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LNJ Logo 押し紙の実態〜新聞販売現場からの告発
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11月25日(土)、板橋区グリーンホールにて、新聞販売の現状を告発するシンポジウム「福岡・販売店訴訟勝訴記念:新聞販売現場からの告発」が行われた。

内容は、販売店で恒常的に行われているといわれる「押し紙」の問題と、一方的に販売地域の変更等を通告や新聞送付の差し押さえをされ廃業の危機に陥った読売新聞販売所真村氏からの報告(本年10月に本件で本社読売に勝訴)。

インターネットの普及などで新聞発行数は大幅に減少したが、公的に発表される発行部数は変わっていない。それは新聞社が販売店に、売れなかった部数の買取りを強制しているから。この配達されない新聞を「押し紙」という。

1,000部しか受注がないのに、1,500部を強制的に送り付ける。差額500部が押し紙。しかしこれでは販売店は大損だ。それで「補助金」や「奨励金」などという名目で、いくばくかの補填費が新聞社から出される。しかし補填費は、あくまで非公式であり、本社担当の“裁量”なので、即カットも可能。黒藪氏によれば、「販売店は倒産しないギリギリのラインの補填費で首根っこをつかまれ、生かさず殺さずの状態にされているのが現状」という。

なお押し紙はそのまま古紙再生業者に渡される。発行部数に応じ折込チラシも持ち込まれるから、毎日相当数が無駄に廃棄される。押し紙置き場とし自費で別倉庫を建てるケースも。

押し紙はまぎれもなく公取違反。販売店との契約書にも厳しく禁じる一文がある。しかし押し紙の証拠を残さないためなのか何なのか、新聞販売においては発注書を用いず、すべて口約束で済ますのが慣例。発注書などを本社に要請しても書面にしてくれないという。公的証拠がないため、裁判でも立証しにくい。 黒藪氏は、こうした違反が恒常的に行われていることで、「警察など公権力から容易に漬け入れられる可能性があること」など危険性として指摘する。事実、日販協は、毎年、自民党に献金を行っている。 シンポジウムでは、福岡県久留米市の読売新聞販売店主真村氏およびも発言された。真村氏は、販売地域の変更などを本社から一方的に通告され、それを断ると新聞送付を止められ営業停止に追い込まれるなどしたという。この顛末は週刊新潮10月4日号にも掲載された。

その他、会場からは、北海道の地元ローカル紙販売店主が、「折込チラシの収益の一部を上納するよう本社から強制されている」、「架空の領収書を作成するよう要請された」(東京都元販売店主)など発言。また元新聞奨学生のM君は、中途で辞めると報奨金を一括返金しなくてはならない奨学生制度の問題点や、奨学生が辞められないのをいいことに、過剰な労働を押し付ける悪質な経営者がいることなどを指摘した。

こうした証言から浮かび上がってくるのは、大企業の下請けイジメの実態と、下請けが生き残るために、さらに弱者を食い物にしていく実態、大新聞もその例外ではないという事実だ。マスコミの恥部をマスコミは指摘しない。そのダークな側面を見せてくれた興味深いシンポジウムでした。

写真と報告 : 小松玲子


Created by staff01. Last modified on 2006-11-26 22:41:54 Copyright: Default

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