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LNJ Logo 7.4ワールドピースナウ〜イベントの報告/不当な弾圧を許さない
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7月4日、渋谷の宮下公園の集会で開かれた「平和のための投票」を呼びかける ワールド・ピース・ナウ(以下WPN)の集会は、午後2時に始まった。

梅雨の季節だというのに、当日の東京は猛暑。 選挙戦の真っ最中ということもあって、宮下公園を埋め尽すというほどでは なかったものの、各地から思い思いのプラカードを持って集まった数百人の 市民や労働者がステージを囲んだ。

各発言者は、戦争への坂道を転がり落ちていくような現在の日本の状況に 対する懸念を語り、参加者に「1票の力は微力かもしれないが、票を集めれば変わる。 変えなければならない」と訴えた。

特に、「戦争元年だ」 「改憲論者が多数を占めれば、必ずみんなが戦争に駆り出される」 と訴えた石坂啓さんのスピーチは、参加者の大きな拍手を集めた。

flex lifeというバンドのミニ・コンサートも好評だった。 面白かったのは「パレードをやるときは、オシャレして来てください。 みんなが列の中に入りたくなるような服装で」というボーカルの女性からの 呼びかけ。「若い人ももっと参加を」と言うだけではなく、 こういう隊列の中に入りたい、と思わせるようなファッションも 大切なのかもしれない。

当日、来日が予定されていた韓国からのゲスト、民主労働党の女性国会議員 であるイヨンスン氏は韓国での派兵撤回が緊迫しているため、 残念ながら来日ができなかった。 その代わりにイヨンスン氏からは東北アジアの安全を呼びかけるメッセージが 読み上げられた。 米国の強い影響下にある同じ東北アジアの韓国と日本の市民・労働者がともに 協力して、平和な東北アジア建設に努力しようという内容だった。
なお、民主労働党は先の総選挙で、はじめて韓国の国会に議席を得た 左派に属する政党だ。 米国の不法な戦争に荷担する韓国軍のイラク派兵を決定した 廬武鉉大統領と与党のヨルリン・ウリ党に対する労働者・市民の怒りの1票が 韓国憲政史上初の左派政党を誕生させたと言えるだろう。 民主労働党を誕生させた韓国の労働組合、そして市民・民衆団体はいま、 総力をあげて派兵撤回のために闘っている。

予定を30分ほどオーバーしてパレードに出発することになった。 この時点で参加者は1000人程度の規模に増えていた。 主催者によれば、最終的には1200人程度の参加があったという。

しかし虹色のピース旗の一群を先頭に、パレードが始まった直後、 警察車両が大音量で「安全な交通のため」を口実とする陰険なデマを 散りばめた妨害放送を始めた。パレードのシュプレヒコールを掻き消す 妨害に対して、実行委員会側が強く抗議、一旦は放送が中断されたものの、 その直後、再度妨害放送を始まり、パレードの出発を中断して抗議した。

警察側が抗議を受け入れたため、このあと、参加者の列は動き始め、 いつものWPNらしいにぎやかなパレードがはじまった。 熱い日差しの中、思い思いのプラカードを手に、休日の渋谷を通りかかる 人々に向けて「戦争反対」「平和のために投票を」と訴えた。

しかしこの日のパレードは、何か異様な雰囲気に包まれていた。 隊列は警察により完全包囲され、さらに警察は パレード参加者に「歩くのが遅い」「はみ出すな」などと言いながら、 手に持ったプラスチックの盾で参加者を挑発し始めたのである。

パレードそのものが違っていたわけではない。むしろ、パレードは普段より 規模も小さく、隊列もそれほど長く伸びておらず、よく秩序が保たれていた。 違っていたのは、警察の対応だった。 隊列は、盾を持った警官に完全に取り囲まれ、通行人への訴えを遮断し、 カメラを持った私服警官が参加者の写真をしきりに撮っている。

事件は、パレードの最後尾が公園通りに出ようとしたときに起きた。 盾を使った挑発を繰り返す警官とのやりとりの中で、最後尾の参加者が 逮捕されてしまったのである。 おそらく、警察側はシナリオができていたのだろう。 筆者がパレードの写真を撮影するために、 ちょうど逮捕者が出た地点を見下ろせる階段でカメラを構えていると、 そこに私服警官がカメラを構えて上がってきたのである。 筆者は、そんなシナリオを知るよしもない。前方の様子を撮影するために 階段を降りた。逮捕者が出たのはその直後である。

参加者の逮捕に抗議して、パレードは一旦、前進を止めた。 そのまま公園通りで停止した状態で「戦争反対」「投票に行こう」という アピールを続け、 公園通りを行く人々も、面白がって携帯のカメラを向けていた。


およそ15分程度、パレードは停止し、この間、 実行委員会側弁護士による逮捕者への初期対応が行なわれていたという。 その後、まず第一梯団が動き始め、第二梯団は少し遅れて動き始めた。

しかし、最後の地点でもまた警察は待ち構えていた。

第二梯団が解散地点に到着した時、さらに逮捕者が出たのである。 あるいは警察のシナリオでは、 パレードの途中で誰かを拘束する予定だったのかもしれない。 しかし、パレードはいつもの通り平和に進められ、最初の逮捕者が出た後は 度重なる警察の挑発に乗る人は誰もいなかったのだ。 結局、解散地点での理由のない逮捕劇となったのである。

このような警察の不当な逮捕を黙って見ていられる人はいないだろう。 不当逮捕に抗議する参加者が続々とつめかけてきた。 それに対し、警察は暴力的に押し戻そうとし、抵抗する参加者との間で ちょっとした押し合いが始まった。 しかしここでは特に逮捕者も出ることなく、実行委員会が間に入り、この場を 収拾した。

その後、宮下公園で開かれた整理集会では、実行委員会側から 事態の説明が行われたが、参加者からは実行委員会の対応に異論も 提起された。この後、実行委員会とは別に 渋谷警察署に抗議に行った参加者も少なくなかったようだ。

「標的逮捕だ」という声があったが、おそらくその通りなのだろう。 いずれ詳細な情報が伝えられるだろうが、 本当に非難されるべきは、平和的・非暴力で行われていたパレードの 警察による暴力的な妨害だ。 当日の過剰な警備、いや執拗な妨害に抗議することが犯罪にあたるとすれば、 この国に自由はない。

今回の警察による不当な暴行・逮捕に強く抗議し、 逮捕された参加者の即時釈放を求めたい。

関連情報: "市民連絡会の声明":/NewsItem/20040707m2 ・ "WPN声明(団体賛同を募集)":/NewsItem/20040708m1


Created byStaff. Created on 2004-07-11 19:01:49 / Last modified on 2005-09-05 02:59:53 Copyright: Default

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