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JR福知山線列車脱線事故に関する声明

4月25日、JR西日本福知山線で発生した列車脱線事故は、死亡者91名、負傷者456名(27日16時現在)というJR発足以来の大惨事となりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対して心より哀悼の意を表し、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りいたします。

現在、関係機関において原因究明の調査が行われており、まだ、原因解明に至ってはいませんが、当該列車が伊丹駅で約40メートルオーバーランし、その遅れを取り戻そうとして、限速度を30キロ上回る約100キロで現場を走行し制ていたこと等がすでに明らかになっ ています。JR西日本会社は、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会等に全面的に協力して、徹底的な原因究明を一日も早く図らなくてはなりません。

鉄道輸送業務の最大の使命は安全の確保であり、どのような原因・背景があったにしても、このような大事故を引き起こしたJR西日本会社の責任は重大であります。JRに働く労働者で組織している国鉄労働組合としても、悲惨な事故を自らのものとして受けとめ、事故の背景および要因の徹底究明、再発防止などについて、労働組合の立場から会社に強く求めていきます。

また、私たちは今日まで労働組合として、効率化よりも安全確保」ゆとり「「をもって働ける職場環境」をJR各社に強く求めてきましたが、今回の大惨事を機に、安全・安定輸送を確立するために、より一層取り組みの強化を図っていく決意です。

2005年4月27日 国鉄労働組合

元記事URL(国労のサイト)(PDF)

福知山線 脱線・転覆事故に関する国労西日本本部の考え方

4月25日、福知山線、塚口・尼崎駅間において、「あってはならない痛ましい事故」が発生しました。この事故で尊い命が奪われ多くの死傷者がでました。国労としてはもちろんJRに働く労働者で結成している労働組合として、くなられた方々の亡ご冥福を祈るとともに負傷された方々の1日も早い回復を願っております。

今回の事故について様々な角度から報道等がなされていますが、終的には国土交最通省、航空・鉄道事故調査委員会及び警察当局の捜査等によって直接的な原因の究明がなされると思います。
私たち国鉄労働組合は今日まで「安全第一」方針の下、現場サイドから見た問題、利用者・お客様から見た問題等を会社に申し入れ改善させるなど努力してきました。
今回の事故を見るとき、私どもの経験でも想像を絶する一面があります。とりわけ今回の事故について一般的に考えると、(1)線路の軌道狂い(特に緩和曲線の平面性狂い)、(2)速度オーバー、(3)車両の不備(車軸の焼きつけ若しくは車軸折れ)、(5)線路の磨耗とタイヤの関係に関するせり上がり脱線、(6)線路上の障害物、(7)ブレーキ系統の故障等の原因が想定されます。しかし、この事故に関して現在の所、この原因は単独で脱線したというより複合して脱線した可能性が大きいと推測されます。
今回の事故で考えられることは、たとえ一人の労働者によるミスであってもそのミスが原因で重大事故に至ってはなりません。そのために保安装置を含めて二重の措置を講ずる必要が急速に求められています。また、その背後要因を取り除くことも求められています。よって国労として以下のことを求めていきます。

I.「設備的要求について」

1.ATS―P形の設置
今回事故のあった福知山線にはATS―P形は設置されていませんでした。ATS―P形とは列車の速度を常にチェックし、スピードを間違ってもブレーキをかける装置で今回の事故等を防ぐことができます。現在JR西日本は6.7%の設置率であるが、時速100kmを越える線区に優先的導入を求めていきます。

2.脱線防止ガードレールの設置
今回の事故の原因として遠心力と摩擦による、せり上がり脱線も想定されています。このことから、例えせり上がりが生じたとしても車輪をレールから外に脱線させないために脱線防止ガードの設置を求めていきます。日比谷線脱線事故でせり上がりの原理が究明されて国土交通省の指導等がありますが、義務化まで至っていないために、JR西日本では曲線半径250m未満の箇所は整備されていますが曲線半径250m以上の曲線に対して設置を求めていきます。当面の措置として、曲線半径300m以下で今回のように住宅密集地並びに住宅接近地等二次災害が生ずるおそれのある箇所を重点的に設置することを求めていきます。

