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//     かわら版・ジャパンユニオン 2009/6/15 第223号
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<INDEX>---------------------------------------------------------

 1.今号のきめゼリフ
 2.こんな時どうする
 3.二週間・Newsスッぱ切り
 4.Focus of News
 5.ほっかほか・ほーこく
 6.「No.ゼロ」のぶつぶつつぶやきスペース
 

<今号のきめゼリフ>----------------------------------------------

 −労働者学習プロジェクト−

 企業による不当な解雇、サービス残業、賃金カット、長時間労働などに
 対抗しようと、若者たちがユニオンを旗揚げしたり組合に加入したりす
 るケースが増えている。

 彼ら彼女らが運動を持続させ発展させるためには、どんな知識と理論が
 必要だろうか。そんな問題意識から今年3月にスタートした「労働者学
 習プロジェクト」という企画が6月でいったんの区切りがついた。

 画期的だったのは、各労組が潮流(ナショナルセンター)の違いを超え
 ていっしょに開いたことである。

 テキストは『なぜ富と貧困は広がるのか』(旬報社)。講師は著者であ
 る後藤道夫さんと木下武男さんの2人。毎月1回、各4時間の連続講座
 で、内容は「座学」とグループ討論と交流会。各労組の20代、30代
 の組合員を中心に毎回約50人が受講した。

 ここで学んだのは、労働法や運動のノウハウではない。この社会の仕組
 みやこれからの労働運動のあり方という骨太のテーマだった。今日明日
 の活動に直接役立つわけではないかもしれない。しかし、5年先10年
 先の運動を見すえたときには欠かせないものだ。

 貧困や過酷な労働をうみだす原因をつかみ、社会を根本的に変えるチカ
 ラを身につけなければならない。若者の「決起」を単なるブームにして
 はいけない。

 この秋にもプロジェクトの第2弾が計画されている。「我こそは」とい
 うユニオニストの受講を願っている。 


<こんな時どうする>----------------------------------------------

 労働相談センター・メール相談より
 <研修費用の返還>

 <質問>
 入社し、研修が行われ、MR認定試験という試験を受け、合格しました。
 その後月々手当てをもらっています。

 その後、会社から誓約書を書くように求められました。
 内容は「試験に合格後3年以内に退職した場合、研修にかかった費用を
 全額返す」というものでした。

 免除される場合というのが死亡ともうひとつだけでしたのでたとえば結
 婚や出産、病気などの場合にはどうなるのかということをたずねました。
 会社の返答は、「この誓約書は、多額の費用をかけて試験に合格させた
 すぐあとに競合他社に転職されるのを防ぐことが目的であって、おめで
 たい結婚などが理由でやめる場合にまで費用を請求するような人道には
 ずれるようなことはしない」というものでした。
 だったらその旨を一筆くわえてほしいと伝えると、それはできないと断
 られました。
 3年という長い期間に何があるともわからない状態でしたが、上司との
 関係が悪化すると今後に支障もきたしますし結局不安ながら、せかされ
 るままにサインをしました。

 最近、後輩が退職を願い出たところ、その誓約書を持ち出して研修費用
 を請求されたそうなんです。
 この誓約書の内容に意義を申し立てることはできないのでしょうか。
 サインした以上、素直に請求額を支払うほかないのでしょうか。

 <回答>
 メール拝見しました。
 1.労基法第16条「使用者は、労働契約の不履行について、違約金を定
 め、損害賠償を予定する契約をしてはならない」としています。
 この労基法上保障されている「退職の自由」ひいては憲法上の権利であ
 る「職業選択の自由」に違反しているかが問題となります。
  
 研修費用を使用者が貸与して、その条件として一定期間就労を義務付け、
 その期間内に退職した場合には研修費用を返還するという誓約書を取り、
 社員の「足止め策」とすることがしばしば行われています。
 研修費用を返還させられることを恐れ、自由意志に反して労働関係を強
 制(退職できない)されることになりかねません。
  
 本件の場合、会社の業務に必要な資格(MR認定試験)であり、また入社
 前にはまったく説明は受けていないとのことですので本人の希望という
 より会社の業務命令と考えられること。
 また会社は「この誓約書は、多額の費用をかけて試験に合格させたすぐ
 あとに競合他社に転職されるのを防ぐことが目的であって、」と発言し
 ています。これは<退職させないことを目的>としていることは明らか
 ですので、労基法第16条違反に該当すると考えます。

 【裁判判例】
 1)武谷病院事件(東京地裁平7年12.26労働判例689号)
   1年で中途退職した看護婦さんに対して、病院側の学費・生活費の
   返還請求権は認めないとしています。
 
 2)サロン・ド・リリー事件(浦和地裁昭和61.5.30)
   美容院のインターンの中途退職の場合は、指導・講習費用を支払え
   という契約は退職の自由を不当に制限するもので労基法16条に違反
   するとされています。
 
 
 2.いわゆる「貸借契約」について
 労働者本人の希望で(業務命令でなく)、本来本人が負担すべき費用を
 使用者から借りて(立て替え金)、返還方法が労働契約の履行・不履行
 と無関係に定められ、単に一定の期間労働した場合は返還義務を免除し
 たに過ぎない場合は、いわゆる「貸借契約」となり労基法第16条に抵触
 しないと考えられています。
 
