本文の先頭へ
LNJ Logo エッセイ
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
Document nagoya200202
Status: published
View

会員関連サイト

more...

名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

  結論−郵政当局は相当のワルだ   

  4・28首切り処分が郵政省によりなされてから23年、ずっと人事院公平審査や裁判闘争を続けてきたが、当局側の主張を一括して紹介するビラなどを書いた覚えも読んだ覚えもない。相手側から見た場合の、2カ月に及ぶ全逓18万人全国闘争と58人懲戒免職の4・28報復処分とは、どのように描かれるものなのだろう? ちょっと興味を引くテーマであると思った。

 東京地裁での3月27日第一審判決を目前に、この際、このテーマをきっちり遂行しておこうと思った。これはまた、長年にわたり4・28闘争を支援してくれている人々への礼儀でもあると思った。

 そして、「思った」だけだった。

 いざ、当局側主張の一括紹介などやろうとしたら、論点は多岐・細部にわたり長文となり、嘘デタラメもいっぱいあるので反論も書きたくなるし、第一、読んでいる人は面白くないだろうし、それ以上に、書く人はもっと面白くないのだ。何で一度もこの種の紹介文がでないかの理由が解ったのだった。

  *     *     *     *     *     *

  郵政当局はワルだと、第一審の結審をして改めて痛感した。

 当局側の「最終準備書面」には、無茶を述べている点が幾つもあるが、そのなかでも最大の無茶は、反マル生闘争に対して、「マル生という差別・組合つぶしのための不当労働行為はなかった」と「ちゃんとした言い逃れ」をするのではなく、「闘争それ自体を目的とした闘争」であって反マル生は目的ではなかったと「ウルトラな言い逃れ」をひねり出した点だ。春の公労協統一スト脱落に対する下部からの本部批判・突き上げとか、当時のマル生課題交渉で当局側は誠実に交渉しようとしたが全逓本部はそうでなかったとかが、この「ウルトラな言い逃れ」の「証拠」だそうだ。下部からの強力な要求は実際にあったが、それは「反マル生をちゃんと闘え」との要求であり、不誠実交渉は郵政省が延々17年以上続けてきた専売特許であって、逆立ちしたって「証拠」にはなり得ないものだ。「ウルトラな言い逃れ」のためには「ウルトラな証拠」を必要とするとの法則が在る(この法則は、今回、ボクが発見した)。

 完全に100%論破されているのに、何も「言い逃れ」さえもしないで、ぬけぬけと主張し続けるという手法もある。全国18万人組合員のうち何故どうやって懲戒免職者58人が選ばれたのか? 「始業時間から30分〜1時間程度、闘争参加者の怠業の程度・態様を観察し、その程度の著しいものから順次現認対象者に選定した」と述べるが、全くの同一態様で程度に差の付けようがなかったのは明々白々なのだ。始業時間から1時間以上、時には半日も、自分の受持ち区郵便物の抜き取りで全員が一列に並びっぱなしというのが何日もあった。「言い逃れ」放棄をすれば「証拠」の提出も放棄できるのでとても楽だという法則がある(この法則も、今回、ボクが発見した)。

 「言い逃れになっていない言い逃れ」というか、「原告の主張通りと認めている言い逃れ」というか、日本語的にいっておかしい、読んでいると頭が混乱してくる言い逃れもある。「各局により現認が不公正・不公平だ」との原告側主張に対して、「各局の事情によって(そうなる)場合もあるが、この結果は止むを得ないものであり、これをもって不公正・不公平ということはできないというべきである」と、平気で書いてある。これは「各課による不公平」「各担務による不公平」に対しても同様だ。180度回転してしまうほど無理を重ねた「言い逃れ」は、相手側有利の「証拠」となってしまうという法則が在る(この法則もまた、今回、ボクが発見した)。

 <ご入り用の方には「当局側の最終準備書面(総論P64)」を送付しますので一報ください>。

  *     *     *     *     *     *

 今回裁判では、人事院の時よりもより強力に「マル生論述」を突き出した。指導行為責任者の方が処分が軽いとか、その他の処分の不公平についても、伊東弁護士が豊富な判例を記して、この事だけでも処分撤回が当然と明らかにした。石井平治全逓元委員長の証言は「政治的色分けによる免職者選定」の新証拠となった等々。

 さらに、裁判官忌避を闘った高世三郎裁判長は、JR採用差別事件で不当判決をだした反動だったが、交代した現在の山口幸雄裁判長は、JRと同様の上秦野病院(青山会)事件の01年4月12日判決で、新規採用にも労組法7条1号の不利益取扱禁止規定の適用ありと原告に軍配を上げ全く逆の判断を示した御仁だ。3月27日判決、乞うご期待。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 <お詫びと訂正>先月号の徳差原告発言での「大崎局」を「向島局」へ訂正します。すみません。

 

2002年2月26日 名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙3月初号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:19 / Last modified on 2005-09-29 06:44:54 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について