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LNJ Logo ネオコン政権の崩壊〜2008年アメリカ大統領選挙結果の詳細〜
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2008年11月4日アメリカ大統領・連邦議会選挙で、バラク・オバマが勝利しアメリカ合衆国史上初の非白人大統領の誕生が決定するとともに、上下両院でも民主党は議席を伸ばして多数党としての立場を強化した。

今回の選挙結果の特徴は、高い投票率、そして非白人層・若年層(特に20代)・低所得層・家計が悪化している世帯・非キリスト教徒の高いオバマ得票率にあり、これらの人々の多くは政府のより積極的な経済社会政策を期待し、イラク政策に対して批判的である。それ以外の階層では共和党支持層の中で前回選挙時よりも投票行動に動揺が見られ、その結果オバマが勝利した。

まず投票者全体の75%を占める白人は男女ともにマケイン票の方が多い。2004年大統領選挙と比較すると白人男女の共和党候補への支持は若干減少しているが、それでも白人男性の6割近くがマケインに投票しているという事実は重大だろう。ただし白人の中で唯一18〜29歳(12%)の若年層では、オバマが 55%の多数得票を得ている。

これに対して投票者の13%を占めるアフリカ系アメリカンは、男女とも実に95〜96%がオバマに投票した。これは前回の民主党候補ケリーに対する黒人支持率よりも高い。彼らが合衆国史上初の黒人大統領の誕生に期待したのは当然だが、この傾向はラティーノ(8%)にも見られ、前回より多い66%がオバマに投票していることも重要である。

年齢別に見ると、18〜29歳までの人々(18%)の66%、30代(18%)の54%がオバマに投票したのに対して、40代・50代ではほぼ互角、60代以上ではマケインが過半で、オバマが若年層の支持を得たことが明らか。前回もケリーは20代の支持を得ていたが、今回オバマは30代にも支持を広げた。

所得別に見ると、前回(ケリー得票)より多い約65%の低所得者(年間$30000以下、投票者全体の18%)がオバマに投票している。$30000〜$50000のロウアーミドル層(20%)では前回ブッシュとケリーが拮抗していたが、今回はオバマが55%得票した。それ以上の所得階層ではほぼオバマとマケインが拮抗している。高所得者の投票行動に動揺が見られたことは確かだが、オバマ民主党が低所得者・ロウアーミドル層の大きな期待を背負って勝利したことは間違いない。

地域別オバマ得票率では、南部州以外ではマケイン票を上回り、都市部(30%)が63%、郊外(50%)が50%、田舎(21%)が45%で、前回よりも郊外・田舎での民主票が増えた。

働く女性(30%)の60%、労働組合員のいる世帯(21%)の60%がオバマを支持した。白人のうち非クリスチャン(投票者全体の13%)の7割はオバマを支持した。銃所持者(42%)の62%がマケインを支持した。

ヒラリー・クリントン支持者(13%)のうち16%がマケインに投票、前回ブッシュに投票した者(46%)のうち18%がオバマに投票した。マケインはブッシュの路線を継承しないと考える人が48%で、そのうち85%がマケインを支持している(つまりマケイン支持者の多くもブッシュ路線を完全には肯定していない)。

最も重視する政策としては、経済問題が63%(こう回答した者のうち53%がオバマ支持)、イラク問題が10%(同59%)、医療保険が9%(同73%)、テロリズム(同13%)、エネルギー問題が7%(同50%)だった。

経済状況について強く懸念している人は50%でそのうち59%がオバマを支持したが、それほど懸念していない人々の中ではマケイン支持が上回った。家計が悪化している人(42%)の70%がオバマを支持、家計が改善または安定しているという人(58%)の過半がマケインを支持した。政府の役割については、より多くのことをすべきと考える人が51%に達して、そのうちの76%がオバマに投票、逆に政府が多くのことをしすぎと考える人は43%でそのうちの71%がマケインに投票した。税金が高くなってもオバマを支持という人は全体の31%で、税金はオバマが当選しても上がらないと考えた人22%を上回っている。医療保険については、非常に関心(不安)をもっている人が全体の33%でそのうち65%がオバマ支持、多少心配しているという33%の中では 54%がオバマを支持、逆に医療の心配をしていない人たち(33%)の過半はマケインを支持した。イラク戦争に対する評価としては、肯定的が36%でそのうち86%がマケイン支持、否定的が63%でそのうち76%がオバマを支持した。

サブプライムローン破綻に続く金融破綻と低所得・ロウアーミドル層の家計危機や「対テロ戦争」の失敗などに対する不安・動揺や怒りが、反ブッシュ政権を明確にできたオバマ民主党に有利に働いたことを示している。

ちなみにブッシュ政権については批判的な意見が71%で(そのうち67%がオバマ支持)、肯定的な意見27%を圧倒している。既存の連邦議会に対しても批判的な意見が73%に達している。$7000億の金融安定化公的資金については反対が56%で賛成39%を上回った。

前回ブッシュが勝利した(とされている)が今回オバマが51%得票率で勝利した激戦州オハイオのケースでも、全国平均とほぼ同様の投票行動が見られる。最も重視する問題(選択肢)について、経済問題をあげた61%の人々のうちの54%、イラク問題・医療保険をあげた21%の人々のうちの63%がオバマに投票したのに対して、テロリズムをあげたのはたった8%でこの人々の88%がマケインを支持した。白人の中でも非キリスト教徒(13%)は70%以上がオバマに投票、逆に白人プロテスタント(47%)の60%はマケインを支持した。

オバマが圧倒的に有利とされていたニューヨーク州のケースでは、実は白人男性(34%)の50%(相対多数)がマケインを支持しているが、白人女性では57%がオバマ支持で、男女のギャップが明確になった。また白人のうち大学中退もしくは高卒・中卒ではマケイン票が54%、大卒・大学院卒ではオバマ票が58%で、学歴ギャップも見られる。いずれのギャップも非白人ではそれほど顕著ではない。

以上、CNN出口調査参照

2008年11月5日 JNK


Created by JNK. Last modified on 2008-11-06 03:36:43 Copyright: Default

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