 裁判判例としては
 1)河合楽器事件(静岡地裁昭和52年12.23)
   会社の養成所の月謝を会社から「借り受け」て、養成所卒業後、会
   社に入社して従業員となれば退職時まで返済を猶予されるとした
   「契約」は、会社の貸与金は純然たる貸借契約として締結されたも
   ので、雇用契約とは別個のものであり有効とされました。
 
 また他の裁判判例でも「一年間退職しないこと」が有効とされた判例が
 ありますが、その場合も1)研修が労働者本人の希望 2)社内の社員
 優遇措置としての技能検定 3)研修費用が合理的な実費の範囲内であ
 り、会社の「立て替え金」であること 4)期間も3年という短期間で
 ある等をあくまで総合的に判断して会社の主張が有効とされていますの
 でこの場合も単純に「1年間」ならいいということではありません。
 
 NPO法人労働相談センター


<二週間・Newsスッぱ切り>------------------------------------

 5/30 ・米GM労組が労務費削減を承認 事前調整型破綻に前進
 6/1 ・失業率悪化5.0% 
 6/2 ・コンビニ経営者が労組結成 利益配分、値引き販売で要求 
     ・製造業の残業、09年4月は前年比45%減
 6/3 ・賃金抑制で消費低迷、白書案指摘 厚労省、月内にも公表
     ・08年の自殺者3万197人 60歳前後の多さ目立つ 
 6/5 ・生活保護3月の受給者165万人 08年度は13年連続増
 6/6 ・「今日はデートと執拗に聞かれる」男性のセクハラ相談増加 
 6/7 ・医師労組「全国医師ユニオン」結成 勤務医の待遇改善へ 
 6/8 ・<派遣切り>元社員が住居入居延長を要請 期限が6月末で 
 6/9 ・新卒者の採用予定 09年と比べ「減少」 
     ・「心の病」の労災認定、08年度は過去最高
     ・5月の米失業率9.4%に悪化 
 6/10 ・「給与規定にない控除適用」=ヤマト運輸に支払い求め提訴
      /大津地裁 
     ・非正社員、教育訓練でも格差=実施率は正社員の4割/厚労
      省調査
     ・日産、派遣労働者を期間超え受け入れ/東京労働局が指導
 6/11 ・富士通の中労委命令取り消しを。孫会社退職募集めぐり組合
      提訴 
     ・自民、「ヤミ専従撲滅法案」提出へ 
     ・「本当の失業者、ホームレスは政府発表の何倍もいる」 
 6/12 ・育休法改正案が今国会で成立見通し、残業免除を義務づけ
 6/13 ・農水省、7割の職場に取り決め覚書…組合が「過剰」要求      
 

<Focus of News>-------------------------------------------------

 =初の医師労組が発足=労働環境改善目指す (時事通信)=

 勤務医らでつくる全国医師連盟(黒川衛代表)は7日、都内で集会を開
 き、医師の労働組合「全国医師ユニオン」を設立したと発表した。

 医師の全国的な労組はこれまでなく、代表を務める植山直人医師は「多
 くの人に入っていただき、ともに日本の医療のために闘ってほしい」と
 呼び掛けた。

 近年、医師不足などによる医療崩壊が問題となっているが、背景には医
 師の過酷な勤務状況がある。植山医師は、欧州では医師労組が労働条件
 改善に役割を果たしてきたと指摘。「医療崩壊を何とかするには、医師
 が健康でやりがいを持って働くことができなくては。そのためにユニオ
 ンが重要」と述べた。

 ユニオンは先月中旬、北海道から長崎までの医師8人で結成。11月の
 定期大会に向け、会員を募り、組織体制を確立するとともに、相談活動
 など会員をサポートする仕組みを構築する。 
 [時事通信社]2009年6月7日
 

<ほっかほか・ほーこく>------------------------------------------

 = 第4回コナカ「名ばかり店長」裁判の報告=

 私たち全国一般東京東部労組コナカ支部の組合員で、コナカで働いてい
 る現役店長2人が未払い残業代を請求している「名ばかり店長」裁判の
 第4回公判が6月9日、横浜地裁で開かれました。

 組合メンバーは公判開始前、裁判所周辺で「紳士服のコナカは『名ばか
 り管理職』を是正し、残業代を払え!」とのビラを通行人に配りました。

 詳しい内容については、「労働相談センター・スタッフ日記」
 http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/6c64b8a3b1570a3cb7c96405d4712c37
 をご覧ください。

 次回の第5回公判は7月30日(木)午前10時から横浜地裁502号
 法廷で開かれます。多くのみなさんの注目と応援をよろしくお願いしま
 す。


<「No.ゼロ」のぶつぶつつぶやきスペース>-------------------------

 ●都庁の高層階、労働委員会のある34階には喫煙所があって、そこで
 大都会を眺めながら紫煙をくゆるらせるのが都庁に行ったときの僕の楽
 しみでした。●しかし、34階の喫煙所が最近なくなってしまっていま
 した。一つ上の階、35階にあらたに囲いのある喫煙所が設けられてい
 たのです。●まあ、そこでもいいんですけど、わざわざ階段をのぼって、
 というのは・・・。(存)


<感想をお聞かせください>----------------------------------------

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