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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 支配層のいがみ合いとボクら民衆

 拉致事件が連日報道されている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・金正日政権の人を人とも思わないむごたらしさには、怒り以上のものを抱いてしまう。それと同時に、数多くの日本人がこれほどまで簡単に、日本民族主義のデタラメにからめとられてしまうのを見ると、薄ら寒い思いがしてくる。

 拉致された家族の報道に接しその胸中を察する心を持つ人々は、普通に考えるならば、この何十倍や何百倍ではない、何千倍何万倍もの犠牲を強いられた朝鮮の人々に、改めて「こんなにも残酷なことをしてきたのだ」と自省の念にかられていくはずだろう。数十万人の強制連行、従軍「慰安婦」、1910年植民地化以降の非道な仕打ち・・・皇国日本の政権と敗戦後も謝罪を拒否し続けてきた今日までの日本政府、これに対して、朝鮮の人々と共に激しい怒りを共有していくのが、普通ならば当たり前の感覚だろう。なぜ当たり前の感覚をもてないのか?

 有事法制などをたくらむ日本の支配層は、もちろんマスコミも使い大キャンペーンを繰り広げている。「ミサイルだ、テポドンだ」。世界有数の軍事力を持つ日本にとっては屁でもない。日本に戦争を仕掛ける力を持つのは米国くらいなもので、北朝鮮にはその力も意志もメリットも何も無い。

「不審船問題」?!沿岸12カイリ(22キロ)の領海を越えた排他的経済水域では、漁業と海底資源と海洋汚染のみに管轄権があるのであり、それ以外には何の警察権も及ばない。冷戦時代には、米ソは互いに軍艦・トロール船を沿岸12カイリ付近に張り付かせ情報収集をし合っていた。昨年12月の「不審船」はただ航海しているだけで停戦命令など出せないのに、海上保安庁は海洋法条約に違反し勝手に追い回し最後には撃沈してしまった。今年9月の「能登半島沖の不審船」は、日本の排他的経済水域でさえなくロシアのそれであり、ロシアのナホトカ沖250キロ、能登半島からは400キロも離れていた。ただの公海上の船を、日本政府がある思惑を持って勝手に騒いだのだった。そして日本や米国は、通信衛星などもっともっとすごい情報収集能力を駆使しているのだ。

 朝鮮の民衆と日本の民衆との連帯、これが鍵だ。国対国の、つまりそれぞれの国の支配層同士のいがみ合いに、ボクら民衆が巻き込まれる必要は無い。北朝鮮の官僚的な国家体制は、朝鮮民衆にとっても不幸なことだ。ブルジョア階級を倒したからといって、それで社会主義になったわけではない。北朝鮮の非民主的在り方は本来の社会主義とは無縁だ。労働者国家にはなったけれども、主人公であるべき労働者階級から官僚たちが権力をかすめとってしまったのが今の北朝鮮だ。官僚層は労働者民衆を支配管理しようとするとき、ブルジョア階級と違って経済的な支配基盤を持たないため民主的ポーズを取ったりする余裕が無く、全体主義的な締め付けに走る。

 郵便局から郵政官僚が一掃された後、組合員の声など一切無視し4・28免職者の首を切る全逓役員が牛耳っている姿を思い浮かべるとよい。現場労働者の未来を切り開くためには、再度郵政官僚を迎え昔に戻ることではなくて、全逓官僚を一掃してホントの労働者の大衆自治を実現することが要になるだろう。

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 ついでに言うなら、「核の先制攻撃」を公言するブッシュこそ「ならず者」だ。1年前だったらこんなことを口にするものは世界中から袋叩きに合ったはずだ。軍需産業やエネルギー産業など自身の利権と権力のバックボーンの利害以外は目に入らず、何の将来ビジョンも無いままただただ戦争をしたくてしょうがないブッシュという個性、世襲制的な面も含め金正日と似ているのかもしれないが。

 彼に人の道を説くのは大変過ぎる作業なので、せめて、「右の頬をぶたれたら左の頬を出せ」から「目には目を歯には歯を」への改宗を勧めたい。「右の頬を」は、彼にとって、自分に言う言葉ではなく、彼に支配される人が信じるべき言葉なのだ。支配層にとってこんな都合のよい教えはない。「目には目を」は、通常理解されている意味とは違って、「目をぶたれただけでも相手の顔全体をつぶしてしまう」ほどの過剰報復を戒めるために生まれた言葉だそうだ。ブッシュはもう既に、多くの罪の無い人をも対象に過剰過ぎる暴力を使っている。

名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙9月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:20 / Last modified on 2005-09-29 06:44:54 Copyright: Default

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