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たんぽぽ舎です。【TMM:No355】

8月27日(日)第2回靖国神社ツアーの樋口篤三講師の一文が 寄せられました。 「8月15日小泉参拝問題」を鋭く論じていて参考になります。 ご一読を。

☆☆★「天皇の心」をのりこえる「小泉の心」★☆☆
    ―8・15靖国参拝がねらうもの―

 樋口篤三

1.A級戦犯の靖国合祀に強い不快感を示した昭和天皇の生々し い言葉−「私はあれ以来参拝していない、それが私の心だ」(富 田元宮内庁長官メモ)が、靖国神社と関係者を激しく揺さぶって いる。だが、宰相小泉にはブレがない。
 明治以来、「天皇の心」を無視や拒否した首相は一人もいな かった。8・15靖国参拝によって「小泉の心」はこの歴史を のりこえる第一号となりそうである。彼は人民共和制主義者と して対応したのではない。逆に憲法や教育基本法を右へ突破し、 米国の世界戦略に組み込まれつつ、一方で“大東亜戦争”が“ 自存自衛の聖戦”であった歴史を今に生かし展開する新ナショ ナリズム確立のためには、「天皇の心」は“ジャマモノ”であ り“抵抗力”なのである。

2.小泉首相が人の意見を聞くのは、外交は岡崎久彦、内政は 竹中平蔵だけと、かっての盟友加藤紘一は言う。この二人共に 百%米国一辺倒派である。岡崎は安倍官房長官の指南役でもあ るが二人の共著「この国を守る決意」(扶桑社)で言う。日中「 首脳の交流に多少影響があっても、靖国神社は参拝するという 原則を曲げられない小泉総理は偉いと思います。つづけている ことは大きな意味があります。この問題は、日本側が立場を変 えない限り、いずれ中国側が折れる」と。(2005年)
 岡崎は、右派の情報・外交・安全保障戦略の第一人者といわ れるが、人の心と民衆の動向を読み違える実績も積んできた。
 ベトナム戦は、見通しを全く誤り、イラク戦争は三週間の短 期決戦勝利とみたが大はずれである。

3.小泉首相の歴史認識の浅さと哲学の貧困には驚くばかりで ある。彼は田勢康弘(日経)の質問に答えて言う。「私はA級戦 犯であろうと一般の英霊であろうと区別しない。なぜ、死者を 区別するのか。これは心の問題だ」。田勢は言う。『「なぜ、死 者を区別するのか」。この発言を聞いたとき、思わず、耳を疑っ た。靖国神社は死者を区別しているのである。明治二年、「東 京招魂社」として明治天皇の命で作られた。(注、16歳の少年天 皇を大村益次郎が利用した) 明治元年の「戊辰戦争」で死んだ政 府軍(旧薩摩、長州など)の兵士を祀るためである。敗れた旧会津、長岡、米沢藩などの兵は入っていない」。西南戦争で西郷軍は政府軍死者を上回ったが、「国賊」の為に祀られなかった。』 (8/7日経、国内問題としての靖国)
 日本の伝統思想、かつての神道や仏教は、敗者の側の出雲大社 の方が立派に造られ、蒙古襲来後に北条氏が建てた鎌倉円覚寺に はモンゴル人も追悼された。大田知事当時に造られた沖縄の平和 の礎(いしじ)は、敵味方、軍人と民間人、朝鮮人(調査不十分)、 台湾人の差別はない。キューバ革命でも、革命記念日(7/26)に革 命に命を捧げた遺族と共に、反革命軍として殺し合った遺族も招 待された。(堀田善衛、キューバ紀行)
 靖国神社には、日本軍の侵略で殺された台湾、朝鮮、中国を始 め東南アジア諸国の二千万人以上といわれる軍民の追悼は一切な い。人の心と人の道−東洋の仁義道徳を追放した結果であり、「小泉の心」にも全くない。

4.安倍晋三「美しい国へ」(文春新書)は、今秋、首相になった ときに備えた彼の思想政治の全体像である。「自らかえりみてな おくんば千万人といえども吾ゆかん」。長州の先覚者吉田松陰が 好んだ孟子の言葉を「わたしの原点」で引用している。彼はこの 四月に「こっそり」(田勢)と靖国参拝していたが、「なぜ行った か行かなかったか申し上げるつもりはない」し、総裁選でもとり あげないという。彼の靖国参拝は小泉以上の「確信犯」だが、で はなぜ堂々と国民に「吾ゆかん」の説明をしないのか。孟子の言 はおかざりなのである。
 また韓国・朝鮮と中国は、日本の地政学上「引っ越しできない」隣国であるのに、その三国同盟追求(勝海舟など)ではなく、遠い「印・豪・米」と日本の戦略対話構想を出したが、あまりにみえすいた親米反中同盟なのである。ただし、豪外相は、8月上旬に「それはできない」と断っている。

5.「昭和天皇の心」には、自らの戦争責任(退位を含む)を免責 してくれたマッカーサー元帥(帰国時に鄭重にお礼を述べた)と極 東軍事裁判に対する配慮があろう。彼の身代わりになったA級戦 犯をまつる靖国への参拝は、“大恩”ある米国への反逆となるこ とを計算ずみであったろう。それらを認めた上で、A級戦犯合祀 を理由に参拝を中止したことは、靖国を先頭に“右傾化を強める”、 (金大中前大統領) 新軍事大国化と九条をめぐる闘い、東北・東 アジアとの連帯の闘いにとってプラスに作用している。  靖国問題は第一に国内問題であり、「美しい国」をうちこわし て、米国周辺国とする新ナショナリズム路線との闘いである。  勝利の可能性は大いにある。

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          第2回靖国神社ツアー

日  時 8月27日(日)12:30〜17:30

費  用 1,000円(資料代など)
中学生以下のお子さんは無料(参加歓迎)

定  員 先着20名

集合場所 12時30分 たんぽぽ舎へ集合 
樋口篤三説明役と「資料集」で予備知識を得る
歩いて靖国神社へ  遊就館(戦争展示館)〜
九段のしょうけい館

主 催(申込先)たんぽぽ舎 靖国ツアー担当(いろりばた番外篇) TEL 03-3238-9035(午後) FAX 03-3238-0797

賛 同  同時代社
(樋口篤三さん著書『靖国神社に異議あり』を出版)

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