3.車両の車体フレームの強度化について
1991年5月14日発生した信楽高原鉄道のSKR200形車両(27.5t)、今回事故の207系車両(26t)、いずれもアルミ製軽量車両で安価でスピードアップを目的として製造されたもので、列車が脱線・転覆を予定して製造されていないために今回のように痛ましい事故となっています。前項で要求する保安設備等がありますが、踏切事故等様々なことを想定し車体フレームの強度化を行ない、不幸にして事故が生じてもお客様の安全を確保するための改良を求めていきます。

II.乗務員教育等について

今回の事故についてマスコミ等でミス・事故を起こした場合の社員教育及びプレッシャーについて報じられています。このことは背後要因の一つであり、国労は事故等を起こした場合の教育について以下の考え方で対処することを求めていきます。

(1)基本的考え方について
マスコミ等で報じられている事故を起こした場合のいわゆる「日勤教育」について国労は否定をしません。その理由は、私たちは公共交通機関で働く労働者であり、私たちの仕事は国民・利用者の命と財産を安全に運ぶことである以上、ミス・事故を起こした事実に基づき再発防止のために教育を行う必要があるからです。一部で起きている事象が全てと報じられるとするなら大きな過ちを犯してしまいます。また、JR西日本が社員に方針として言っている言葉、例えば「定時運転確保」「ダウンタイムの短縮」について一人歩きしています。国鉄時代を通じで日本の鉄道はダイヤどおりに定刻に走ることで国際的評価を受けています。その定時運転を確保することは当たり前でお客様も当然受け入れられることです。また、「ダウンタイムの短縮」とは事故等(レール折損、架線切れ)が発生した場合に列車抑止時間を少なくし、より早い時間で復旧することで誰も不満はありません。しかし、列車の遅れを制限速度オーバーで走行したり、安全の確保が出来ていないにもかかわらず抑止解除を命ずることがあるならば法に抵触するのみでなく安全が損なわれます。このような不当な命令があるとするなら国労は断じて許さず会社と対決し闘います。

(2)事故等があった場合の再教育に対する具体的な対処方について
国労は公共交通に働く者として、基本的考え方を述べています。不幸にして事故を起こした場合の乗務員の再教育について、これまでも会社と何度となく交渉を繰り返し、改善を行なってきました。引き続き、再発防止のために以下のことを講ずべき、と改善を求め交渉を強化していきます。(「見せしめ的乗務停止をやめ気持ちよく安全運転・サービスをするために」を参照 2002年6月作成)(1)人間はミスをするという事実に基づいて冷静に対処すること。(2)一部である「責任追及」型を絶滅し「原因追及」に力点をおくこと。(3)事実は事実として言える、風通しの良い職場風土をつくること。

III.その他について

最近のJR西日本の事故を考えたときに、(1)連絡体制、連携体制、チェック体制に不備な点があります。よって、その改善を教育と要員体制の見直し等整備を図ること。(2)技術力維持・向上策の一環として特に若い社員、経験不足の社員に対する現場での教育に重点をおくこと。当面予定している車掌の契約社員化については再考を求めていきます。

IV.事故の再発防止対策は労使協議で

JR西日本の使命は『安全第一』であります。事故の再発防止対策一つについても会社の責任、現場長の権限と一方的に命じても社員に納得性をもって受け入れられなくては何にもなりません。企業の社会的責任を果たすためには労働組合のチェック体制が必要であり、具体的対策について労働組合の協力が必要であります。現在、全組合参加の「労使安全会議」は本社に設置されていますが今後、具体的事故対策等については本社・支社で労使協議によってより具体化されていくよう求めます。

以上

2005年4月28日 国鉄労働組合西日本本部

元記事URL(国労のサイト)(PDF)


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