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郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 首切りで離婚したのではなかった

  今年は、「解雇場面」とは例年通りだが、「回顧場面」とは例年になくたくさん出くわした。ビデオ「郵政クビ切り物語〜郵政版人らしく生きよう」の完成とその後の1/25試写会(4・28処分からの26年間だけでなく55年前にボクをお産した母親まで映像に登場した)。団地建て替えに伴う1/16前後からの引越(懐かしい文書類や生活諸用品、おまけにアルバム写真までもとご対面)。1972〜73年一年9ヶ月都庁座り込みテント「(重度・重症障がい者隔離の)府中療育センター移転阻止闘争」時の当該“オバサンを囲む会“。1978年三里塚空港・包囲突入占拠時の管制塔被告へ一億三百万円強制執行を、インターネットで見ただけの若者まで含む全国の力で跳ね返した“三多摩・管制塔被告と共に祝う会”等・・・当時郵政労働者も多く不当逮捕され、「郵政全協」へと至る「郵政三里塚救援会」も作られたし、4・28免職者と三里塚闘争被処分者との共闘も行われた・・・これらは数十年ぶりに会う同窓会のようでもあった。

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 「回顧場面」とは逆の新しい発想や視点にも出くわした。ビデオ「郵政クビ切り物語」への学生さんたちの感想文、これは“通常の上映会”参加者とはかなり違った。“通常の上映会“にも若い人たちは参加するが、この人たちは労働運動や社会運動への理解者であることが多い。

 普段は同世代に近い郵政のオジサンとの付き合いが多いので、特にボクにとっては斬新で刺激的で面白かった。もちろん、4・28支援者と同じような視線で受け止めたり共感してくれたりの感想文もたくさんあってすごく嬉しくなってしまうのだが、ゼンゼン、まるっきり、完璧にそうではないのも結構あるのだった。

 大阪経済大学の池野重男さんが、自分のゼミで上映してくれ「学生たちの感想レポート集(約90人)」を7月15日付で作ってくれた。

 「今回のビデオでは、郵便局で上司に促され労働組合に加入したが、郵政の人員削減となると年配の方々が退職をするのではなく、ただ促されて労働組合に加入した年齢の若い方たちから解雇される問題についてでした(三回生)」・・・話の筋自体を未把握だったり、郵政官僚と組合官僚とをごちゃ混ぜにしていたりの感想文もあった。

 「『仕事をしない』というのは、自分達の弱みになるのに気付かなかったのか? 自分達の正当性を主張するなら相手と話し合う時間をとるべきだ。相手がそれに応じないなら弁護士を立てて対応すればいい。初めの判断を誤ったこいつらがバカなんだよ。トヨタ方式を批判していたが、これは立派な企業努力だと思う。仕事の効率を上げる手段だ(一回生)」

 「公務員が上司や職場に反発しただけで解雇にされるのは厳しい処分だと思う。しかし、国民の税金で働いている公務員が反発するのもどうかと思う(四回生)」

 「闘争が終わった人には何も待っていなかったし、何も残っていなかった。それ以上進むことも戻ることもできなくなっていた、浦島太郎のような悲しさが感じられたんです(四回生)」

 まだ書き写し足りないのだが、何せ「団結権は労働者の権利」と考える人20.4%の日本社会での若者たちだ。不幸な世代、ボクら中高年世代に多くの責任があるのだろう。ビデオ制作者や登場人物は、200人もの自死者をみた17年にも及ぶ「郵政マル生差別が悪の根元」という事を前提にしていたのだからすれ違う。できるならこれら感想文を書いた人たちとじっくり話し合ってみたい気がする。

 (ついでに一言訂正を。複数の人から「首切りされたので離婚に至った」との誤解と同情がもたらされた。4・28処分に続いて、他に先んじて81年全逓本部により「犠牲者救済制度の給与支払い」も停止された後に、ボクは「熱烈恋愛結婚」をした。ビデオの中で「チリ紙交換のサービス屋です」と語るテープの麗しき声は、連れ合いさんが吹き込んでくれたものだと、コメントしておけば良かったのだけれど)。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created bystaff01. Created on 2005-12-25 13:00:20 / Last modified on 2005-12-25 13:01:15 Copyright: Default

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