」すると述べています。
民主党案に「反対」ではないのです。
しかも、これは上からのトップダウンの運動方針であり、
組合統制により現場の声はほとんど反映されていません。
民主党が政権をとったことで、日教組中央はさらに政権にすりよっています。

しかし、現場教員は労働条件悪化の中でどんどん疲弊しています。
（これについての現場報告も出されましたので、次回に紹介します）
　　
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なお、例年２月に開いている「総決起集会」は
２月６日（土）夜、中野ゼロ小ホールで
斉藤貴男さんをお呼びして開きます。

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